使い魔のくせになまいきだ。 ~ マガマガしい使い魔 ~   作:tubuyaki

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ルイズ!ルイズ!ルイズ!ルイズぅううぁわぁああああん!!!


始めます。


STAGE 26 悪いな君たち、この使い魔は二人乗りなんだ

 朝早く、学院の生徒たちが少しずつ起き始める頃にはすでに、小さな密使たちは厩の前で出立の準備を仕上げつつあった。しかしなんとも困ったことに、彼女らは課せられた任務を前にして、早くも仲間内での言い争いを始めていた。

 

「だから、あんたの使い魔なんて連れていけないわよ」

 

「いいや、ヴェルダンデを置いていくなんて考えられない! 僕らの地の結束は何よりも強いんだ」

 

「そうですぞ。彼のマモノ愛をルイズ様は否定するおつもりですか!」

 

ルイズは、はぁとため息をついて、頭を抱えた。

 

「そういう問題じゃないわよ。あんたたち、正気? アルビオンは空にあるのよ?

地面の中を進むモグラなんて、とても連れていけないじゃない」

 

「それが何さ」

 

ギーシュはぶっきらぼうに答えた。

 

「人間だって空は飛べないだろう。それでも立派にアルビオンへ行けるじゃないか。

 地に住まうヴェルダンデを浮遊大陸まで連れていけない道理はないね」

 

「地中の巨大生物を、わざわざ空の上まで連れていくのが正気の沙汰じゃないって言ってるのよ! 大体、問題はそのことだけじゃないわ。地中を掘り進むそいつを連れて行ったら、ラロシェールに何時つくか分からないわ」

 

「いやいや、君は誤解しているようだが、ヴェルダンデはこう見えて結構穴を掘るのが速い

「いいえ、ツルハシの方が速いです」君は何を競っているんだね?」

 

ルイズはウンザリとした顔で言った。

 

「何にせよ、モグラじゃ馬には追いつけないでしょ? ハッキリ言ってあげましょうか。急を要する任務に、そいつを連れてたら邪魔なのよ!」

 

ギーシュはショックを受けた様子で項垂れ、地面から頭だけ出したヴェルダンデを抱きしめた。

 

「ああヴェルダンデ! ここでお別れなんて悲しすぎる!」

 

するとヴェルダンデは鼻をもぞもぞ動かしたかと思うと、にわかに地上へと這い出て、全身を露わにした。

 

「? ヴェルダンデ、一体どうしたというんだい?」

 

その時ルイズは、巨大モグラのつぶらな瞳がきらりと輝くのを見た。

 

「モギュ~!」

 

「きゃあああ!」

 

ヴェルダンデは小熊ほどの大きさもあるその巨体でルイズに伸し掛かかり、彼女の身体へしきりに鼻を寄せ、くんかくんか匂いを嗅ぎ始めた。

 

「いや、ちょっと何よ! 離れなさい! ひゃっ! 変なとこ触らないで!」

 

ジャイアントモールが主でもない人様の言葉を聞くはずもなく、彼はたいそう興奮した様子でクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー! と鼻息を荒くしていた。

ここにきて魔王は、白い目でギーシュを見つめた。

 

「ギーシュ殿、まさかこんなアブナイ趣向を持っていらしたとは……

ケモノを女性にけしかけて喜ぶなんて、ロクな大人になりませんぞ」

 

「変な勘違いをしないでくれたまえよ!!」

 

「ならとっとと、破壊神様から彼を引き離してください」

 

「ハカイシン? ああ、彼女の二つ名かね。まあいい、ともかくやってみよう。おーいヴェルダンデ、何をそんなに夢中になっているんだい?」

 

ヴェルダンデは彼に振り向きもせず、相変わらず熱心にルイズの体を弄っていた。

 

「……やはりギーシュ殿は、普通の刺激に飽き足らず「だから僕にそんな趣味はない!」

 

ギーシュは、魔王の疑うマナザシを前に冷や汗をかきながら、釈明を始めた。

 

「これはきっと、彼女に何か原因があるに違いない。たぶん、彼女からヴェルダンデが喜ぶ匂いがするのさ」

 

「主の喜びは、これ使い魔の喜びでもあります。つまり彼は、ルイズ様の桃色ブロンドの髪をクンカクンカしたいという、主の求めに応じて……」

 

「いい加減その発想から離れたまえ! 彼が好むのは土のもの以外にない。おそらくだが、彼女の持ち物に、何か珍しいものでもあるではないかね?」

 

見るとヴェルダンデは確かに、ルイズの指にした水のルビーへしきりに鼻先を近付けようとしていた。

 

「こらっ、無礼者! 姫様から預かった大事なルビーを汚すんじゃないわよ!」

 

