まじっく★すぱーく   作:草賀魔裟斗

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昔書いていた小説です

読者様 てかまた新規かてめぇも飽きねぇな

全く持ってそうなんですけどこれに関してはどうしても文に起こし、投稿したかったのでしました


♠A

異能力者を知っているだろうか

曰く魔王を退ける勇者

曰く疫病から人々を救う救世主

曰く人々を魑魅魍魎から守る退魔師

 

物語での彼らは力強く

または儚く、美しく書かれる場合が多い

だが人々の自由を脅かす魔王も大規模な疫病の流行も魑魅魍魎もいない現代においては彼らの役割は…

化け物だ

異端者…人ならざる者…と呼ばれ

火に炙られ首を切られ命を落とす

わかりやすい例が魔女狩りだ

魔女という異端にして異様な彼女らはおろか

魔女と思われるというだけで殺される少女もいた

人間という生き物は違いを恐れ

"違い"を嫌い、"違い"を受け入れない

そして"違い"を徹底的に排除しようとする

それでも全員の魔女が世界に害をなすわけではないだろう

人の心を持った魔女だっていたはずだ

魔女の魔は魔法の魔だ

けして悪魔の魔ではない

それでも人間は魔法を科学で否定し

魔女の存在を"違い"で否定した

 

話を戻そう…

現代において異能力者は…

化け物は

牙を剥かず、息を潜め、世界に溶け込み普通に暮らしているかもしれない

貴方はそんな彼…または彼女らを

"違い"を盾に否定しますか…?

 

真っ暗な場所に少女の叫び声が響く

「違う…違うの!私は…人間なの…」

黒い人影が少女の周りに近づいてくる

「化け物なんかじゃないよ…なんで…そんなこというの…?」

少女は黒い人影に牢に閉じ込められた

「出して…出して…」

少女の声が弱々しくなっていく…

 

「出して!」

夢から覚め朝日に目を細める

「…夢…か…」

女性はそう呟くと立ち上がった

「霊夢」

ドアが開く

「どうしたの?妖夢、覗き?」

「魘されていたようだったから…気になった…どうした?」

霊夢は俯く

「昔の夢をね」

「…そうか…仕事だ、支度しろ」

霊夢の顔に笑顔が戻る

「わかりましたよー、全く人使いが荒いなー」

妖夢は安堵したようにため息をついた

「あぁ…それはお偉いさんに言え…私は先に行っておく」

妖夢は部屋から出ていった

「…私は…私だから」

霊夢はさっさと身支度を済ませ部屋を出た

 

「チルノは起きたの?」

霊夢は職場の階段を降りながら妖夢に問いかけた

「びくともしない…切りつけそうになった」

「ありゃりゃ…寝坊助さんね」

霊夢が少し大人びた笑顔を妖夢に見せた

「あれは寝坊助なんて生易しいもんじゃない、三年寝太郎だ、あれが隊長だと思うと頭が痛くなる」

妖夢が頭を抱える

「うふふ…良いじゃない、平和なのはいいことよ」

「平和なのか…?」

そんなことを言っているとチルノの部屋に着いた

すぐに霊夢がチルノの部屋に入った

「チルノー」

「ふにゅ…なにー」

チルノは寝癖がまるで実験に失敗した博士のように逆立っていた

「ふふ…お寝坊隊長を起こしに来たのよ」

相変わらず、どこか大人びた笑顔をし続ける霊夢

「今、何時…?」

「16:00よ」

「ふえ!?」

チルノが慌てて飛び起きた

「うふふ…可愛い」

「ご、ごめん…あたい…」

「大丈夫よ、まだ朝の10:00だから」

チルノが胸を撫で下ろす

「でもお寝坊助隊長さんを起こす事はできたわよ」

「流石、霊夢だ…助かる」

妖夢がゆっくり入ってきた

「で妖夢、寝坊助隊長さんと私に仕事の説明をしてちょうだい」

「うむ…異能力者の解放戦線って知ってるか?」

霊夢の顔から笑顔が消えた

「…解放軍がどうしたの?妖夢」

「なぁに…それに感化された一部の異能力者が襲撃してるから止めてくれとのことだ…今日の12:09より国会議事堂を襲撃するんだとよ…あー過激派人権保証団体だっけか…過激な行動をとる輩を拘束すればいいだとよ」

