ココヤシ村にある集会場の扉が開かれる
扉の先には純白のウエディングドレスに身を包んだナミの姿があった
ナミがゲンさんにエスコートされてゆっくりと前に進んでいく
エスコートしているゲンさんが、既に男泣きをしてしまっているのはご愛嬌だ
ナミがエスコートされて前に進んでいくと、そこには白のタキシードに身を包んだ、
長身痩駆の美男子、シュウの姿があった
ココヤシ村では今、シュウとナミの結婚式が行われていたのだった
エスコートされてシュウの元に辿り着いたナミは、目尻に涙を貯めながら
柔らかな笑みをシュウに見せる
そんなナミの笑みにシュウも優しく微笑んで応える
新郎と新婦が揃った式場に祝詞を唱えるべく、1人の人物がシュウとナミの前に立つ
今回の結婚式にて大役を任されたセンゴク元帥だ
「新郎、シラカワ・シュウ。いかなる時もこの海で新婦と共に生き抜く事を誓いますか?」
「誓います」
「新婦、ナミ。いかなる時もこの海で新郎と共に在る事を誓いますか?」
「誓います」
センゴク元帥が厳かに頷く
「では、新郎新婦は誓いの口付けを!」
シュウとナミは向き合ってゆっくりと近付いていく
「ナミ、愛しています」
「わたしも愛しているわ、シュウ」
その言葉と共にシュウとナミの顔が近付けられていく
そして2人の唇が合わさると、式場は祝福の歓声に包まれたのだった
◆
結婚式が終わると、飲めや歌えやの大騒ぎの宴となった
そして、多くの招待客達がシュウとナミに祝福の言葉を送っていく
「シュウちゃん、おめでとう」
「シュウ、おめでとうなのだ」
ワノ国にいるシュウの祖父母も結婚式に出席しており、シュウにお祝いの言葉を送った
「ありがとうございます。シオリお祖母さん、ブンタお祖父さん」
「ところで、シュウ。曾孫はいつになるのだ?」
「もう、気が早いわよ、ブンタさん」
そう言いながらシオリはブンタの背中を叩く
「そうですね…しばらくは新婚生活を楽しむつもりですが、
そう遠くない内にと考えていますよ」
「うむ!そうか!今から名付けが楽しみなのだ!」
「もう、ブンタさんったら」
この会話に聞き耳を立てている男が2人いる
シャンクスとレイリーの2人だ
それぞれに胸に秘めた案があるのだが、先を越されない様に無言の笑顔で牽制しあっていた
「ナミ、おめでとうございます」
「ありがとう、たしぎ」
所変わって、ナミの元にはたしぎが祝福の言葉を送りに来ていた
「たしぎ、はいコレ」
「コレって…ブーケじゃないですか!?」
「次はたしぎの番でしょう?」
ナミがウインクをしながらそう言うと、たしぎは顔を真っ赤に染めた
「え!?あの、その…私とライトくんはまだ恋人じゃないですし…」
「あら?わたしはライトが相手とは言ってないわよ?」
「もう、ナミ!」
たしぎをからかう事に成功したナミが大きな声で笑う
「それに『まだ』って事は、その気はあるんでしょう?」
ナミの言葉にたしぎは顔を真っ赤に染めたまま頷く
「ウジウジしていると、取られちゃうわよ?」
「そ、そうでしょうか?」
「だからこの際、酒で酔い潰して既成事実を作っちゃいなさいよ♪」
「えぇ―――!?」
こんな感じで結婚式後の宴は夜が更けるまで続いていった
◆
頂上決闘が終わってから2年程の月日が経った
その間、世界は大きく動いていった
これまで、海賊に掛けられた賞金は『生死を問わず』として掛けられていたのだが、
平和主義の海賊達が海軍に協力した事で改められた
平和主義の海賊達の賞金は変わらなかったが、賞金の受け取り条件が
『対象の生存』と変更されたのだ
これにより平和主義の海賊達は、生かして捕獲という困難な条件に代わった事で、
ほとんどの賞金稼ぎから狙われなくなったのだ
中には功名が目当てで平和主義の海賊達を狙う者もいたのだが、大抵は命のやり取りまでは
行わない形で決闘する様になっていった
そして、海軍と平和主義の海賊が協力した事で、多くの略奪主義の海賊達が駆逐されていった
独自に賞金稼ぎの組織を作った《赤犬》の異名を持つサカズキは、組織の者を率いて
主義に関係無く海賊達を狩っていった
その海賊を狩っていく際に、一般人までも巻き込む過激な行動に、海軍や政府から何度も
警告を受けるが、改めずに海賊を狩っていった
そして、ついにサカズキは《赤狂犬》と異名をつけられて指名手配をされた
そんなサカズキを、新しく元帥に就任したクザンが艦隊を率いて倒すことになり、
頂上決闘以来の大きな戦争となった
この戦争には多くの平和主義の海賊がクザンに協力した事で、サカズキ側は一方的に
追い詰められていった
そして戦争に敗れたサカズキは、元海軍大将でありながら公開処刑という形で
罰せられる事になったのだった
こうしてサカズキが作った賞金稼ぎの組織は発足して僅か2年程で壊滅した
だが、組織の残党は革命軍と合流していき、新たな騒動の火種となるのだった
◆
一隻の船がグランドラインの波を掻き分けて進んでいく
「シュウ、もうすぐシャボンディ諸島につくわよ」
その船に乗っていたのは、頂上決闘からの2年の間に、更に女性としての
魅力を増したナミだった
「そうですか…ルフィ達と会うのも久しぶりですね」
「そうね」
シュウとナミは頂上決闘が終わってからの2年程の間、修行をしていた麦わら一味の
新たな船出を見送りに来たのだった
「あいつらは旅立つけど、わたし達はしばらくゆっくりとする事になりそうね」
「それはどういう事でしょうか?」
シュウが問い掛けると、ナミは柔らかく微笑みながら両手をお腹に当てた
それを見たシュウは、ナミを優しく抱き寄せた
「愛しています、ナミ」
「うん、わたしも愛しているわ、シュウ」
シュウとナミの唇が自然に重ねられる
新たな旅立ちがあれば、新たに産まれてくる命もある
こうして、この世界の海に生きる者達の物語は綴られていくのだった
これにて『ONE PIECE~重力の魔人~』完結です
ここまでお付き合い頂き、本当にありがとうございました