ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ
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第19話

「シャンクス!大丈夫か!?」

 

俺の一味の副船長であるベックマンが走り寄ってくる

 

「あぁ、大丈夫だ」

「とりあえず、これで止血しておけ」

 

そう言ってベックマンは手拭いを渡してくる

相変わらず用意がいい奴だ

 

「すまない、ベックマン」

「気にするな、シャンクス。それよりも、あのデカイのは何者だ?」

 

ティーチが走り去った方を見ながらベックマンが問い掛けてくる

 

「奴はマーシャル・D・ティーチ、白ヒゲの所の2番隊の所属と言っていたな」

「白ヒゲか…大物だな」

 

ベックマンは腕を組み考え始めた…やはり頼りになるな

 

「ベックマン、あの村の惨状は白ヒゲの指示だと思うか?」

「…いや、噂では白ヒゲは一般人には手を出さない」

 

そう、白ヒゲは海賊でありながら一般人には手を出さない平和主義だ

 

だが、仲間達を家族と呼び、家族に手をだす海軍や海賊には容赦しない男だ

 

そして、俺が見習いの時も、ロジャー船長と幾度も競いあったライバルでもある

 

そんな男が、あの村のようなことをするはずがない

 

「となると、ティーチの独断ということか…」

「おそらくな」

 

俺の言葉に同意するように言葉を合わせてくるが

完全には納得していないようだ

 

「ベックマン、お前にしてはハッキリしないな」

「俺は、奴と言葉を交わした訳じゃないからな。判断材料が足りなすぎる」

 

そう言って、ベックマンは煙草に火をつけた

 

「ふ~…それで、目はどうなんだ?シャンクス」

「あぁ、見えている。大丈夫さ」

 

そう言って、左目を抑えていた手拭いを外して目を開けてみせる

 

ズキッと傷が痛み、少し顔を歪めてしまう

 

「一見した所、目には届いていないが、それなりに傷は深いな…

 船医に聞かない限りはハッキリとしないが、おそらく傷痕が残るだろうな」

「仕方ないさ」

 

「奴は…ティーチはそれほどに手強かったのか?」

「手強いというよりは、得体がしれない…といったところか」

 

そう、得体がしれないだ

 

油断したつもりはなかった

 

そもそも油断など、見習い時代にレイリーさんに、そしてアカリに

何度も叩き直されている

 

それでも、ティーチに一杯食わされた

 

この痛みも未熟な俺の自業自得だな

 

「その傷を見たら、あの《鷹の目》が何て言うかな?シャンクス」

「…勘弁してくれ、ベックマン」

 

《鷹の目》こと、ジュラキュール・ミホークは、最近、俺とよく

手合わせをしている剣士だ

 

奴とは一進一退で決着がついていない、俺のライバルといった存在だ

 

「そろそろ船医がこっちにくるはずだ。ちゃんと診てもらえよ、シャンクス」

「あぁ、だが先に彼女を…」

 

そう言って、海兵の女の方を見ると、彼女の体が淡く黄金色に輝きだす

 

その光りに包まれた彼女の傷が目に見えて治っていく

 

これは…

 

「あれは…アカリの能力か…?」

 

冷静なベックマンが銜えていた煙草を落としながら呟いた言葉は

俺の耳に入ってこなかった

 

彼女を包んでいた光りが消えたのを確認した俺は、彼女に詰め寄り

彼女の肩を掴んで感情に任せるままに言葉を叫ぶ

 

「あんた、アカリを知ってるのか!?」

 

 

 

 

ティーチが走り去っていった…どうやら、生き残れたようね

 

先程、左目に一撃を受けたシャンクスは、強面の男と話し込んでいる

 

あの男は彼の仲間みたいね

 

そして、彼等は海賊だけど残虐非道ではなさそうね

 

そう考えて安心した私は、気が抜けてしまったのか傷の痛みが増してしまう

 

「…ツッ!!」

 

その痛みに口から空気が押し出されるようにして声を漏らしてしまう

 

…これは、ちょっとキツいわね

 