霊夢は深く深呼吸した

そのあとはいつものニコニコした霊夢に戻る

「了解…」

「今回は力仕事だ…私と霊夢が行くからチルノは…」

「留守番?」

チルノの顔に行きたいとかいてある

霊夢はクスクスと笑った

「正直ね…顔に書いてあるわよ、あたいも連れてけ!ってね」

「なっ!よ、妖夢!あたいの顔に落書きしたな!?」

「してねぇよ!するわけないだろ!」

「だって霊夢が…」

「そう言う慣用句なんだ」

「か、かんようく?また、意味の分からない事ばっか言って…妖夢!あたいの事バカにしてるのか!?」

「バカにはしてないがバカだろ」

「なにをー!」

チルノが妖夢に飛び付いた

「イテテテ!やめろ!引っ張るな!」

二人はもみ合いになった

そんな二人を霊夢はニコニコと笑ったまま見詰めていた

その様子を妖夢もみかえす

霊夢は自分の過去を話したがらない

けど、たまに霊夢の大人びた笑顔には

どこか闇を帯びていた

「ところで行かないの?別にいいんじゃない?拘束ならチルノの能力も使えるしさ…それに一人は可哀想だよ」

霊夢の口癖である

一人は可哀想…それが彼女の過去の象徴なのかもしれない

それにこれを言われると妖夢は反対できない

「…わかった、隊長不在もおかしいもんな…一緒に行こう」

「わーい、やったー!」

霊夢はニコニコしたままチルノに言った

「良かったね、チルノ」

「うん!」

妖夢は肩を竦めた

「それじゃ行こう」

 