ルイズは巨大モグラの頭をポカポカ殴り始めた。ヴェルダンデは迷惑そうな様子でもきゅもきゅと鳴き声を上げている。

 

「ほれ見たことか! これが僕の愛らしきヴェルダンデの特技なのさ。

珍しい宝石や鉱物をこうして嗅ぎ分けてくれるんだ。土メイジの僕は大助かりだよ」

 

「ほう、それはそれは……。土中の宝箱とかも探せないものでしょうか?」

 

「試したことはないが、出来るかもしれないね」

 

その一言に魔王は一瞬、目を怪しく光らせるも、はぁとため息をついた。

 

「しかし、やはり大陸に行くまでがモンダイです。馬に乗せての移動とかは出来ないでしょうか?」

 

「残念だが、それは難しいだろう。なんせこの大きな体格だからね」

 

ギーシュが指さした先では、ルイズが懸命に鼻を近づけるヴェルダンデの頭を押しのけていた。

 

「あんたたち! 何時まで私をこのままにしておくつもりよ!」

 

ギーシュと魔王は顔を見合わせた。

 

「とにかく、これでは何時まで経っても出発出来ません。彼にはルイズ様から離れてもらいます」

 

そう言って魔王はルイズの傍らに向け、一歩を踏み出した。

その時、一陣の強い風がその場を凪いでいった。

 

「モギュ!!」

 

ヴェルダンデは吹き飛ばされ、ゴロゴロと地面を転げていった。

 

「フゲ――ッ!」

 

ついでに魔王も一緒になって転倒し、そのまま風に煽られズリズリと地面を引き摺られていった。

 

「なに奴だ!」

 

ギーシュは怒気を孕んだ鋭い声を上げた。

彼が薔薇の杖を掲げ、周囲を見渡したところで再び強い風が吹き抜け、彼の手から杖をもぎ取っていった。

 

「落ち着きたまえ。僕は君らの敵じゃない。なんせ、君らは僕の敵じゃないからね」

 

「あなたは!」

 

ルイズは、驚きの声をあげた。彼女の見つめる先には、つい昨日、妃殿下の馬車の一番近くを固めていた凛々しい騎士の姿があった。立派な髭を蓄えたその騎士は、まだ若そうでありながらも自信に満ち溢れ、強者の風格というものを醸し出していた。

 

「悪いとは思ったが、僕の婚約者を襲うケモノと不審者がいたものでね。

 ついつい黙って見ていられなくなったのさ」

 

「「婚約者!?」」

 

ギーシュと魔王は、思わず顔を見合わせた。

 

「子爵さま!」

 

ルイズが、喜びの入り混じった声を上げた。彼こそは、ルイズが幼い頃に親しい交流があった、憧れのワルド子爵その人であった。

 

「久しぶりだねルイズ。元気にしていたかい?」

 

「お会いできて嬉しいですわ、子爵さま! 先ほどは有難うございました。

 あの使い魔たちったら、本当に使えないんですもの。助かりましたわ」

 

「おや済まない。まさか君の使い魔だとは思わなかったのだよ。あんな趣味の悪いマガマガしいローブを着ているのが君の使い魔だなんて思わなくてね。ついつい一緒に吹き飛ばしてしまったよ」

 

「無理もないですわ子爵様。誰だって始めて見たらそう思いますもの。だから謝らないでください」

 

「ルイズは優しいね。許してくれて有難う。でも優しいついでにもう一つ頼みを聞いて貰っても構わないかな?」

 

「何ですの子爵様?」

 

「その子爵様というのは、やめて欲しい。昔のようにワルドと名前で呼んでくれないかい?」

 

ルイズは、ぽっと頬を赤く染めた。

 

「分かりましたわ。ワルド様……」

 

「いいや、様はいらない。ワルドと呼ぶんだ」

 

ルイズは、照れ臭そうに答えた。

 

「ワ、ワルド……」

 

そう言うと二人はしばらくお互いを熱く見つめあった。ルイズは、どこか熱に浮かされたようになっている。憎々しげに彼らを見つめる二人の人影のことなど、目にも入らないようであった。しかし彼女は、はっとして気を取り直すと、ワルドに疑問をぶつけた。

 

「でもワルド、どうしてこちらへ? 姫様の護衛でお忙しいのではないの?」

 

「今、僕に与えられた任務は君たちの護衛だよ。やはり君らだけでは道中困るだろうからね。

私も同行することになったのさ。お忍びゆえグリフォン隊を動かすことは出来ないが、

まあ私一人ぐらいなら、というわけさ」

 

「まあ、それは心強いわ!」

 

ここへ来て、ギーシュが疑念の声を上げた。

 

