ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿1話目です


第28話

「なんだ!お前たちは!?」

 

私が駐在として村を見回っていると、見知らぬ者達がココヤシ村に入って来た

 

「シャハハハハ!俺達は魚人海賊団・アーロン一味だ!下等な種族の

 貴様等を俺達魚人が支配してやる!光栄に思うんだな!」

「ふざけるな!」

 

平和に過ごしていたココヤシ村にいきなりやってきて何を言うか!

 

「シャハハハハ!」

 

鼻がギザギザした大男が村の中へと歩き出した

 

「行かせん!」

 

私が大男の前に立ち塞がると、腕にヒレのようなものが付いた男が出てきた

 

「エイッ!」

 

ボガッ!

 

その男の拳による一撃で私は吹き飛ばされる

 

「シャ―ハハハハ!」

 

魚人の大男の笑い声が響き渡る

 

私はココヤシ村の平和の為に、歯を食いしばって立ち上がった

 

 

 

 

「…?誰かしら?」

 

見知らぬ男達がこちらに向かって歩いてくる

 

男達の特徴的な肌や体の部位に海軍時代の記憶が頭に浮かんだ

 

「もしかして魚人?なんでココヤシ村に?」

 

その魚人達の1人が誰かを引きずっていた

 

「…!?ゲンさん!」

 

私の言葉の後に、魚人がゲンさんをこちらに向かって放り投げた

 

「ゲンさん!大丈夫?」

「…ベルメール」

 

一見したところ命に関わるような怪我は見当たらない

 

私が安堵していたら、魚人が話しかけてきた

 

「女ぁ、税として子供5万ベリー、大人15万ベリーを納めろ!」

「あんた達、何者?」

 

私は魚人達を睨む

 

「俺達は魚人海賊団・アーロン一味だ!下等な種族の貴様等を支配してやる!

 命の保証として俺達に税を納めろ!」

「税を納めさせてから始末する…何てことはしないわよね?」

「下等な人間共と一緒にするな!だが、俺達に逆らえばその限りじゃねぇ」

 

侮辱されたって顔をしているわね…取り敢えずは信じてよさそうだわ

 

「わかったわ、子供5万ベリー、大人15万ベリーね?」

 

そう言って、私は家に入っていった

 

家の中には子供達が揃っていた

 

「シュウ、ノジコ、ナミ、あんた達は畑に隠れてなさい。万が一があるからね」

 

そう言い付けて私は部屋へと向かう

 

横目で子供達を見ると、シュウが2人を先導して表から見えない窓から畑に向かった

 

「シュウ、後はお願いね」

 

私は部屋から貯えと、隠していたライフルを取り出す

 

「シュウに教えるかもって、整備しておいてよかったわね」

 

正面からは見えないように背中にライフルを隠す

 

そして外に向かおうとすると膝が笑っていた

 

「…しっかりしなさい、母親でしょ!」

 

私は両手で頬を張り心を奮い立たせる

 

「さて、行きますか!」

 

私は胸を張り魚人達のところへ向かった

 

 

 

 

「持ってきたわ、確認して」

「そうか…ハチ!」

 

ギザギザした鼻の男がハチと呼んだ、タコらしき魚人がお金を確認していく

 

「にゅ~、アーロンさん、15万ベリーあるよ」

「よし、女、テメェの命は保証しよう」

 

アーロンの言葉にゲンさんがホッと息を吐いている

 

「勘違いしてもらったら困るわ」

「…なに?」

 

私は不敵に笑い、話を続ける

 

「そのお金は私の子供達3人の分で、私の分じゃないわ」

「ベルメール!何を言っている!」

 

ゲンさんが目を見開き、私の言葉を止めようとしてくる

 

「ごめんゲンさん、私は母親なのよ。だから、あの子達を自分の子じゃないって言えないわ」

 

私は笑顔でゲンさんに告げる

 

こうして言葉にしてみたら、改めて覚悟ができた

 

「女ぁ…死にたいのか?」

「そんなわけないじゃない…ところで、さっきアーロンって呼ばれていたけど

 あんたが一味の頭(カシラ)なのかしら?」

「それがどうした?」

 

私は背中のライフルを引き抜きながら宣言する

 

「私の分の税は払わない、でも死ぬつもりもないわ。だから、抗わせてもらうわよ!」

 

肩にライフルを乗せ、不敵に笑う

 

アーロンがこちらに一歩踏み込んできた瞬間

 

私は《剃》を使い一気に間合いを詰め、アーロンの口に

ライフルの銃口を突っ込み地面に押し倒した

 

「さて、大人しくココヤシ村を出ていってくれるかしら?」

 

アーロンの目の色が変わる

 

まるで海王類のような目だ

 

その瞬間、私の背に寒気が走る

 

私は咄嗟にライフルに武装色の覇気を纏わせた

 

ガキン!!

 

アーロンがライフルを噛み砕こうとしていた…危なかったわ

 

だが、その一瞬の間を利用してアーロンが右手を横薙ぎに振ってくる

 

私はライフルを支点にして体を横に倒す

 

バキッ!

 

ライフルに噛みついていたアーロンの歯が、梃子の原理で折れた

 

「どうやら自慢の歯は折れちゃったみたいね」

 

尖った歯が総入れ歯のようにライフルの銃身にくっついていた

 

「それがどうした?」

 

全て失った筈のアーロンの歯が生えてきていた

 

「歯なんぞいくらでも生えてくる。サメなんでな

 もっとも、下等な人間には真似できんだろうがな!」

 

…やれやれ、一筋縄じゃいかないみたいね

 

「あら、せっかくいい男にしてあげたのに、残念ね」

「シャハハハハ!」

 

笑いを収め、アーロンが私を睨み付けてくる

 

私はライフルを振るって、ライフルについていたアーロンの歯を落とす

 

…わずかにだけど、曲がったみたいね

 

銃身を握った手に伝わる違和感に、長年の相棒の異変を感じ取る

 

魚人の咬合力に、背中に冷や汗が伝わる

 

少しの間、無言で睨み合い、私とアーロンは同時に踏み込んだ




本日は全部で7話投稿します

次の話は9:00に投稿予定です

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