ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第24話

あれから4年ほど時間が経ち、俺とノジコは6歳、ナミは4歳になった

 

ミカン畑の方は、作るのを手伝ってくれた若者達がたまに見にきてくれる

 

どうやら自分達が手掛けた畑が気になるようだ

 

そして、この4年で変わったところは、ゲンさんが帽子に風車をつけたことだ

 

子供好きのゲンさんは何度も赤ん坊のナミを構おうとするが

その度にナミに泣かれてしまっていた

 

それでも諦められなかったゲンさんは何故か帽子に風車をつけてきた

 

そんな子供騙しと思っていたのだが、ナミはゲンさんを見て笑っていた

 

思わず俺とベルメールさんは顔を見合わせていたが

ゲンさんは物凄く喜んでいた

 

それからは風車がゲンさんのトレードマークになり、近隣の村でも

《強面だけど愉快な駐在さん》と認識されて子供達の人気者になった

 

ノジコは女の子らしい女の子と言えばいいのだろうか…

 

女は度胸とでも言うような男勝りなベルメールさんの影響を多大に受けているので

オシャレなどに気をつかう女の子らしさもあるが非常に活発でもある

 

ベルメールさんは以前とは変わってニュース・クーと呼ばれるカモメが

持ってくる新聞を読むようになった

 

東の海の海賊被害や天候不順などの情報などから我が家の作物である

ミカンの相場変動を予測して商人と交渉するためだ

 

ミカン農家としてはまだまだ駆け出しだが、商人との交渉の際は

ココヤシ村の農家の元締め的な感じで商人とやりあっている

 

この光景はある種のココヤシ村の風物詩となっている

 

ナミは非常に好奇心旺盛な女の子だ

 

特に天候や海域、海流などに興味を持ち、それらの本を熟読している

 

そして、それらについてよく俺とベルメールさんに質問をしてきて困らせてくる

 

ベルメールさんは海軍時代の経験から、海域ごとの海流の特徴などを教えている

 

俺は前世のなけなしの知識を搾り尽くして、雨などのメカニズムを

簡単にだが説明をしている

 

気圧のことなんかも簡単に説明したのだが、俺自身が前世の

高等学校レベルの知識を赤点ギリギリ程度しか持っていないため

これ以上は詳しく説明できなかった

 

だが、ベルメールさんは俺が披露した知識は学者ぐらいしか知らないと言って

それを聞いたナミが目を輝かせていた

 

アカリママはまだ俺が赤ん坊のころに雨が降ってきた時に、なんで雨が降るのかを

ニコニコと笑いながら説明してくれたので、俺はそれがこの世界の

一般常識だと思っていたのだが、どうやら違ったらしい

 

それからはナミが俺によく質問攻めしてくるので非常に困っている

 

ただ、困っているのは質問そのものではなく、それをしてくる際に

誰かさんの教育のせいで色仕掛けをしてくることだ

 

まぁ、これはナミだけでなくノジコも近所の少年達にやって

よく商人から何かを買わせているのだが…

 

2人が色仕掛けをするのを見かける度にベルメールさんをジト目で睨むのだが

当の本人は笑って見守るばかりだ

 

ベルメールさん曰く、《いい女は強かなもの》だそうだ

 

まぁ、ナミとノジコは可愛いのでおねだりされるのは嫌じゃない

 

むしろ大歓迎なのだが、将来が心配になるのは老婆心なのだろうか?

 

赤ん坊のころからオシメを換えたりして、ナミと一番接してきたからなのか

俺がナミと一番仲がいいと思う

 

俺が鍛練にいく時に、ナミはいつもついてくるのだ

 

鍛練の合間に、ナミとよく話をしているのだが、それがいい気分転換になり

また頑張ろうと鍛練にもさらに身が入るようになった

 

そして俺は、一年ほど前から漁をするようになった

 

ミカン畑は幾つかは分木をしてもらい、翌年から収穫できるようになったが

家族4人が暮らしていく分にはどうしても足らない

 

なので、ベルメールさんの海軍時代の蓄えや、アカリママが残してくれた

少しばかりの金銭でやりくりしなけばならない

 

ベルメールさんはアカリママが残したものは俺のだからと使わず

家計簿を見て頭を悩ませていた

 

そこで、少しでも食費の足しにしようと思い、やりだしたのが漁というわけだ

 

まだ、5歳だった俺が漁をするのは危ないと反対されたが

そこは中身は元三十路オーバーの大人である俺なので口八丁で説得

 

ココヤシ村の漁師のご隠居監督の下、漁師の子供達の泳ぎの練習として

俺の素潜り漁に付き合わせることにしたのだ

 

漁師の子供としては泳げないと、ということで、この集いは歓迎されて

定期的に催されることになった

 

ご隠居の監修の下、潮の満ち引きが緩やかな入り江でその集いは

行われることになり早一年

 