体を横にしてしまえば、すぐにでも寝てしまいそうな為に

なんとか体を起こしているのだけど…

 

歯を食い縛るように耐えていた私の体が不意に暖かさに包まれる

痛みが和らぎ、軽くなっていく

 

目を開き、自分の身体を確認してみると、淡く黄金色に輝いていた

 

「これは…」

 

この光りは知っているものだった

 

昔、アカリがまだ海軍にいたころに何度も見た光り…

 

その光りに包まれて折れた手足や身体が癒されていく

 

―――まぁ予防薬ってところね―――

 

アカリの言葉が頭に響く

 

もしかして、あの時の…

 

光りが消え、身体が癒えた私が呆然としていると

シャンクスが私の肩を掴み、叫んできた

 

 

 

 

「あんた、アカリを知ってるのか!?」

 

シャンクスが肩を掴んで揺さぶってくる

 

身体は治っているのだけど、クラクラしてしまう

 

「よせシャンクス、さっきの光りがアカリの能力によるものなら、

 身体は治っても体力までは戻ってないはずだ」

「…!すまない…」

 

そう言って離れてシャンクスは頭を下げてきた

 

こういった時に、素直に頭を下げられるのは

流石にアカリが惚れた男ってところかしら

 

「気にしないでいいわ、むしろこっちが助けられたんだから

 礼を言わせてもらうわね、ありがとう」

 

彼に倣うわけじゃないけど、私も頭を下げる

先程までアカリのことで緊張していた空気が和らいだ気がした

 

「とりあえず、自己紹介させてもらうわね。私はベルメールよ」

「俺は、シャンクスだ」

 

お互いに所属を言わないのは暗黙の了解というやつだ

 

困った時はお互い様というわけでもないけど、

紳士協定のようなものがあるのも事実だ

 

海軍では海賊は全て敵だとする勢力もあれば、ガープさんのように

平和主義には比較的寛容な者達もいる

 

そして、私はガープさんの部下であり、寛容な海兵というわけね

 

今の大海賊時代に入る前から、陸の上の酒場では海賊と海兵が

一緒に飲んでいる場面はよくある光景で、昔から受け継がれている

お互いの私生活を守るための暗黙のルールでもある

 

勿論、海兵が任務として追っていた場合はその限りではない

 

色々とややこしい部分もある慣習だけど、私は悪いものだとは思っていない

 

「それで、さっきの光りだが…」

 

シャンクスが真剣な眼差しで問い掛けてくる…

恩人に嘘を言うわけにはいかないわね

 

「アカリとは、彼女が海軍時代に同期で親友だったわ」

「そうか…」

 

私の言葉にシャンクスの後ろで控えていた強面の男が話し掛けてくる

 

「もしかして、あの時にアカリを送ってくれたのは、あんたか?」

 

あの時というのは、アカリが彼等の船を降りたときのことでしょうね

 

「そうだけど、あなたは?」

「俺はベックマン、シャンクスの仲間だ」

 

なるほど、この男がベックマンか…

 

最近、シャンクスが率いる赤髪海賊団の名前は海軍でも有名になってきている

 

その彼等の一味を支える副船長であるベックマンは

《冥王》シルバーズ・レイリーの再来かと言われている

 

「あなた達のことはアカリから聞いているわ。特にシャンクスのことは

 アカリの惚気と一緒にね」

 

ウインクと一緒にそう告げると、ベックマンは笑いだし

シャンクスは顔を赤らめて手で顔を覆う

 

…へぇ、これはからかうと面白そうな反応ね

 

「ククク、それで、アカリはどんなことを言っていたんだ?」

「おい、待てベックマン」

 

悪い顔をしながら、ベックマンが話を振ってくる

 

あら、話がわかるじゃない

 

「そうね、アカリがシャンクスと初めて出会った時に助けてもらった話しだけど…」

「…勘弁してくれ」

 

こうして私達は、私の部下が迎えにくるまで笑いながら話し込んだ

 

命のやり取りをしていたからこそ、生きていることを楽しむように…




今回も昼、夕を合わせて3話投稿します







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