そういえば、この小説の霊夢とクラウドといえばバカップルを通り越してサイコップル(今命名)ですが
とある貴方の闇診断アプリによると僕もサイコップルの気があるようです
ナンテコッタ\(^o^)/
クラウドは夜の町を駆け抜ける
怒りの発散方法がそれしか思い付かなかったからだ
叫びそうな気持ちを必死に押さえ込み走り抜けた
不思議と衣玖への怒りはない
不甲斐ない自分への怒りで頭がおかしくなりそうだった
守り抜くと決めた者さえも守れない
自分への怒りが心で放火する
「…くそが!」
クラウドは壁に拳をぶつける
「俺は…大切な物…一つも守れないのか…ッ!」
そんなクラウドに近づく影がひとつ
「…なんでだ…俺は…なんで着いていかなかった…」
クラウドは数分前の回想をしていた
買い出しに行こうとする霊夢に
「着いていこうか?」
と聞いた
すると彼女は
「いいよ、買い出しくらい一人でできるもん、クラウドは休んでて、今日は料理がんばるから、期待しててね」
と自分に笑顔を見せてくれた
その時はそれもそうかとクラウドも自己完結して彼女を送り出した
それどころか全く別の事を考えていた
今となっては何を考えていたのかさえ、クラウドの脳内から削除されているが…そんなクラウドの行為が結果として霊夢の重症として帰って来たとクラウドは考えている
「…俺は…」
「ワッ!」
「!!」
クラウドは剣に手をかけた
そこには咲夜が立っていた
咲夜は両手を上げていった
「ごめんなさい!ほんの悪戯のつもりだったの!」
「なんだ…あんたか…」
クラウドは剣を下げて呟いた
「何のようだ?」
「用って訳じゃないんだけどね…てか姉として妹の彼氏と話すのは普通じゃない?もしかしたらそのうち、義弟になるかもなんだし」
「…そうかもな…」
咲夜が首を傾げた
「どうしたの?」
「色々あってな…」
クラウドは背後に殺気を感じた
彼は剣先を背後に向けるしかし誰も居ない
後頭部で拳銃を構えるカチャッという音がした
「残念、私はこっちだ」
蓮子がニヤリと笑った
「ッ!!」
「あんた!?いつから…」
咲夜がナイフを取り出して構えた
「待て待て、敵対の意思はないよ…少し、試してみたかっただけ、貴方の力量をね」
「…」
クラウドと咲夜が武器を下げる
蓮子も拳銃をしまう
「悪かったね、私は蓮子、君たちの味方だよ」
「…蓮子?…お前…霊夢に似てるな…何者だ?」
「答えを急ぐんじゃないよ、ただひとつ言えることがある…彼女は私、私は彼女…今はそれだけ」
蓮子が拳銃をくるくると回す
「君たちに情報を授けに来たのよ、魔理沙には伝えたのだけど…私も彼女が襲われたのは予想外にして…予定外だ」
「予定外?…お前何を知っている?」
「クラはこうだからダメだね…あの子の事になるとすぐに突っ走るんだから」
クラウドが剣を振り落とす
蓮子はバックステップで剣をかわす
クラウドの剣は道路のアスファルトを粉砕し分解する
「俺の事をクラと呼んでいいのは霊夢だけだ」
「癇に障ったかな?なら謝るよ」
「クラウドくん、落ち着いて!」
咲夜の言葉にクラウドは剣をしまう
「…で?なんだ」
「そうだね…霊夢…君の大切な人を襲い重症を負わせたのは異能力者保護戦線…旧異能力者解放戦線だ」
「異能力者解放戦線が…何故霊夢を…」
「…spadeが邪魔になった…とある計画のね」
「また…"計画"か?」
蓮子が人差し指を左右にふった
「旧政府の"計画"ではないさ、異能力の人権保護が叫ばれてるこのご時世で流石に非人道的な人体実験は行えないよ」
「なら…構わんが」
蓮子がクスクスと笑いながら言った