国会議事堂前

警備員と同流した

二人の警備員が立っていた

若手の警備員が問いかけた

「…あなた方は」

霊夢が応えた

「国家秘密治安維持警察隊です、とある国家からの要請で貴方たちと合流します」

「ありがたい…我々も暴力は極力避けたいのですよ…では配置の確認を…」

「私たちは国会議事堂前を…あなた方は裏をお願いしてもよろしいでしょうか…頭数から見ても、私たちがこっちを担当したほうがいいです」

若手の警備員が目を鋭くする

「我々の腕が信用できない…と?」

「そういう事ではありませんが…」

ベテランの方の警備員が若手の警備員を静止する

「ここはお任せします」

「先輩!」

「…」

霊夢は少し複雑そうな表情になった

「すみま…」

「貴方が謝ることではありません…お互い、守るべきものの為に精一杯頑張りましょうじゃないですか」

ベテランの警備員は若手を連れて裏側に回り込んでいった

「なんで異能力者が来るから…と言わないんだ?」

妖夢が問いかけた

霊夢は首を横に振った

「分からない…」

「…」

霊夢は真っ直ぐ霊夢を見つめる妖夢から目をそらした

「信じてくれないよ…だれも」

「…かもな」

霊夢が深呼吸をした

「…頑張ろう」

奥から数十人の人間が見えた

「…やりにくいな」

「思ってる事は皆同じさ…拘束でいい…そう思えば良心的だろ」

「…仰るとーりです」

すると銃声が響く

「この政府の犬がぁぁぁぁ!」

チルノの頬を掠めた

「チルノ!大丈夫!?」

「うん…もうお昼寝もできないな…」

「銃持ちがいるな…異能力者の集まりではないのか?」

チルノの後ろの国会議事堂の壁に練り込んだ銃弾は生き物のように動き始める

霊夢を狙って銃弾は飛んでいく

がまたもや霊夢には当たらず掠めるだけ

「!?」

「異能力者はいるな」

「だね…」

「カトンボは落としてくれ」

「わかった」

銃弾は今度は妖夢に向かい飛んでいく

妖夢の直撃ゾーンだったが

霊夢が銃弾を受け止める

通常であれば手を貫通する所だが血液の一滴も落ちる事はなかった

襲撃部隊もざわめく

「あら皆さんお探しものですか?…あら落とし物でしたら私が預かってますよ」

霊夢は手に落ちた弾を襲撃部隊にみせる

異能力者が動かさそうとしたのだろうピクピクと動いている

「…あらせっかちさんは嫌われますよ」

霊夢が上空に弾幕を投げる

「チェーンダンス!」

弾幕は鎖状に変化する

また、質量保存の法則を無視し鎖は伸びて銃を撃った異能力者を捕らえる

「…異能力者一人でよく、異能力者の人権保証を認めさせる団体を名乗れたものだ…」

襲撃部隊は一斉に射撃してきた

「チルノ」

「ほいほーい」

チルノが手をつきだすと巨大な氷の分厚い壁ができ弾丸を通さなくなる

「ヒィ…彼奴ら…」

「俺達の手に追えないぞ」

「仕方ない、撤退するぞ!」

襲撃部隊は一目散に逃げて行った

「…生粋のバカだな…さてと」

妖夢は異能力者の鎖を指で絶つ

「あんたも不運だな…あのバカ達に雇われたのも…私らが相手だったのも」

「…あ、あんたらは一体…」

「私らか?…国家秘密治安維持警察隊…spadeと呼べば分かるか?」

異能力者は首を横に振った

「?…私達のことも知らないなんて…今回の事は魔が差しただけ?」

男は頷いた

「どうする?」

「拷問すれば何か吐くかも」

チルノが手をつきだす

「ヒィ」

「あのな…」

「チルノ、ふざけてもそんな事言わないで」

霊夢の真面目なトーンでの言葉に空気が凍りつく

「ご…ごめんなさい」

「…あ、いや…その…私こそ…ごめんなさい…」

「ともかく、拷問はなしだ…それに」

男が泡を吹いて倒れている

「チルノの脅しで伸びた…こんなやつが解放軍なわけねぇだろ…適当に放っとこうぜ」

「そうね」

「ヘタレなんだね」

「チルノ、もうちょいオブラートに包んでだね…」

「うふふ…」

霊夢が何かに気づいたような仕草を見せるとチルノ達を見た

「あ、ちょっと用事があるから…行ってくるね」

「あぁ」

霊夢だけが離脱する

 

霊夢は電車に揺られる

「…」

となりに金髪の女性が座った

「…霊夢」

「何?」

「…怪盗手伝ってくんねぇか?」

「私が?」

金髪の女性が手を合わせる

「なぁー頼むよー」

「魔理沙、あのね、私…」

「無理は承知さ…お願いだぜ…」

魔理沙と霊夢は随分長い付き合いの友人だ

「…うん…」

「ありがとよ!大好きだぜ!霊夢!」

「うふふ、こちらこそ」

「ありがとよ!んじゃな!」

魔理沙は途中下車していった

「まぁ…いいわ…」

 

霊夢は山奥に建つ孤児院を訪れた

「あー!霊夢のおばさんだー!」

「こら!霊夢さんに失礼でしょ!」

霊夢は相変わらず大人びた笑顔を向ける

笑顔の先には孤児院を経営している緑色の髪の女性が苦笑いを浮かべていた

「もう、おばさんで良いよ、元気で良いじゃない」

「あはは…霊夢さん…お帰りなさい」

 

女性は霊夢を自室に招いた

「いつもありがとうございます」

「良いのよ…早苗」

早苗はまた、奥ゆかしい笑顔を霊夢に向けた

「…早苗、ここにくる途中に魔理沙に会ったわ…」

「相変わらず、怪盗してるんですか?」

霊夢は頷いた

「魔理沙のたのみは…断れなくてね」

「いいんですか?」

「なんとかする」

早苗が少し肩を竦めた

「ダメですよ、霊夢さんは魔理沙さんとクラウドさんに甘いんですよ、昔からたまにはガツンと言わなきゃ」

「あはは…でもいつか…四人が揃える日が来ると良いね」

「…そうですね…」

暫く沈黙が二人を包んだ

「そういえば、霊夢さんは最近、なに食べているんですか?」

「最近…冷凍とかで済ませてるかな…」

早苗が身を乗り出す

「ダメですよ!ちゃんと野菜を取らないと!三食ちゃんと食べてますよね?」

霊夢が目をそらした

「霊夢さん?」

「朝…取れて無い日が多い…かな」

「ダメじゃないですか!今度、ランチの時に私の所に来て下さい!」

「早苗の手料理食べれるの!?」

霊夢の表情が輝く

予想外の反応に早苗も驚く

「は、はい」

「うわぁ…楽しみだな」

霊夢の笑顔が一変、子供らしい無邪気な笑顔になった

「…霊夢さんは変わりませんね…」

「…私に言わせてみれば皆、昔のままだよ…時間だけが…過ぎていく」

「…そうですね」

時計の針がチクチクと時を刻む

それは止める事のできない波

二人はその波を感じながら感傷に浸っていた




また、用語集を作ろうと思います
原作設定は完全に無視ですが
これだけはどうしても投稿したかったんです…
なんでかは分かりませんが

原文からこの小説の霊夢は悟りでも開いてんのか
と思うくらい聖人です
それも彼女の過去からくるものなんですが…
それに関してはおいおい…ですね
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