「おかしいじゃないか。姫殿下は誰にも気づかれぬよう、お忍びで君に話を持ってきたはずだろう? それなのに、どうしてそこの子爵殿にこの任務のことが漏れているのさ」

 

ワルドはフッと、含むような笑みを零した。

 

「魔法衛士隊を舐めないで頂きたいな。我々はそこいらにいるメイジとは訳が違うのだよ。

姫様の寝所を出入りする人影があれば、気付かぬ方がおかしいというものさ。最も我々は、

どこぞの誰かのように、あえて人目を避けたいと願う姫様の前に躍り出るほど無粋ではないがね」

 

「うぐっ……!」

 

ワルドの皮肉気な視線に耐えかねて、ギーシュは気まずそうに目を逸らした。

 

「とはいえ、妃殿下がお帰りになられたとき、黙って見過ごすわけにもいかぬ。諌言(かんげん)を呈すことが

出来ぬようでは、真の忠臣足り得ないからね。その時に、妃殿下から事の次第を聞いたというわけさ」

 

「それでヒミツのはずの話を聞き出したと? 諫言ではなく甘言のマチガイではないですか?」

 

ワルドは、魔王のチャチャをまるで相手にせず、話を続けた。

 

「実は昨日の晩、妃殿下のお顔が何時になく険しいことが気になっていてね。妃殿下の憂いを晴らすのもお側に仕える者の役目と思って、話を聞き出したのだよ。話が話なだけに妃殿下の口も堅かったが、ここで思わぬことが役に立った」

 

ワルドはそう言うと、意味ありげにルイズにほほ笑みかけた。

 

「何かわかるかい?」

 

ルイズは、首を傾げた。

 

「一体なんなの? 見当もつかないわ」

 

ワルドはいたずらっぽく笑うと、両腕を大きく掲げて言った。

 

「君との婚約だよ! 妃殿下は、僕が君のフィアンセだと知った途端、私に心を開いて下さった。

そして私は、婚約者である君が重大で危険な任務を果たそうとしていることを知った。

後は御覧の通りさ。おかげで僕は、この世界のために大いなる貢献が出来ることとなった。

まるで君と結婚する未来を始祖に祝福されたかのような思いがしたよ!」

 

「まあ、そんな! あの結婚の約束は、父が戯れにしたものなのに……」

 

そう言いつつも、ルイズは決して嫌そうな顔はしていなかった。

 

「いいや、僕は今回の偶然を偶然とは思わないよ。それともルイズ、君は運命を信じられないかい?」

 

ルイズは、顔をほんのりと赤く染めながら、頬を膨らませた。

 

「私は子供じゃないのよ」

 

「もちろんだとも」

 

ワルドは即座にそう答えた。

 

「君は立派なレディで、そして昔から思っていたことだが、僕にとってのお姫様さ」

 

「まあ、ワルドったら!」

 

ルイズの顔は、リンゴのように赤くなった。

 

「僕は本気だよ。魔法衛士隊での立場を築くためとはいえ、君のことを随分待たせてしまった。

長い間放っておいて本当にすまない。でも、君さえ良ければだが、今でも本気で君と結婚したいと

思っている」

 

「そんな結婚だなんて、いきなり過ぎるわ!」

 

「だからこそ、この任務は良い機会だ。僕はこの任務の道中で、君と離れていた時間を取り戻したいと思っている」

 

「ワルド……」

 

二人の間では、そこだけ薔薇が咲き誇っているかのような空気が醸し出されていた。

 

 

「コーヒー要りますか?ギーシュ殿」

 

「ああ、是非頂こうとも、使い魔君」

 

「ミルクと砂糖は?」

 

「いらない。すでに胸焼けしそうなほど甘い空気だからね。とびっきり濃く淹れてくれたまえ」

 

魔王はエレメントの上にくべていたヤカンの様な器具を手に取ると、そこから真っ黒な液体をカップに注ぎ込み、ギーシュにそっと手渡した。濃厚な香りが彼の鼻孔をくすぐる。ギーシュはグイッとそれを飲み干した。

 

「苦い、もう一杯!」

 

「何やってるのよ、あんたたち」

 

ルイズは、あきれた様子でギーシュたちを見下ろしていた。

 

「話は終わったかね?」

 

彼女の後ろから、ワルドが顔を覗かせた。

 

「まあとにかく、誤解もあったことだが、これからは同じ任務に就いた者同士、仲良くしなければな。ルイズ、先ほどは本当に済まなかったね。さあ、君たちもこれから宜しく頼むよ」

 

「「……」」

 

ワルドから差し出された手に対し、ギーシュも魔王も露骨な無視の反応を返したが、これにルイズはご立腹となった。

 

「ちょっと、なに大人気ないことしてるのよ。もしかしてまだ根に持ってるわけ?

