ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

132 / 162
本日投稿1話目です


第129話

ボン・クレーとの戦いを終えたナミとその一行は、アラバスタ王家にだけ伝えられる

地下へとやってきていた

 

「へ~、砂漠の土地にこんな地下があるのね」

「うむ、地下であるから昼でも過ごしやすくてね。そのため熱さの厳しい時などは時折

 涼みに来る事もあるのだよ」

 

ナミの言葉にコブラ国王は自慢をするように言う

 

「お父様…たまに姿が見えないと思ったらそんな理由だったんですね」

 

コブラ国王の言葉を聞いたビビは呆れた様にため息を吐く

 

「なるほど…ここが王家にのみ伝えられる場所か」

 

突如一行の耳に届いた声に、地下の空気はピンと張り詰める

 

「クロコダイル!?」

 

ビビが驚きながら声の主の名を呼ぶ

 

名を呼ばれたクロコダイルは、一行の近くに縛られている者を一瞥すると鼻を鳴らす

 

「ふん、Mr.2を倒したのか…」

 

クロコダイルはそう言うと、ナミをギロリと睨みつける

 

「えぇ、そうよ。残念だったわね」

「小娘が…俺の計画を邪魔するか…」

 

余裕を見せるためか、はたまた落ち着くためか、クロコダイルは葉巻に火を着ける

 

「例え女でも俺の邪魔をするなら…潰す」

 

紫煙を吐き出しながらクロコダイルが告げる

 

クロコダイルの言葉には抑えきれぬ怒気が混じっていた

 

アラバスタの英雄の怒りに、コブラ国王とビビは気圧されぬ様に腹に力を入れる

 

そして、そんな2人を守る様にナミが一歩前に進み出る

 

「聞こえなかったか、小娘?」

「邪魔をすれば潰す、だったかしら?」

 

肩を竦めながら言うナミの姿にクロコダイルは僅かに苛立つ

 

「生憎、あんたは私の恋人との約束を違えるほど魅力的じゃないわね。出直してきなさい」

 

堂々と言い切るナミの姿は、ボン・クレーとの戦いを超えた事で自信に満ちていた

 

クロコダイルは紫煙を吐き出すと、葉巻を右手で掴んで砂に変える

 

そして、右手から砂に変えた葉巻をサラサラと落としながらクロコダイルは歩く

 

ナミはライフルを構えると、自ら踏み込んでいく

 

恋人との約束を果たす為に、ナミは臆す事なく戦いを挑むのだった

 

 

 

 

「ワニ!」

 

ルフィとライトが地下に辿り着くと、そこにはナミを踏むクロコダイルの姿があった

 

「麦わらと電気の小僧か…」

 

クロコダイルはゆっくりとルフィ達に首を向ける

 

「動けば小娘を殺す」

 

クロコダイルの言葉にルフィとライトは歯を噛み締めてその場に止まる

 

「ビビ王女、Mr.2の拘束を解け」

 

クロコダイルの命令にビビは歯噛みをする

 

友人であり、ボン・クレーから守ってくれた恩人であるナミを助けたい

 

だが、ボン・クレーを解放すればアラバスタ王国が危ない

 

「ビビ、拘束を解きなさい」

 

そんなビビの葛藤を断ちきる様にコブラ国王が言う

 

「お父様…」

「私が全ての責任をとる。そこの者の拘束を解きなさい」

 

再度のコブラ国王の促しにビビがゆっくりと動き出す

 

「ダメよ!」

 

そんなビビにナミが待ったをかける

 

「拘束を解いちゃダメよ、ビビ!」

 

クロコダイルは声を上げるナミを踏む足に力を込める

 

「くっ!」

「小娘…黙っていろ」

 

足に力を込めるクロコダイルを見てライトとルフィが飛び出そうとする

 

だが、そんな2人をクロコダイルは一睨みで制する

 

「わたしは、大丈夫だから!」

 

ナミは痛みに耐えて気丈に笑顔を浮かべる

 

そんなナミを黙らせようと、クロコダイルは更に足に力を込める

 

「動くなよ、小僧共…」

 

隙を見せないクロコダイルに、ライトとルフィは歯を噛み締めて耐える

 

そして、クロコダイルはその場にいる者達を脅すように左手の義手を見せつける

 

「もう一度だけ言う…Mr.2の拘束を解け」

 

クロコダイルはゆっくりと義手を頭上に上げていく

 

ビビが此処までかと動こうとしたその時

 

「拘束を解く必要はありませんよ、ビビ」

 

不意に背後から聞こえた声に、クロコダイルは直ぐに振り返る

 

すると、自然系能力者であるクロコダイルを何者かが拳で殴り飛ばしたのだった

 

「大丈夫ですか、ナミ?」

 

声の主は膝をついて傷ついたナミを抱き起こす

 

「もう、遅いわよ。シュウ」

「申し訳ありません。ですが、待ち合わせ場所がわからなかったもので」

 

クロコダイルを殴り飛ばした者はシラカワ・シュウだった

 

シュウはそのままナミをゆっくりと抱き上げる

 

所謂、お姫様抱っこだ

 

「ライト、ルフィ、後は任せますよ」

 

シュウはそう言ってクロコダイルを一瞥してからビビ達の元へ歩いていく

 

だが、クロコダイルを一瞥した時の目は底冷えする程に冷たい目だった

 

「ですが、貴方達が不甲斐ない戦いをするようでしたら、私がクロコダイルを

 潰しますので気を付けてください」

 

背中を向けたまま言うシュウの言葉に、ライトとルフィは唾を飲むように頷く

 

アラバスタ王国を巡る騒動は終演へと近づいていた




本日は5話投稿します

次の投稿は9:00の予定です

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。