「頑張れクラウド…きっと彼女はこんなことは望んで無いだろうけどね」
「構わん…俺の自己満足だ」
クスクスと言う笑い声を残し蓮子は闇夜に消えていった
「…と言うことだ、俺は霊夢の仇を取る…お前は霊夢んとこに居てやってくれ…あいつ、きっと一人だと泣いてしまう」
「クラウドくん」
「俺は犯人を殺す覚悟も出来てる、それで捕まってもかまわない…なんなら死んでも刺し違える」
「なんでそこまで…」
「あたりめぇだ!」
クラウドは咲夜の肩を掴んだ
「俺にとって霊夢は何よりもかけがないものだ…俺の人生において一点の光だ!…それを傷つけられて…許せるものか!」
その言葉の半分は自分に当てられたものだった
咲夜は否定も肯定もせず優しげな微笑みをクラウドに向けるだけだった
「ありがとうね…あの子を愛してくれて…でも帰るわけには行かないわ、姉として…それにあの子を愛してくれている、クラウドくんを一人で危険に晒さしたとあればそれこそ、姉失格ですもの」
「小生も手伝おう 、雲殿、咲夜さん」
不意に声がした
両者とも声のほうを向く
そこには月夜に照らされた赤い絹糸のような髪を持つ少女が一人
「コア…」
小悪魔はクラウドの横に立った
「パチュリーさんがお怒りだ、小生には分かる…あの方の怒りを抑えるのは元来、小生の役目であっただろう」
咲夜が真実かどうか確かめるようにクラウドをみた
「あぁ…奴…衣玖という女は霊夢だけでなくパチュリーも攻撃した…結果としてパチュリーのプライドをズタズタにする結果になったらしい…魔理沙によるとパチュリーはどこかへ行ったらしいがな…」
小悪魔がクラウドに背を向ける
「パチュリーさんの毒は体内精製ではない」
「はぁ?」
「パチュリーさんの能力は体内に取り込んだ毒を貯蔵する能力…恐らく毒の充填をしにいったのだろう…一度、ある組織がパチュリーさんの書庫を燃やした事があった…パチュリーさんは我を忘れられる程、ご乱心になった…あのお方でさえ止めかねる程だ」
あのお方にクラウドは引っ掛かるも続きを聞く
「その際に大量のヒ素と王水を蓄えられたパチュリーさんはその組織を壊滅させて、ビルを一つ、溶かした」
「なっ!?」
ビルを一つ!?
クラウドは世界の広さを実感した
「ビルを一つとはな…世界は広いな」
「異能力者通しの戦闘はほぼ、核戦争に等しい…比喩的にも物理的にも…小生は核融合を操る異能力こそ、知らぬが同じ異能力は知っているからな」
小悪魔が咲夜のほうをみた
「そうね…私と霊夢…そして私の根源こと、リリーホワイトは鎖に変化させる能力…もしかしたら本当に敵国同士に核融合を操る異能力者がいたら…それは核戦争の始まりだからね」
「ここで我々がパチュリーさんを止められねば…この和の国で核戦争にも等しい戦争が起きる…それも国通しではなく、個人の…特にパチュリー様は…」
クラウドが咲夜に耳打ちをした
「小悪魔って人の話し聞かないのか?」
「えぇ…元からよ、パチュリー様の事になると自分の世界を造ってしまうのよ、こうなると暫くはこのままね」
「余程、好きなんだなパチュリーの事が…」
クラウドは尚も語り続ける小悪魔に近づいた
「パチュリーの事は良くわかった早く行動に移そう…このままではパチュリーに霊夢の仇を殺されてしまいそうだ」
「霊夢殿の仇討ち?…雲殿は病的愛情異依存の典型だな…霊夢殿がそのような事を望まぬ人格であることはわかっている筈だが?雲殿」
クラウドが夜空を見上げた
