ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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第25話

3年ほど時間は過ぎ、俺とノジコは9歳に、ナミは7歳になった

 

あれから、まだ父さんはココヤシ村に来てはいない

 

だが、ニュース・クーが持ってくる新聞ではグランドラインで

活躍しているのをよく見かけている

 

つい先日も、《鷹の目》と呼ばれている剣士との決闘の事が

新聞にデカデカと書かれていたのだ

 

この新聞には父さんの作った赤髪海賊団は年に2カ月ほどグランドラインで

活動しない時期があると書いているが、ベルメールさんがこの時期に

俺を探しているのだろうと以前に言っていたのを覚えている

 

船長である以上は一味の者を食べさせる義務がある

なので1年中、俺を探すわけにはいかないので、これだけ時間がかかっているらしい

 

ただ、俺の名前がココヤシ村を始めとして、近隣の村でも知られるように

なってきているので、そう遠くないうちにその噂を聞いて迎えにくるのではと

ベルメールさんが言っている

 

俺の名前がと疑問に思ったものだが、なんでも《天才》として知られているらしい

 

何を大袈裟なと言ったのだが、2歳の時のやり取りなどが伝わったらしく

そのように認識されてしまっているらしい

 

正直なところ頭を抱えたい思いだが、ナミを始めとして家族が

喜んでくれているのでそれでよしとした

 

話は変わるが、最近、ナミがオシャレに気をつかうようになった

 

以前から服などにも興味を持っていたのだがここ最近はさらにといった感じだ

 

この時期、ノジコの身体の成長に伴い服を買う機会が多く

代わりにノジコの服のお下がりをナミが貰うといった事が続いていた

 

その事にナミが不満を言うようになったのだ

 

我が家の収穫は増え、俺も商人に干した魚などを売るようにしてから

それなりに貯えを作れたりして生活に余裕が出来てきたが

それでも、裕福というわけではない

 

なので節約できるとこは節約しているのだが、やはりナミも女の子なので

オシャレがしたいのか駄々をこねることが増えてきた

 

そんなナミに俺とベルメールさんでサプライズを用意していたある日

 

ナミの感情がついに爆発してしまった

 

 

 

 

「なんでノジコにばっかり新しい服を買うの!」

 

ナミの誕生日プレゼントとして新しい服を用意していたのだが

そうとは知らないナミが、新しい服を着てはしゃいでいるノジコを見て怒ってしまった

 

ここ2年ほどはお下がりばかりなので大分、ご立腹のようだ

 

「あ~…ナミ?」

 

サプライズとして服をプレゼントして驚かせたいと言っていたせいか

服の事を言えずにベルメールさんは歯切れの悪い言葉を溢す

 

「やっぱり、わたしの血が繋がってないから?本当の子じゃないから!?」

 

ナミのその言葉に驚き目を見開いた後、悲しそうな顔をするベルメールさん

 

それを見たナミは言い過ぎたと思ったのか、顔を俯かせていたが

涙を流しながら外に走っていってしまった

 

「…はぁ~」

 

ベルメールさんがため息を吐き、かなり落ち込んでいる様子を見せている

 

「私はナミを追いかけますが、大丈夫ですか、ベルメールさん?」

「…あ~、うん、よろしくね、シュウ」

 

この頑張ってきた7年を否定されたように感じているのかもしれないな

 

「1時間ほど、外でナミとゆっくりしてこようと思います」

「…わかったわ。ところでシュウ、あんたはどう思ってる?」

 

…改めて口にしようとすると、かなり照れ臭いな

 

「ナミも、ノジコも、そしてベルメールさんも家族だと思ってますよ」

「…そうか、うん、そうか!」

 

ベルメールさんに笑顔が戻ってきた…もう一息というところだろう

 

「ですが、ママの呼称はアカリママだけのものなので、私がベルメールさんを

 呼ぶのならば《母さん》と呼ばせていただきますよ」

「え?」

 

顔をあげてこちらを見てきたベルメールさんの目を見て話す

 

「なので、早く立ち直ってくださいね。ベルメール母さん」

 

その一言を言い残し、俺は走り出す

 

「あ、ちょっと、シュウ!」

 

ベルメールさんが呼び止めてくるが構わず走り続ける

 

俺だって恥ずかしいんだ!後は知らん!

 

俺はナミが行ったであろう場所を予想しながらその場所へと走り続けた

 

 

 

 

ベルメール母さん…ね

 

シュウの一言が何度も頭の中で繰り返され、その度に顔が綻んでしまう

 

昔、アカリがなんであんなに喜んでいたのかわからなかったけど

今ならわかる、これは凄く嬉しい

 

ナミの言葉で少し、いえ、もの凄く凹んだけど我ながら現金なものね

 

「ベルメールさん、どうしたの?」

 

新しい服で着飾ったノジコが話し掛けてきた

 

「なんでもないわよ」

「ふ~ん、そう?その割には顔がニヤけているんだけど、ベルメール母さん?」

 

…わかっているんなら、放っておいてよ

 

全く、誰に似たのか、ノジコは時折こうして人をからかって楽しむ癖があるのよね

 

「新しい服を喜んでくれるのは嬉しいけど、今度からはあまりはしゃぎ過ぎないようにね」

「は~い」

 

反省の色が見えない返事に苦笑いをするしかない…強かに育ったものだわ

 

「プレゼント、喜んでくれるといいわね」

「ノジコ、ばらしちゃダメよ」

「わかっているわよ、ナミが驚く顔を見たいもの」

 

本当に…強かでいい性格になったものだわ

 

「さて、それじゃ着替えてきなさい。畑の世話を手伝ってもらうから」

「えぇ~…」

 

残念そうに言うものの素直に着替えに行ったノジコを見送り、私は自分の顔を両手で張る

 

「よし!気合い入った!」

 

煙草をくわえ、軍手を着ける

 

これがこの7年で慣れしたしんだ私のスタイルだ

 

「ベルメールさん、お待たせ~」

 

汚れてもいい古い服に着替えたノジコが声をかけてきた

 

「それじゃ、シュウとナミが戻ってくるまで草むしりでもしましょうか」

「はぁ~、2人だけデートとかいい身分よね」

「あっはっはっは!そうね、後でそのことでからかってやろうかしら」

「ベルメールさん、それ、いいわね!」

 

血の繋がりはないが私の娘であるノジコと一緒に、いつも通りに畑の世話をしていく

 

シュウ、もう1人の娘、ナミをよろしくね

 

私はここで待つわ

 

あんた達が帰ってくる、私達の家で




今回の投稿も昼、夕を合わせて3話投稿させていただきます

昼は12:00に投稿します

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