ワルドが先ほど頭を下げてまで謝ってくださったのに!」

 

ギーシュは、疲れたような声でルイズに言い返した。

 

「僕のヴェルダンデや使い魔君の件もそうだが、彼が謝ったのは君に対してだけなのではないかね?」

 

「私が元々この任務を仰せつかったのよ。あんたらはオマケ。だから私に謝れば十分じゃない」

 

ワルドはぐいと一歩、ギーシュに詰め寄って手を突き出した。

 

()()()()頼むよ」

 

ギーシュはワルドの醸し出す威圧するような雰囲気に気後れし、しぶしぶと手を差し出した。

 

「ところで君たちは、さっき何を揉めていたんだね? 遠目には何か言い合っていたように見えたんだが……」

 

ルイズはそれを聞いて、弾けるように口を開いた。

 

「助けてちょうだい、ワルド。このおバカなギーシュが使い魔を連れていくと言って聞かないのよ。こいつの使い魔はジャイアントモールだっていうのに!」

 

当然、黙って聞いているギーシュではない。

 

「おバカとは何だ。そういう方がバカなんだ。使い魔とメイジは一心同体、彼を置いていくなんて考えられないね」

 

再び睨みだした二人を前に、ワルドは大きな笑い声を上げた。

 

「はっはっは! ルイズ、あまり彼を悪く言ってはいけないよ」

 

「ワルド!」

 

信じられないというような目でルイズはワルドを見つめるも、彼は堂々としてギーシュを褒めそやした。

 

「流石はグラモン家の子息、君の才能は稀有なものだ」

 

「おお! 僕は間違ってないと、そう言って下さるんですね!」

 

ワルドがいくら嫌な奴とはいえ、彼は皆のあこがれ魔法衛士隊の隊長である。そんな彼に褒められたギーシュは、つい先ほどの嫌な出来事を忘れ、エへへへと頬を緩ませた。納得のいかない顔をしているルイズをワルドが宥める傍ら、ギーシュは相槌を打ちながら彼の話を聞いた。

 

「いいかい、ルイズ。人は皆、重要な任務を目の前にするとどうしても緊張するものだ。

 だから、今の君がこういうことに敏感になっているのは分かる」

 

ギーシュはそれを聞いて、もっともらしくうんうんと頷いた。

 

「だが緊張は焦りを、焦りは失敗を生む。良くない傾向だが、人は人である以上、この(さが)から

逃れることは出来ない。だからこそ僕みたいに隊を率いる者には、皆の緊張を解すこと、つまり

ジョークを言う才能が求められるんだ「うんうん……え?」

 

ギーシュが思わず動きを止めたのに構わず、ワルドは言葉を続けた。

 

「ジャイアントモールを連れてアルビオンに行く? あり得ないだろう!! 彼は自分がバカだと

思われることも厭わずに、緊張で固まった皆の心を解きほぐそうとしてくれていたんだ。

プライドを地に落としてまでそんなことを言うとは、これは中々できることじゃない。

ルイズ、君は友達思いのいい仲間を持ったじゃないか!」

 

「まあ、そうだったのね! てっきり私は、またギーシュが馬鹿をやっているものかと思ったわ!」

 

「……」

 

押し黙るギーシュに、ルイズはしおらしく話し掛けた。

 

「ごめんなさいギーシュ。私あなたのことを勘違いしていたわ。まさかあなたが考えなしに

馬鹿を言っているだけじゃなかったなんて、思いもしなかったわ。本当はあなたもイロイロ考えて

生きていたのね。見直したわ!」

 

ギーシュは俯き気味に、目を潤ませながら答えた。

 

「……そうだろう。魔法衛士隊の……隊長様にも褒めて貰えて……鼻が高いよ……」

 

下を向いた彼の顔を、ヴェルダンデがもぐゅ?と鳴きながら不思議そうに覗き込んだ。

 

「はっはっは、何も嬉し涙を流すことはないだろう! いくら私が、スーパーエリートの魔法衛士隊隊長だからと言って、今は同じ任務を共にする同士なんだ。もっと気楽に行こうじゃないか」

 

「はい……」

 

ギーシュは潰れた声で返事を返した。彼の様子に満足を覚えたワルドは、もう一人の随行者に目を向けた。

 

「さて、それで君は……?」

 

魔王は返事を返さない。代わりにルイズが恥ずかし気に答えた。

 

「それが私の使い魔の亜人です」

 

「ほう、やはり亜人だったか。フム…… あまり強そうには見えないが、中々どうして興味深い」

 

ワルドは、魔王の頭のてっぺんから何から、嘗め回すように見つめると、ニコッと笑顔を作った。

 

「さあ、君も同士となるのだから、握手しておこうじゃないか」

 

