ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿5話目です


第118話

地下室に入り状況を視認すると私は1つため息を吐いた

 

「海兵と海賊が一緒に牢に入っているとは面白い状況ですね」

 

私の皮肉な言葉にルフィ以外の知人達が目を逸らす

 

「…てめぇはシラカワ・シュウか?」

「こうして会うのは初めてですね、サー・クロコダイル」

 

クロコダイルとは直接の面識は無いが賞金稼ぎをしていた時に勧誘された事がある

 

私はクロコダイルと会話をしながら周囲の状況を確認していく

 

すると、クロコダイルの近くにいる2人の黒髪の女性の内の1人が

私を強く警戒しているのを感じた

 

どこかで見た覚えがありますね…

 

「俺の部下になりにきたのか?」

「その件では使者の方にお断りを伝えた筈ですが?」

「ほう?じゃあ何をしにきた?」

 

流石は七武海と言った所でしょうか。腹が据わってますね

 

「人探しですよ」

「ほう?誰を探しにこんな所まで入り込んだんだ?」

「白ひげの依頼で《火拳》のエースを探しているのですよ」

 

私の言葉に黒髪の女性が驚きの表情を浮かべた

 

そして、私の言葉を聞いたルフィが首を傾げている

 

私がアラバスタ王国に来た理由に嘘はありませんが既に終わった事ですからね

 

出来ればクロコダイルとの腹の探りあいの邪魔をして欲しくないのですが…

 

「なぁ、エースの…」

 

ルフィが口を開いたその時、ライトが見事な早さでルフィの口を手で塞いだ

 

私の後ろに控えているナミがライトの行動を見てホッと一息吐いている

 

「麦わら!暴れんじゃねぇ!」

「モガガ!モガモガ!」

 

牢の中で2人はゴロゴロと転がり回っていく

 

クロコダイルが訝しげな目を向けるが…さて、どう誤魔化しましょうか?

 

「…そう言えば、そこの《麦わらのルフィ》はエースの義兄弟と聞いていますね」

「ほう?グランドラインに来たばかりのルーキーの事まで知ってるとはな…」

 

クロコダイルが私に関心したような表情を見せる

 

「やはり、てめぇは欲しいな」

「私は誰の下にもつく気はありませんよ」

 

私がクロコダイルとのやり取りを続けていると黒髪の女性が目を見開いて驚いている

 

その視線の先を辿ると…ナミ?

 

彼女は何故ナミを見て驚いたのでしょうか?

 

気になる所ですが…今はクロコダイルに捕まっているビビをなんとかしましょうか

 

「さて、8年前の縁もあるのでコブラ国王に挨拶をしたいのですが…そちらにいる

 ビビ王女をお貸しいただけませんか?サー・クロコダイル」

 

クロコダイルは私の言葉に目を細めて何かを思案している様子を見せる

 

「…それには及ばねぇ、俺が案内してやる」

「貴方がアラバスタ王国の英雄だということは存じていますが、国王との謁見に

 関与出来る程の権限を有しているとは思いませんでしたね」

 

「コブラは王族にしては腰が軽いからな」

「確かにコブラ国王は名君と言える広い見識の持ち主でしたね」

 

先程まで不安な表情をしていたビビがコブラ国王を称賛されたからなのか笑顔を見せる

 

「ですが、そんなコブラ国王だからこそ狙う輩もいるようですね」

「…何が言いたい?」

 

私は見聞色で初めてクロコダイルに警戒の感情を感じとる

 

「貴方が私を勧誘するために放った部下を有する組織…確かバロックワークスでしたか?」

「そうだ」

「七武海…つまり貴方は海賊ですが、その海賊の貴方が海賊としての仲間や部下ではなく

 別の組織を作る…一体、どのような心境の変化があったのでしょうかね?」

 

私の言葉を聞いたクロコダイルが歯を噛み締める

 

見聞色で感じるクロコダイルの感情は動揺や怒りといったものだ

 

「てめぇ…何を知っている?」

「ククク、私は知っている事を知っているだけですよ」

 

余裕を見せていたクロコダイルから余裕を感じ取れなくなった

 

今のクロコダイルは強かさは感じるのですが海に生きる男達が持つ自信が感じられませんね…

 

気になる所ではありますが、機会が訪れたのですから畳み掛けましょうか

 

「もう一度伺いましょう…ビビ王女をお貸しいただけますか?」

 

クロコダイルはコメカミに青筋を浮かべる程に歯を強く噛み締めている

 

たっぷり30秒程間が空いてからクロコダイルが口を開いた

 

「…わかった」

 

そう言ってクロコダイルはビビから離れる

 

その状況に驚いているのかビビは戸惑いながらこちらに歩いてくる

 

「あ、あの…シラカワ博士?」

「では、コブラ国王への取り次ぎをお願いしますよ、ビビ王女」

 

そう言って私は踵を返して部屋を出ていく

 

自然に腕を組んでくるナミと共に歩き出しながら一瞥した地下室の牢には

私に向けて親指を立てるライトとルフィの姿がある

 

さぁ、人質は助け出しました

 

後は自分達で何とかしてください

 

私は親指を立てる2人に軽く微笑みを返して地下室を後にするのだった




これで本日投稿は終わりです

今週はちょっと忙しいので次回の投稿話数は少なくなるかもしれません

また来週お会いしましょう^^

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