ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第124話

「さて、爆弾はどこにあるのでしょうか?」

 

クロコダイルの相手をライトに、コブラ国王とビビの護衛をナミに任せた私は、

クロコダイルの計画の要の1つである爆弾を探しにアルバーナの街中に出ていた

 

「爆弾を効果的に使う場合を考えるにしても、アルバーナの土地勘が無いのが痛いですね」

 

クロコダイルが言った通りに爆弾を使うと知っても、止められなければ意味が無い

 

「仕方ありません。上空からアルバーナの街並みを見て考えるとしましょうか」

 

私はそう言って上空に飛び上がりアルバーナを俯瞰する

 

そして、その街並みから爆弾の所在を思考していくのだった

 

 

 

 

シュウが爆弾の所在を探していたその頃、アルバーナの各所で麦わら一味と

オフィサー・エージェントの戦いが進んでいた

 

「ウソッチョ!ハンマー彗星!」

 

チョッパーの角を即席の巨大なスリングショットに仕上げて放ったウソップの一撃が

Mr.4に決まり、ウソップとチョッパーのコンビは勝利を掴んだ

 

「ど、どうだ!これが勇敢なる海の戦士、ウソップ様とチョッパーの力だ!」

 

一味の者達の命を背負い、その旅路を導いてきたウソップは慢性的な胃痛と共に

海の戦士として確かな成長を遂げていたのだった

 

そして、別の場所では…

 

「…礼を言う」

 

チンッ!

 

納刀の際の鍔鳴りが辺りに響くと、ゾロと戦っていたMr.1の身体から鮮血が飛ぶ

 

Mr.1との戦いで追い詰められたゾロの渾身の居合いが決まり、ゾロが勝利を掴んだのだ

 

「俺は…まだまだ強くなれる!」

 

勝利と共に確かな成長の手応えを掴んだゾロがニヤリと笑う

 

だが、勝利の代償として大怪我を負ったゾロは体力を回復させるべく、怪我の処置も

そこそこに仮眠を取るのだった

 

ウソップとチョッパー、そしてゾロによる快進撃が続く中で、

サンジは勝利を掴めずに苦戦を強いられていた

 

 

 

 

「くっ!」

 

ミス・ダブルフィンガーの棘により、負ってしまった脇腹の怪我を抑えてサンジが呻く

 

「随分と歯応えが無いわね、ミスター?」

 

片手を腰に当て、首を傾げながらミス・ダブルフィンガーがそう言う

 

「…俺は、女は蹴らねぇ!」

「素敵な紳士ね、ミスター」

 

サンジの言葉にミス・ダブルフィンガーが称賛の言葉を贈る

 

「でも、残念ね。私達は敵なの…容赦しないわ!」

 

迫る棘を身を捩るようにしてサンジが避けていく

 

一切の反撃が無いことで、ミス・ダブルフィンガーの攻撃はドンドン調子を上げていく

 

その攻撃の嵐の中で、サンジは反射的に足を上げようとした事で動きを止めてしまう

 

それが致命的な隙となり、ミス・ダブルフィンガーの棘をまともに腹に受けてしまう

 

「ガハッ!」

「もう少し楽しめると思ったのだけど…これでお別れね、ミスター!」

 

手を太い棘に変化させたミス・ダブルフィンガーが、サンジを貫こうと踏み込む

 

キンッ!

 

しかし、サンジを貫こうとした棘は寸での所で弾かれた

 

「大丈夫ですか?」

 

眼鏡を掛けた女剣士、たしぎがサンジの窮地を救った

 

「…眼鏡ちゃん」

「この人は私が相手をします!貴方は他の人の手助けを!」

 

たしぎの言葉にサンジは歯噛みをする

 

如何に自身の信念で女を蹴ることが出来なかったとはいえ、守るべき女性に助けられた事が

サンジの誇りを強く傷つけていたのだ

 

「…すまねぇ、眼鏡ちゃん」

「礼はいりません。私達は本来、敵なんですから」

 

刀を構えるたしぎの背に目礼をしたサンジが、アルバーナの街中へと走り出す

 

走るサンジは自身の不甲斐なさに怒りが沸いてくる

 

だが、この日の経験が後にサンジを成長させる糧となる

 

後の時代に《黒足のサンジ》との異名を取る男も、今は名も無きただの海賊

 

彼が飛躍をするには今一時の時間を必要としていたのだった

 

 

 

 

アルバーナ王宮にて始まったライトとクロコダイルの戦いに巻き込まれぬように

ナミとビビ、そしてコブラ国王は避難をしていた

 

「お父様、どこに向かっているのですか?」

「アラバスタ王国の王家にのみ伝えられる場所だ」

 

ナミを先頭にして一行は王宮内を走り続ける

 

「そこは?」

「地下だ。クロコダイルも知らない場所となるとそこが確実だろう」

 

一行が走り続けていると、アラバスタの兵士の1人が姿を見せた

 

「コブラ国王!ご無事でしたか!」

「うむ」

 

敬礼をしながら声を発する兵士の姿に一行は足を止めて、コブラ国王が重々しく頷く

 

「して、君はなぜここに?」

「はっ!ペル様より反乱軍がアルバーナに姿を見せたと報告がありまして!」

「ペルが?」

 

兵士の報告にビビが反応を見せる

 

「その件につきまして詳細を報告したいのですが…」

 

そこまで言うと兵士はナミを一瞥する

 

「構わぬ、近くに寄りなさい」

「では…」

 

コブラ国王の一言で兵士はそそくさとコブラ国王へ近づく

 

そして、兵士が耳打ちをするためなのか右手をコブラ国王へ近づけたその時

 

ドガッ!

 

ナミがライフルを使って兵士を殴り飛ばし、コブラ国王から引き離したのだった

 

「ナミさん!?」

 

ナミの突然の行動にビビが驚きの声を上げる

 

「悪いけど、コブラ国王の顔を触らせるわけにはいかないわ、Mr.2」

 

ナミの言葉にコブラ国王とビビが驚愕する

 

そして、殴り飛ばされた兵士が笑いながら左手で自身の顔に触れると、別人へと変わった

 

「あ~ら、どぅ~してバレちゃったのかしら?」

「シュウが言ってたのよ。クロコダイルは爆弾が失敗した時の保険として、あんたを

 コブラ国王に変身出来るようにしようとするってね」

 

ナミの言葉にMr.2、ボン・クレーが大きな声で笑う

 

「やるじゃな~い。でも、詰めが甘いんじゃないの~?」

 

そう言ってボン・クレーが構えを取る

 

「ここであちしが、あんたをぶっ飛ばしてコブラ国王の顔を触れば済む事でしょ~?」

 

ボン・クレーの言葉を受けてナミもライフルを構える

 

「女だからって、甘く見ないでよね!」

「あんたこそ、あちしがオカマだからって甘く見るんじゃな~いわよ!」

 

ナミがライフルを振るい、ボン・クレーが蹴りを繰り出す

 

こうしてアラバスタを巡る戦いの中で、ナミとたしぎの戦いも始まったのだった




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

サンジは作者の『たしぎを活躍させたい』という我儘の犠牲になりました

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