「あぁ、俺は雲だ…名の通りな…雲は誰よりも自己中心的で自由だとは思わないか?…俺達の気持ちには関係なく天気を操り…人間の心を手玉にとって玩ぶ……雲がそうなら俺は誰が望んでなかろうが自己満足で霊夢の仇を取らなきゃいけない…それは自分に課した十字架であり俺の自己満足でもあるんだ…俺がクラウドであるかぎり…俺は雲で居続けねばならない…自由で自己中心的な雲でな」
小悪魔が首を傾げた
「自分を必要としてくれる人物は宝物であり、自身を縛る鎖でもある…ただ俺は」
クラウドが歩きだした
「こんなに心地いい鎖なら切ることはしない…縛られたままで…いい」
クラウドの後を追って小悪魔と咲夜も動きだした
「やはり雲殿は…病的だ…本来ならそこまでの期待を…鎖に縛られてはいずれ精神が壊れてしまう…なのに雲殿はその鎖を楽しんで…いや鎖や鎖による痛みでさえも愛している…」
「おかしいか?」
小悪魔が申し訳なさそうに頷いた
「…俺は霊夢を病的に愛している…それは自覚済みだ、二度も言われる筋合いは毛頭ない…が霊夢はそんな俺にも真摯に接してくれる…通常なら重いと言われても仕方がない愛を押し付けてもだ…気持ち悪がりもせず…ただ俺を愛してくれる…だけど、それが霊夢の負担に…荷物に成ってないかが心配なんだ…俺は愛が重い…それも自覚している…がこの重い愛しか…俺は持ち合わせていない…霊夢を愛する方法を俺はこれしか知らない…」
クラウドが深刻そうに告げた
最後まで聞くと咲夜が頭を抱えてため息をついた
「…全く、類は友を呼ぶとは良く言ったものよね…大体、貴方たちは両方とも愛が重いわよ…でもだからいいじゃない、貴方たちは似た者同士だからこそお互いの重い愛を受け止められる…貴方が重い愛しか持ち合わせていないのなら霊夢もまた、重い愛しか持ち合わせていないのよ…本当にお似合いのカップルね」
クラウドは少し、ほっとしたように表情を崩した
「咲夜にそう言って貰えると安心する」
「それじゃ、クラウドくんは急いで仇を探さないと!…行くわよコア」
「御意に咲夜さん」
クラウド達は夜の町に消えた
都内、廃ビル
薄暗い部屋を月明かりがうすらぼんやり照らす
そこには人影は2つ
一つは衣玖と名乗った人物
そして玉座のような椅子に足を組んで座っている人物が一つ
座っている人物が衣玖に話しかける
「ねぇ衣玖、お嬢様は見つかったの?」
「いえ…確認しておりません」
座っている人物がだらりと座る
「弱ったわねぇ…よりにもよって日本の東京から元spadeの人物を探せとか言われても…砂漠から一粒の砂粒を見つけるような物よ…まぁ名前が分かるからなんとかなる…か…ところで衣玖、spadeはどんな調子?」
「リリーホワイトの娘は戦闘不能です…大分念入りに電撃を流し込んだので暫くは目覚めないかと…大変心苦しいのですが…任務達成のための致し方ない犠牲とカウントしてあります」
「…そうね…これ以上、お嬢様を傷つけるような事はしたくないな…spadeにはもう手を出さないようにしようかしら…」
「…そうとも行かないらしいですね」
足音が迫ってくる
「貴方はspadeかしら?」
「いいえ、私はハート怪盗団のパチュリー・ノーレッジ…異名はデザート・サーペント」
衣玖が興味を示す
「デザート・サーペント?欧州の暗殺集団のボスが同じ異名でしたね…もしや?」
「そうよ、欧州の暗殺集団…デス・サーペントのボスがこの私…もう引退して久しいんだけどね」
座っている人物がクスクスと笑う
「何が可笑しいの?」
「失礼…でもあのムサムサ集団のボスがこんなに華奢な少女だと知ると面白くて…」
座っている人物が立ち上がった
「衣玖はお嬢様を探しなさい…砂漠の危険な毒蠍は私が駆逐しましょう」
「御意に」
衣玖がその場を去った
「…本当はミス衣玖を倒しに来たのだけれど…貴方でも構わないか…」