ワルドは一応、魔王のことをニンゲン扱いすることに決めたのか、彼に右手を差し伸べてきた。

しかし魔王はこれにも応じず、断りの言葉を返した。

 

「私のいたところでは握手の習慣がないもので……」

 

「ほう? ではどうするのだね?」

 

「お辞儀をするのです」

 

「お辞儀だと? 亜人の癖に妙に礼儀正しい文化を持っているな」

 

ワルドは妙な顔をしつつも、頭を軽く前に下げた。

 

「ふむ、こうかね」

 

「いえいえ、まだまだ浅いです」

 

魔王の言葉に従い、ワルドは更にもう少し深く頭を下げた。

 

「こうかね?」

 

「全然、まだまだです! お互いが見えなくなるぐらい、深く頭を下げるのです」

 

「……こうかね?」

 

「スキありぃいい!!!」

 

魔王は、普段から彼が手にしている大きな杖を振りかぶっていた。髑髏を象った重そうな杖頭が、風を切りながらワルドの後頭部に近づいていく。杖がそのままワルドの頭にぶつかるかというその時に、一足早くルイズが動き、魔王をツルハシで突き倒した。

 

「フゲエッ!! ルイズ様、手を出すなんて卑怯ですぞ!」

 

「何が卑怯よ! ワルド様に何てことするの!」

 

「彼はお辞儀をしたのです! 格式ある伝統に則ってお辞儀をしたのだから、これは決闘です!

手出し無用! 手出し無用なのであります!」

 

「そんな騙すような真似して何が決闘よ!」

 

ルイズは、とどめとばかりにツルハシで魔王をぶん殴ると、ワルドに振り向いた。

 

「本当にごめんなさい、ワルド。この使い魔ったら油断も隙も無い奴で、何を言っても治らないのよ」

 

「ははは、元気があっていいじゃあないか。馬鹿とハサミも使いようだよ」

 

「まあワルドったら!」

 

ルイズがまたも恥ずかしそうに頬を赤く染めた。

 

「僕も先ほどは悪いことをしてしまったからね。これでお相子ということにしてくれないだろうか?」

 

「もちろん大丈夫よ」

 

言い終えると同時にルイズはさっと魔王に振り向き、睨みを利かせて言った。

 

「アンタ、ワルド様の寛大さに感謝しなさいよね」

 

「……ハイ」

 

魔王は渋々、返事を返した。無事二人への挨拶を終えたワルドは満足そうに頷いたかと思うと、急にピュイーッと口笛を吹いた。

 

「今度は僕の使い魔を紹介しよう」

 

ルイズたちの頭上から、バサバサと羽ばたく力強い音が聞こえてきた。そしてワルドが上空に向け手を振ると、鷲頭をした獣が二対の立派な翼をはためかせながら降下してきて、彼の傍らに降り立った。誇りの高さを伺わせる力強い眼光に、全てを包み込んでしまえそうなほど大きな翼、そして朝日を受けて金色に輝く体躯……その幻獣のあまりの優雅さに、ルイズやギーシュは思わず息を飲んだ。ワルドはその反応を満足そうに眺めながら、この幻獣の紹介を始めた。

 

「御覧の通り、僕の使い魔はグリフォ「これは私でも知っています! ヒッポグリフですよね!」……おい」

 

ワルドは怒気をはらんだ声で、魔王に言いつのった。

 

「この優雅で凛々しく誇り高い生物が、ヒッポグリフに見えるだと?馬鹿にしないでくれたまえ!

いいか、これはグリフォンだ。ヒッポグリフなんかとは全然違う! その違いと言ったら、

ガチョウとアヒルぐらい違う! 二度と間違わないでくれたまえ!」

 

ワルドは凄い剣幕で言い終えると、さっと顔を元に戻して、にこやかにルイズへと話し掛けた。

 

「さあルイズ、馬なんかに乗らずに僕のグリフォンに乗っていっておくれ」

 

「まあ! いいの? ワルド」

 

ルイズは目を輝かせながらはしゃいだ声を上げた。

 

「グリフォンに乗るのは初めてだろう?さあ、手を取って」

 

きゃっきゃウフフ

ルイズとワルドは、二人だけの世界で再び盛り上がっていた。

 

「ねえ、ワルド。このグリフォンにも名前を付けているのかしら?」

 

「ああ、もちろんだとも。僕の心強い相棒だからね。その名もバックビークだ」

 

「まあ、良い名前ね!」

 

「……」

 

魔王は目の前で繰り広げられるやり取りを白い目で眺めていた。

 

「……それであのマモノは、アヒルとガチョウ、どっちの方なんですかね?」

 

「僕に聞かないでおくれよ」

 

