ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第116話

「行くぜ、シュウ!」

 

まずは挨拶代わりとばかりにエースが代名詞でもある《火拳》を繰り出す

 

以前に見たものよりも大きく、武装色も込められた火の大波が迫ってくる

 

「成長しましたね、エース」

 

だが、そんな情況でも慌てずに私は言葉を続けていく

 

「ですが、成長したのは貴方だけではありませんよ!」

 

手にする木剣に武装色を込めて振り抜く

 

すると、火の大波は断たれて散っていった

 

「ヒュー!やるじゃねぇか!」

「ククク、この程度ではありませんよね、エース?」

 

私が挑発するように言葉を掛けるとエースが不敵に笑う

 

「あぁ、今日こそ勝ってみせるぜ!」

 

エースは全身を火に変えるとこちらの至近に飛び込んでくる

 

そして火が人の形を成すとそこには武装色を拳に纏わせて振りかぶっているエースの姿が

 

私は呼応するように木剣に武装色を纏わせて迎え撃つ

 

そして、互いに撃ち合った衝撃で周囲の砂に波紋が出来上がるのだった

 

 

 

 

「…すごい」

 

わたしの近くでシュウの決闘を見ているビビ王女がそう呟く

 

…わたしがシュウの姿を見守っていた時もビビ王女みたいに見えていたのかしら?

 

これじゃあベルメールさん達にからかってと言っているようなものよね

 

わたしは少し頬を赤くしているビビ王女の横顔を見る

 

陽に焼けたから赤くなっていると思いたいのだけど…それは楽観的過ぎよね

 

「ねぇ、ビビ王女でいいのよね?」

 

わたしが声を掛けるとビビ王女はハッとしたような表情をしてわたしを見てくる

 

「はい」

「初めましてね。わたしは《シュウの恋人》のナミよ。よろしくね」

 

牽制の意味を込めて恋人と強調しながらわたしはビビ王女に手を差し出す

 

「ビビで構いませんよ、ナミさん」

「そう?」

「はい、こちらこそよろしくお願いしますね」

 

そう言ってビビはわたしと握手をする

 

「ナミさん、シラカワ博士は協力してくれるでしょうか?」

「ごめんね、ビビ。わたしにもわからないわ」

 

個人的にはココヤシ村みたいに海賊に支配されようとしているアラバスタ王国を

守るのを手伝ってあげたいと思うけど…

 

「なーなー、お前!あの人がシラカワ博士なのか!?」

 

わたしは声がした方を向く

 

「…たぬき?」

 

そこには青い鼻のたぬきがいた

 

「たぬきじゃねぇ!トナカイだ!」

「ナミさん、トニー君はルフィさん達の船医なの」

「へぇ~」

 

ビビの話によるとリトルガーデンと呼ばれる島でウソップが七日病に罹ってしまい

それを治すためにドラム王国に向かった所でこの青鼻のトナカイを仲間にしたみたい

 

「おれ!博士と話がしたいぞ!」

「ふふ、そうね。私も話がしたいわ、トニー君」

 

ビビと青鼻のトナカイの会話を聞いてわたしは少し警戒する

 

ビビがシュウと会話したいのは王女としてなのか女としてなのか…

 

わたしのそんな警戒に気づかずにトナカイとビビの会話は弾んでいく

 

それを聞き流しながらシュウの決闘を見ていくと遂に決着がついたのだった

 

 

 

 

「あー、ダメだ!もう動けねぇ!」

 

そう言ってエースが砂の上に大の字に倒れる

 

「私の勝ちですね、エース」

「あぁ、大人しく帰って親父達にドヤされるとするさ」

 

私はエースに手を差し伸べる

 

「もう少しなんとかなると思ったんだけどなぁ」

「ククク、覇気は使えるようになったのですから後は経験を積むだけですよ」

 

エースが私の手を掴んだのでエースを引き起こす

 

「いてて…」

「その痛みは自業自得という事で」

「ハハハ!その通りだ!」

 

私はボロボロになり身体に力が入らないエースに肩を貸す

 

「それで、シュウはどうすんだ?」

「どうするとは?」

 

私が聞き返すとエースがため息を吐いてから話を続ける

 

「わかってて聞き返してるだろ」

「ククク」

 

決闘を終えてエースと話しているとナミがこちらに近づいてくる

 

「ナミが手助けをすると言えばそうしましょうか」

「海賊の俺が正義を気取るつもりはねぇけど…それでいいのか?」

「七武海を相手にするのならばナミに相応の覚悟をしていただく必要がありますから」

 

首を傾げながら聞いてきたエースが私の言葉に理解を示す

 

「あの嬢ちゃんに経験を積ませるとしても当人に相応の覚悟をか…」

「えぇ、その通りです」

「シュウ、お疲れ様」

 

どうやらナミが来たようですね

 

「では、エースを白ひげの所に連れていきましょうか」

「待ってください!」

 

転移をしようとした私達をビビが呼び止めてくる

 

「博士、アラバスタ王国を…!」

「その件はナミ次第ですね」

「わたし?」

 

話を振られたナミが少し驚いている

 

「えぇ、ナミに七武海と戦う覚悟があるのならばビビを手伝いましょう」

 

私の言葉にナミは顎に手をやって考え始める

 

「正直に言えば怖いわね…」

 

そう言ったナミだが笑顔を見せてくる

 

「でも、シュウと一緒に行くなら七武海程度に怖気付く訳にはいかないわよね!」

 

本当にナミは強かで素敵な女性になりましたね

 

「ではエースを送り届けてきますので一旦失礼します」

 

そう言って私はワームホールを開く

 

「ビビ、海軍の方々の説得は任せましたよ」

「はい!」

「それと、おそらく白ひげに歓待されると思いますので合流は明日になると思います。

 なのでその間はそちらの判断で自由に動いてください」

 

ビビが頷いたのを確認して私とナミはエースを連れて白ひげの元に転移した




次の投稿は13:00の予定です

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