ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ
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第22話

あの後、外で話し続けるのもということで家に入ったのだが

水色の髪の女の子がキョロキョロと見渡している

 

オレンジ色の髪の赤ん坊は大物なのかベルメールさんに抱かれて

太陽のような明るい笑顔を見せてくれている

 

あの子の笑顔を見ていると、こちらまで暖かい気持ちになる

 

話し合いということでテーブルにつくのだが、大人用の椅子なので高く、

幼児が席につくのは難しいため、水色の髪の女の子は

ベルメールさんに片手で抱えられ座らせてもらっていた

 

俺は最近、走り回って筋力が上がったのか、飛び上がる勢いを利用して

懸垂のように体を持ち上げて椅子に座った

 

「少し見ない間にそんなことまで出来るようになったのね、シュウ」

「えぇ、ベルメールさんが海に出てから、家事の合間に体を鍛え始めましたから」

 

驚いているベルメールさんに気分よく応える

 

「それでは、まずは自己紹介をしましょうか。私はシラカワ・シュウです

 これからよろしくお願いしますね」

 

俺がこの世界に転生してから一番驚いたのが自分の名前だ

 

前世で死ぬ瞬間まで遊んでいたゲームの登場人物と同じ名前だったからだ

 

これが、俺が望んだ特典の影響なのかはわからないが、アカリママに

名付けてもらったこの名前はとても気に入っている

 

「さぁ、自分で紹介できる?」

 

ベルメールさんに促された水色の髪の女の子が頷いて口を開く

 

「わたし、ノジコ!」

 

まだ辿々しい口調だが元気よく自己紹介をした

 

うん、元気があってよろしい

 

「よろしくお願いしますね」

「うん!」

 

お互いにテーブルに身を乗り出して握手をする

 

「そして、この子の名前は《ナミ》よ」

 

ベルメールさんが腕の中の赤ん坊を紹介する

 

「私はシュウです。よろしくお願いします、ナミ」

 

そう言って赤ん坊であるナミに指を差し出す

 

「キャハハ♪」

 

そう笑いながら俺の指を掴んでくるナミを見て笑みが溢れる

 

太陽のように明るいナミの笑顔に心が暖かさで満たされる

 

アカリママが亡くなった事を乗り越えたと思っていたが

まだどこかで引きずっていたところがあったのかもしれない

 

それが、ナミの笑顔で癒された気分だ

 

あぁ、守ろうこの笑顔を

 

俺はいつか、父さんを追いかけて海に出るだろうが

その日が来るまではナミを守ろう

 

そんな事を心に誓っていたら、自己紹介をしたゲンさんが

ナミとノジコに盛大に泣かれて項垂れていた

 

…ドンマイ、ゲンさん

 

 

 

 

ゲンさんの強面にナミとノジコが泣いてしまい、それを宥めるのに

少し時間がかかっちゃったわ

 

「ゲンさん、あんまりナミとノジコに近づいたらダメよ」

「う…だが、その2人はこれからベルメールの家族なのだろう?だったら…」

 

ゲンさんは見た目に反してというか、かなり子供好きなのよね

 

「気持ちは察しますが、少しずつ慣れてもらうしかないのではありませんか?ゲンさん」

 

シュウがそう言ってフォローするのだけど、やっぱり落ち込んでいるわね

 

もしかしたら、シュウが最初からゲンさんに物怖じしなかったから

こうして仲良くなったのかもしれないわね

 

「さてと、それではこれからどうするのかを話し合いましょうか」

 

…まだ2歳なのに話を仕切れるものなのね

 

「そうだな、ではベルメール、海軍を辞めると言っていたが

 この子達をどうやって養っていくつもりだ?」

 

そうゲンさんが問いかけてくるものの、シュウが言葉を挟んでくる

 

「少し待っていただけますか?海軍を辞めるにしても、引き継ぎなどに

 どれほどの時間がかかるのでしょうか?」

 

…シュウは本当に2歳児なのかしら?

 

「なるほど、確かにその間、ベルメールはココヤシ村を離れることになるか…」

「えぇ、ご近所にナミの乳母を頼むとして、期間がどのくらいなのかも

 知っておいたほうがいいでしょうからね」

 

顎に手を当てて考えながら言葉を紡いでいくシュウの様子に

私はどちらが大人なのかと苦笑いをしてしまう

 

「実はね、もう辞表は出してきているのよ」

 

私の言葉に、シュウとゲンさんの2人がまた顔を見合わせる

 

「そういう訳で、今頃は私の上司が色々と手続きや調整をしてくれているわ」

「さすがベルメールさんと言うべきでしょうか、行動が早いですね」

「あっはっはっは!女は度胸ってね」

 

ウインクをしながらそう告げた私に、シュウとゲンさんは

顔を見合わせてから2人揃ってため息をはいた

 

…なによ、失礼ね

 

「そういう訳で、今回の休暇が終わって、一度海軍本部に戻っても

 1ヶ月もしたらココヤシ村に帰ってこれるはずよ」

「1ヶ月ですか?随分と早いですね、海軍本部というのは近くにあるのですか?」

 

顎に手を当てて、首をやや傾けるようにしてシュウが疑問を口にする

 

賢いと言ってもまだ子供、知らないことも多いみたいね

 

「海軍の船はちょっと特殊だからね、だからそれだけ早く済むのよ」

 

船底に海楼石を敷くことで《凪の帯(カームベルト)》と呼ばれる海域を

比較的安全に航行する事ができる海軍の船は、航海日数において最優の性能を発揮する

 

他にも海賊と海上で戦闘なった際に、そこに逃げ込むことで

やり過ごしたり出来るので非常に優秀な船だ

 

その事を説明すると、シュウは目を輝かせながら聞いていた

 

子供らしいその反応に思わず笑みが溢れる

 

「なるほど、機会があれば一度乗ってみたいですね」

「シュウはもう乗ったことがあるわよ」

「え?」

 

私の言葉に目を見開いてシュウが驚く

 

うん、私も楽しくなってきたわ

 

「シュウがまだアカリのお腹の中にいる時に、私と一緒に乗ったのよ」

 

呆然とするシュウにイタズラが成功した気持ちになり、笑いが込み上げてくる

 

シュウとのやり取りは、ココヤシ村に帰ってきたという気持ちになり

とても暖かく、楽しい時間だった




今週も昼、夕を合わせて3話投稿させていただきます







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