ギーシュと魔王の二人は、トボトボと乗馬の準備を再開した。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ピィィ―――ッ という甲高い鳴き声が、晴れ渡った青空に染み込んでいった。グリフォンは悠々と翼を広げ、ゆったりと空を飛んでいく。その姿は、かの存在がまさしく生物の頂点に立つ種族の一つであることを見るものに思い起こさせる。それに比べて、地を這う我々の何と至らぬことか。

馬を走らせ続け、息も絶え絶えなギーシュは、そんな考えても仕方のないことに思いを巡らせていた。グリフォンがまた一声、甲高く鳴いた。先を行くかの幻獣の力強い羽ばたきに、その後ろを追い掛けるギーシュらとの距離がまた開いた。これまでの道中で、ギーシュらは馬を何度も乗り換えたというのに、まだこれである。使い魔が使い魔なら乗り手も乗り手で、ワルドは疲れを欠片も感じさせない様子でグリフォンを乗りこなし、ルイズに笑顔で語り掛ける余裕がある始末であった。ギーシュは、思わず悪態を付いていた。

 

「ええぃ! 魔法衛士隊の連中は化け物か!」

 

「使役動物の性能の違いが…… 戦力の決定的差ではないという事を…… 教えてやりま…… グフッ!」

 

口を挟みかけた魔王は、全てを言い切る前にグッタリとして馬の背にもたれ掛かった。馬は辛そうな表情をして、唯でさえ遅くなり気味な足の動きを更に鈍らせた。

 

「使い魔君、またかね!」

 

ギーシュは、彼の後を追う形の魔王を叱責した。

 

「何度言ったら分かるんだね。そうやって馬に負担を掛ける姿勢を取ったら、余計に追い付けなくなるだろう!」

 

だが彼の厳しい言葉にも、もはや魔王は反応を返す気力を失っているようだった。ギーシュは、口から魂が半分飛び出ているかのような魔王の疲労困憊した様子を見てため息をつくと、大きく声を張り上げた。

 

「おーい、少し待ってくれ! 使い魔君がへばりそうだ!」

 

ワルドからの返事はない。しかし遠目に、ワルドとルイズが何か話し込んでいる姿が見えた。

そしてしばらくすると、グリフォンは段々と飛ぶ勢いを弱め、ゆるゆると空を進むようになった。

 

「ふん、止まってはくれないのか」

 

ギーシュは馬を止めると、大声を出して余計に疲れた体を引きずりながら、魔王の乗る馬へと近付いていった。

 

「君は本当に体力がないな! そんなことじゃあ、ラ・ロシェールまで辿り着けないぞ」

 

彼はそう声を掛けつつも、自分だってこのままいけばワルドたちに置いて行かれるのではないかという焦燥を抱いた。

 

「さあ、先ずは一旦、馬から降りて呼吸を整えたまえ。水も飲むといい」

 

ギーシュは、カヒュ~という弱弱しい息を立てる魔王を馬から降ろしてやりながら、いくら何でもこの使い魔は疲れ易すぎではないかという呆れを抱かずにはおれなかった。

 

「そもそも私は、ウマになんて慣れてないんです。ウ魔だと思って耐えてきましたが、やっぱりマモノとは全然違います!」

 

「君は何を言っているんだね」

 

ギーシュは白い目で魔王を見つつも、彼に水の入った革袋を手渡した。

 

「さあ、それを飲んだらもう一度頑張りたまえ。ここまで来て置いてかれるなんて、冗談じゃないからな」

 

魔王はゴクゴクゴクと水を飲み干していく。残り僅かになってく飲み水を目にして、ギーシュは水も足りなくなるのではないかという心配をしなければならなかった。魔王はプゥハ――と大きく息を吐くと、満足そうに唸った。

 

「少しゲンキが出てきました。さっきはもうウマはダメだと思ってましたが、こいつをUMAだと思ってもう少し頑張ってみようと思います」

 

「言ってることは分からないが、まあ何よりだよ」

 

僅かな休憩を終え、再び騎乗に戻る時間となった。ギーシュは、鞍に乗るのに難儀している魔王を馬の上に押し上げようと、彼の足を支えてやり、力を込めた。するとその拍子に、魔王の懐から何かが地面に落ち、カランと音を立てた。

 

「うん? 何だねこれは?」

 

見れば、それは棒状の持ち手の先に、これまた太い金属の刃が付いた道具、つまりはツルハシであった。ギーシュは感心したように言った。

 

「ほほう、これが前に僕を苦しめたツルハシか。ヴェルダンデにも負けない穴を人手で掘れるなんて、君もすごいマジックアイテムを持っているものだな」

 

「フフン、それはチョット違いますな。それをフツーの人が振るってもただのツルハシです。破壊神としての才能溢れるルイズ様が振るってこそ、深々と穴を掘り、幾多のマモノを生み出せるサイキョーの装備となるのです」