「ふふ…私の名前は比那名居天子…旧異能力解放戦線のリーダーの娘よ…ところで蠍さん暑くはないの?そんな露出の少ない服を着て」
「…直に分かるわ」
パチュリーはダボッとした袖を捲りあげて自分の腕にナイフを突き立てる
赤い血液は流れず透明に近い液体が流れ出した
「なっ!?何してんのよ!?…血じゃない…?」
天子は驚愕したように言った
「河豚毒と知られるテトロドトキシン…煙草に含まれるニコチン…毒の代名詞、青酸カリ…この世にはありとあらゆる毒が存在するわ…」
パチュリーから流れた血液は廃ビルの床に落ちて煙をあげて床を溶かす
「私は…この世の毒では死ねない…河豚を釣り上げてそのまま食べても…青酸カリを飲ませられても…その代わりに異能力が強化されていくだけ」
天子が苦笑いを浮かべた
「…なるほど、何故、貴方がデザート・サーペントなのか…何故、貴方の服には異常とも言えるほど露出がないのか…全て解ったわ…恐ろしい能力ね…」
パチュリーは続ける
その間も腕からは透明な液体が垂れ続けている
「ところで貴方はスズメバチを知っているかしら?…いえ、知らない方が変よね…様々な成分の毒をもつ、彼らは毒のカクテルと呼ばれているのよ…主成分は炎症を引き起こすヒスタミン…神経毒のセロトニン、アセチルコリン…アナフィラキシーショックの原因のペプチド、ホスホリパーゼ・プロテアーゼ…確かに大量の成分だと思う…カクテルなのも頷けるわね…でも彼らがカクテルなら私は…」
パチュリーは透明な液体を相手にかけるように飛ばした
飛ばされた相手は反射的に避けた
飛ばされた液体はパチュリーとは反対側の壁に付着し壁が悲鳴と煙をあげる
「さしずめ、毒をスパイスとしたカレー…って所かしら…スズメバチの比じゃない…私の体液の殆どはこの毒のカレーで作られているわ…この20年の人生の中で…蓄積された毒でね」
「…なるほど…それが貴方の異能力か…なら私も能力をみせないと失礼にあたるわね」
天子の周囲の壁が剣に変化した
「…」
「私の能力は周囲の物を剣に変化させるのよ…彼のリリーホワイトよりも殺傷力の高い能力よ…最強の異能力者は彼の人じゃない…この私よ」
パチュリーに一斉に剣が襲いくる
パチュリーはバックステップで避けた
辺り一面が砂煙で包まれた
spade、事務所
「う…」
霊夢がゆっくりと目を覚ました
「気がついたか?」
「妖夢…ここは…」
「事務所だ…魔理沙が届けてくれた…」
霊夢が起き上がると魔理沙とチルノがトランプをしていた
「ちょっとくらい心配してくれてもいいのになぁ…クラは?」
「そのうち戻ってくるだろう…で?何があった?お前程の人間が…」
「あぁ…買い物帰りに襲撃されてね…そうそう思い出した…衣玖って奴が天子って人のためにやったっぽいよ」
「天子!?」
魔理沙が立ち上がった
「どうしたの?魔理沙」
「霊夢!天子つっーのは本当に言っていたのか?」
「えぇ…天子と衣玖という名前が出てたから間違いないと思うわよ」
魔理沙は驚愕した様子で数歩後ろに下がると走り出した
「魔理沙!…ところで妖夢…クラは仇討ちかな?」
妖夢は目を見開いた
「何故…」
「クラ…今、泣いた気がしたから…」
霊夢が立ち上がった
「大丈夫なのか?」
「大丈夫…クラは私の涙を拭ってくれた…今度は私の番」
霊夢は魔理沙の後を追っていった
(クラ…泣かないで…悲しいよ)
クラウドにはクラウドの覚悟があって霊夢を愛しているという回でしたね
パチュリーもかなり危険な能力ということが判明しましたし…大きくイメージ変化した回だったのじゃないでしょうか…いい意味でも悪い意味でも