今日も家の手伝いを終えた俺は、いつも通りに漁に向かうのだった

 

 

 

 

「それではいってきます、ベルメールさん」

「いってらっしゃい、シュウ。わかってると思うけど、気をつけなさいよ」

 

煙草を銜えて軍手をしたベルメールさんがいつものように俺を見送る

 

「来年には収穫も増えるからミカン畑だけで貯えもしていけると思うけど

 ナミとノジコが、シュウの獲ってくる魚に期待しちゃってるからねぇ」

 

苦笑いをしながらそう話すベルメールさんだが、水臭いというものだ

 

「体を鍛えるのにも素潜り漁は丁度いいですからね。気にしないでください」

 

ベルメールさんは元海軍ということで、戦いにも慣れているのだが

いつか海に出るために俺にそれを教えてほしいというと、

まだ体が出来上がってないからダメと言われた

 

そんなこともあり、こうして生活の助けにもなる鍛練方法をとっているのだ

 

「ところで、シュウはシャンクスが迎えにきたらどうするのよ?」

「あれから4年ですか…本当に来るのでしょうか?」

 

俺の父さんが東の海に来ていると4年前に告げられたが、まだココヤシ村には来ていない

 

「《海賊王》ほどの大物でも世界を回るのに3年かかったからねぇ…

 まだ時間がかかっても仕方ないんじゃないかしら」

 

世界一周の大偉業はいまだゴール・D・ロジャー以外には成し遂げられていない

それを考えれば、この東の海でも時間がかかるのは仕方ないのだろう

 

「それもそうですね」

「シュウ、漁に行くの?わたしも行く!」

 

本を読んでいたナミがこちらに気づき、ついてくると声をあげた

 

「わかりました。では、日射病にならないように帽子を持ってきてください」

「うん!」

 

元気よく返事をして走っていく後ろ姿を見て笑みが溢れる

 

「シュウ、まだ答えを聞いてないわよ」

「…その時がきたら、答えますよ」

 

父さんには、今まで一度も会ったことがない

 

だから、父さんと一緒に行くという答えがどうしても出てこないのだ

 

だが、会ってみたらどう感情が変化するのかわからないので

今もその答えを保留にしている

 

「シュウ、お待たせ!」

「では、行きましょうか、ナミ」

 

ナミが自然に俺の手を取って走り出す

 

この日常がいつまでも続いてほしいという思いと

父さんに会ってみたいという思いが入り混じる

 

「わたし、昨日の魚が食べたい!」

「やれやれ、わかりましたよ、ナミ」

 

どうするのか答えは出ていないが、今はこのお姫様の願いを叶えようか

 

ナミに遅れぬように並んで走る

 

初夏の日射しがミカン畑を鮮やかに照らし出す暖かい日だった

 

 

 

 

「はぁ~…今回も空振りだったか」

 

フーシャ村を拠点としてシュウを探すようになってから4年

今だに息子を見つけることは出来ていない

 

「もう少し滞在日数を延ばすか?シャンクス」

「…やめておこうベックマン、東の海を荒らすわけにはいかないだろう?」

 

一味のみんなを食わせるには相応に稼がなければならないが

この4年でまた大きくなった俺達がグランドライン以外で海賊として動けば

それなりに騒ぎになるだろう

 

そのため、グランドラインで稼いでからフーシャ村に滞在するのだが

それでも、およそ1ヶ月ぐらいが限度だ

 

それ以上は近海の海軍支部なども動きだす可能性もあるし

仲間のヤソップの故郷であるシロップ村に寄って、あいつの

息子に会わせてやらなくちゃならない

 

どうやらヤソップの嫁さんは身体が丈夫じゃないようだからな

 

「仕方ない、出航準備だベックマン。3日後には出るぞ」

「あいよ、船長」

「おぉーい、シャンクス!俺も海に連れていけ―――!」

 

また来たか…

 

今回のフーシャ村滞在で出会った少年《ルフィ》がこちらに走ってきた

 

「さて、それじゃ出航準備をしてくる。ルフィの相手は任せたぜ、シャンクス」

「おいベックマン、それはないだろう?」

「船に乗せろって言ってるんだ。なら、船長の仕事だろう」

 

そう言ってベックマンは煙草を吸いながら、そそくさと離れていった

 

…薄情な奴め

 

「お―い、シャンクス!俺も連れてけ―!」

 

満面の笑みでルフィが俺の前に来る

 

ベックマンにはああ言ったが、さて、どうやってからかってやろうか…

 

これがフーシャ村で出会った子供《モンキー・D・ルフィ》との

長い付き合いの始まりだった




これで本日の投稿は終わりになります

シャンクスがフーシャ村を拠点にしていたという話を
拙作ではこのような形で使わせていただきました

原作主人公であるルフィは今話の段階で3歳です

少しずつではありますが原作開始が近づいてきましたが
マイペースに楽しんで書いていきたいと思います

では、また来週お会いしましょう^^

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