 

「破壊神ねえ」

 

ギーシュは感慨深げにつぶやいた。ゼロと呼ばれていたはずの、あのちんちくりんの彼女は、彼を蹴散らすだけに留まらず、他の生徒との小競り合いも制し、ついには怪盗フーケを捕えるまでに至った。今でも信じられないなあと、ギーシュは先を行く彼女の小さな後姿を見つめた。

 

「さあ、じゃあその大事なご主人様に早く追いつこうじゃないか」

 

ギーシュは落ちたツルハシを魔王に手渡すと、中途半端に馬に乗っかっていた魔王の足元をもう一度持ち上げ、彼をしっかりと座らせるべく踏ん張った。

 

すると魔王の懐からまた大きなものが幾つも滑り落ち、ガランガランと音を立てた。

 

「なっ!」

 

ギーシュは目を大きく見開いて、それらを見た。見間違いじゃなかろうかと、目をごしごしこすりもした。しかし、やっぱり彼の見たものは、変わらなかった。ギーシュは表情を硬くし、魔王に問いかけた。

 

「これは、一体何だね」

 

「これらが、我が地下帝国の誇るツルハシーズです!」

 

魔王は胸を張って答えた。トゲが付き、細かな細工が埋め込まれたツルハシ。ほの蒼く、清涼感を感じさせる光沢を持ったツルハシ。巨大なピンク色の玉石がはめ込まれたツルハシに、くわのように三又に分かれた刃が付いたツルハシ。その他にも、この世のどこを探しても見つからないような、妙に立派なツルハシの数々が、そこには散らばっていた。もしこれらをヴェルダンデが見たら、珍しい宝玉や金属の多さに喜んだかもしれない。土系統のメイジであるギーシュだって、普段ならば興味深くこれらを眺めたことであろう。しかし、激しい旅の行程に息を切らし、だくだくと汗を流しながらここまで進んで来たギーシュにとっては、そんな関心を抱くよりも前に、思うところがあるのだった。

 

「ずいぶん、重たそうなんだが」

 

「そりゃそうです。金属のカタマリがこんな数あるわけですからね。このズッシリと来る重みがまた、ツルハシに秘められた絶大な力を思わせるようで、スバらしいんですよね。これなんかすごいですよ、見てください! このツルハシ・ワミター、ここにはまった水晶を通して相手を観察するとですね、なんと他人の隠れたヒミツを探ることができるのです。これを使ってみんなのスキャンダルを集めれば、毀誉褒貶に富む貴族社会でも輝ける人生を「使い魔君!」

 

ギーシュは剣呑な声で魔王の言葉を遮った。

 

「これらのツルハシは、全部()()()()必要な、大事なものなんだよな? だからこんなに重たくても、全部運んでいるんだよな?」

 

「ええモチロンですとも」

 

魔王はもっともらしく肯いた。

 

「イマドキ、一つのモノを売り込むのにもバリエーションがないとやっていけない時代ですからな。破壊神様のあらゆる気マグレに応えるツルハシをお届けする。これ、魔ーケティングのキホンですぞ」

 

「は?」

 

「お分かりになりませんか? つまり、ルイズ様にダンジョン作りへの興味を持って貰う上では、ツルハシ一つとっても選択肢が多彩だということがヒジョーにジューヨーなのです。だから、例え一度穴を掘り始めたら、手にしたツルハシ以外に目を向けてるヨユーなんぞ無いとしても、これらのツルハシは大事なんです!」

 

魔王の力説を聞いて、ギーシュは肩を震わせた。

 

「さあギーシュ殿、馬から降りるのタイヘンなんで、それらのツルハシも拾って貰えませんか?」

 

「……」

 

「ギーシュ殿?」

 

「……僕が、預かっておこうじゃあないか」

 

「おお、心の友よ! ブッチャケ重たくて重たくて、持ってくれないかなーとか思ってたんですよね。助かります!」

 

ギーシュは、地面に散らばったツルハシを大きな麻袋の中に一つ一つ詰め込んでいった。そして彼は、麻袋の口を縄できつく縛ると、それを魔王に手渡す―――かと思いきや、近くに立っている木のそばまで歩いていき、その幹に袋を括り付けた。

 

「ギーシュ殿? 一体何をやっているのですか?」

「時に使い魔君」

 

不審がる魔王の声を遮り、ギーシュは言った。

 

「君は馬を長く、速く駆けさせるにはどうすればいいか、知っているかい?」

 

「? さあ、姿勢とかでしょうか「重みだ。余計な荷を載せないことが一番に重要だ。

これを気に掛けないなんて、論外に等しい」

 

ギーシュの一変した態度に魔王は恐々としながら、それでも言葉を返した。

 

「いや、あのですな。やっぱり張り詰めた任務の中でも、遊びゴコロを忘れてはイケナイと思うのです。ですからルイズ様も、一つのツルハシだけで飽きないよう「君は馬を潰すつもりかね! こんな重たいもの大事に抱えて、それでルイズに置いていかれたら意味ないだろう。ツルハシはここに置いていく。全てが終わった後にでも、回収に来ればいいさ」

 

魔王は声にならない悲鳴を上げた。馬が、迷惑そうに嘶く。

ギーシュは魔王に向け、更に暗い声で言った。

 

「荷を軽くしても、今までに蓄積された馬の負担が消えるわけじゃあない。それに加えて君の騎乗姿勢が崩れてくると、馬は余計にストレスを感じ、疲弊していくんだ。しかし、そうは言っても乗馬初心者の君が、正しい姿勢を維持するのは難しいだろう。そこで、使い魔君。君がどううごめこうとも、関係のない運搬方法を思いついた……」

 

そこでギーシュは、先ほども彼が使っていたある道具を持ち上げ、魔王に見せた。

 

「これを使う」

 

「ええと、イヤな予感がするのでお先に!」

 

魔王はそれを見た途端、馬を急き立てて逃げ出そうとした。

 

「待ちたまえ」

 

しかいギーシュは、彼が手にしている細長くしなやかで便利な道具―――縄を、カウボーイのごとくひゅるると投げて、輪っかになった先端を魔王に引っ掛けた。そして彼が手元の縄を強く引っ張ると、始めは緩かった縄の輪っかが狭まり、魔王の腕と胴体をぎゅっと締め上げた。

 

「ヘェアッ! こ、これはナニゴトですか!」

 

「君が下手に馬にしがみつけないよう、体を固定させて貰った。姿勢が崩れてきたら、僕が引っ張ってやろうじゃないか」

 

魔王は、すぐさま非難の声を上げた。

 

「これじゃあ、まるで罪人みたいではないですか! あ、でもちょっと罪人というヒビキはマガマガしいような…… いや、やっぱりダメです! 簀巻きにされるのと変わりません!」

 

しかしギーシュは、それを聞いてさらに良いことを思いついた。

 

「簀巻きにされるのと変わらない、か。よくよく考えれば、馬の負担をもっと軽くする方法があったな」

 

「そ、それは、何でしょうか」

 

魔王は冷や汗を描きながら、ギーシュに尋ねた。

 

「馬に何も乗せなければいい」

 

ギーシュは、自分の馬に乗り上げると同時に、強く縄を引っ張った。魔王がもう一頭の馬からドサッと落ち、悲鳴を上げる。その妙な甲高くしわがれた声を耳にしながら、ギーシュは淡々と、乗り手を失った馬の鞍にロープの端を括り付けた。そして二頭分の手綱を同時に握り絞め、馬を走らせ始めた。魔王が、するずると地面を引きずられていく。

 

「ホゲエエエエ! これは、いわゆるシチュー引き回しの刑……!」

 

「嫌なことを言わないでくれたまえよ。確か君は、元いた場所ではよく簀巻きにされ、引きずり回されていたそうじゃあないか。今回は、その経験がやくに立つというわけさ。なあに、馬に少しばかり楽をさせてあげるだけの話だ。使い魔君、男なら覚悟を決めたまえよ。はいやっ!」

 

ギーシュは、勢いよく馬を駆けさせた。ワルドらの乗るグリフォンに追い着くためには、急がねばならない。置いて行かれてなるものかと闘志を燃やすギーシュは、魔王の忙しない悲鳴を背後に聞きつつ、鞭を振るった。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「もう、何やってるのよあいつら!」

 

珍妙な悲鳴が耳に入り、思わず振り返ったルイズは、あきれと怒りの入り混じった声を上げた。

 

「いや、しかし彼らもよく追い付いて来ているものだ。置いていくつもりでいたんだがなあ」

 

「まあ、ワルドったらいけない人ね」

 

ルイズは冗談だと思って笑ったが、しかしワルドの目は笑っていなかった。

 

「見てごらん」

 

ワルドは前方を指さした。

 

「あそこに見える山間がラロシェールの入り口だ。到着は夜中になるだろうが、何とか今日中には着けそうだな」

 

二人を乗せたグリフォンは、遠くの山間に日が落ちるその時まで、悠々と大空を羽ばたき続けた。

 




水のルビーとヴェルダンデ

『ルビー!ルビー!ルビー!ルビーぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!ルビールビールビーぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!トリステインの青色ブルーの宝玉をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モグモグしたいお!モグモグ!モグモグ!石ころモグモグ!カリカリモグモグ…きゅんきゅんきゅい!!』

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