ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ
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本日4話目です


第31話

バシャッ!バシャッ!ザパーン!

 

アーロンに投げられた俺は遠くまで飛び、石で行う水切りのように水面で何度も跳ねた

 

「くっ!…ここは?」

 

辺りを見渡すも水平線しか見えず、近くの島がどちらに在るのか見当がつかない

 

とりあえず俺は、左手で腹の傷を抑える

 

出血を少しでも抑えて生き延びないといけない

 

「さて、どちらに進めばいいのでしょうか?」

 

着衣のまま海にいるが、素潜り漁で泳ぎ慣れているので問題はない

 

だが、海水が体温を奪っていくので、なるべく早く陸にあがり止血をしないと…

 

俺は意を決して泳ぎだす

 

方向は勘だ

 

それ以外の方法がないのだから仕方ない

 

どれほど泳いだのだろうか…

 

ふと嫌な予感がして立ち泳ぎでその場に止まる

 

「…これは何でしょうか?敵意?」

 

何かに見られているような感覚があり、そのように感じる

 

「…下!?」

 

俺は不意に水上へとはね飛ばされた

 

はね飛ばされながら水面へと目を向けると特徴的な背ビレが見える

 

「…今日はなにかと鮫に縁がある日ですね」

 

暢気に言葉を溢すが、心臓は緊張で音が聞こえるほどに鳴っている

 

バシャッ!

 

水面に叩きつけられ腹の傷が痛む

 

なんとか水面に顔を出し呼吸をする

 

先程目にした鮫の背ビレに、アーロンの顔が頭に過り怒りが沸いてくる

 

「そう簡単に喰らえるとは思わないことですね。抗わせてもらいますよ」

 

ずっと感じている敵意に集中し、鮫の接近を察する

 

鮫が口を大きく開け、喰らおうとしてくるが鮫の鼻っ面に右手を伸ばし

それを支えとして口との距離を詰めさせない

 

ザリッ!

 

鮫が水中へと潜る際に、右手が鮫肌で削られる

 

腹の傷とは違う新たな傷の痛みに顔を歪める

 

それからは何度も同じ攻防が続く

 

俺を喰おうとする鮫に、喰われまいとする俺

 

だが、腹の傷と削られていく右手、そして冷たい海水が体力を奪っていく

 

どうして敵意を感じるのかわからないが、それが無ければ既に喰われていただろう

 

不意に敵意が小さくなるのを感じる

 

…諦めたか?

 

バシャッ!

 

鮫は最初の時のように俺を水上へとはね飛ばしてきた

 

「ぐっ!」

 

水面に叩きつけられる衝撃で腹の傷がまた痛む

 

そして大きくなる敵意

 

鮫が口を大きく開けて飛びかかってくる

 

右手を鼻っ面にやり、なんとかやり過ごす

 

また、はね飛ばされる

 

「…鮫も随分と賢いものですね!」

 

新たな攻防に一気に体力を削られていく

 

最早、アーロンへの怒りだけで意識を保っている状態だ

 

「…諦め、ませんよ…必ず、ココヤシ村に、帰るのですから!」

 

鮫が口を大きく開け飛びかかってくる

 

だが、意思に反して体は動かない

 

鮫の歯が俺を捕らえようとしたその時

 

「ぬぅえいっ!」

 

どこからともなく大きな老人が文字通りに飛んできて、鮫を殴り飛ばした

 

「ぶわっはっはっは!よう頑張ったな坊主!もう大丈夫じゃ!」

 

大きな老人のその言葉に気が抜けた俺は、意識を失った

 

 

 

 

「まったく、赤髪め…孫をたぶらかしおって…彼奴は立派な海兵になるんじゃ!」

 

休暇をフーシャ村で過ごしていたが、少し騒動があり出発が遅れてしまった

 

「あの山賊ぐらいの小者なら、東の海の海軍支部もさっさと引き取ればいいものを…

 とんだ時間をくってしまったわい」

 

海軍本部へ向けて船を走らせている中で儂が文句を垂れていると

見張り台にいる部下が叫んできた

 

「大変です!子供が鮫に襲われています!」

 

部下が指差す方向へ目を向ける

 

あれか!

 

儂は船を飛び出し《月歩》で助けに向かう

 

子供が鮫に水上へとはね飛ばされ、水面に叩きつけられる

 

鮫が口を開き子供へと飛びかかる

 

…ダメじゃ、間に合わん!

 

だが、子供は右手を使い、鮫の鼻っ面を叩くようにして巧くいなした

 

ようやった!

 

再び子供が水上へとはね飛ばされた

 

そして、鮫が子供に飛びかかるが、儂は全力で鮫を殴り飛ばす

 

「ぶわっはっはっは!よう頑張ったな坊主!もう大丈夫じゃ!」

 

儂の言葉を聞いた坊主は意識を失ってしもうた

 

後は任せておけ坊主!

 

儂は坊主を抱え、《月歩》を使い船へと向かう

 

その最中で、坊主の状態を見ていく

 

…かなり危険な状態じゃな

 

船にたどりついた儂はすぐに指示を出す

 

「右手は重度の擦過傷!腹を銃で撃たれており、体温も低い!血を多く失っておりそうだ!

 船医は急ぎ治療の準備を!それと、毛布を持ってこい!」

 

部下達が一斉に動き出す

 

頑張れ坊主!死ぬんじゃないぞ!

 

「ガープ中将!近くに船は確認できませんでした!」

 

副官のボガードが報告をしてくる

 

「ふむ、この坊主はどこから来たのかのう?」

「わかりませんが、まずは命を救わないといけません」

「そうじゃのう」

 

儂がボガードと話をしていると、儂の腕の中で坊主が淡い黄金色の光に包まれた

 

「っ!これは!」

 

見覚えのある光…かつての部下、アカリの能力の光と同じものだ

 

光が収まると、坊主の傷は無くなっていたが、血を失いすぎたのか顔が白い

 

「これなら助かるぞ坊主!船医!点滴の準備じゃ!急げ!」

 

儂の指示で船医が坊主に点滴をしていく

 

儂は安堵の息を漏らした

 

「これで一安心じゃのう」

「ガープ中将、この少年は如何しましょうか?近くの村に寄る時間はありませんが…」

 

ボガードの言葉にすぐに答えを返す

 

「なら本部まで連れて行くしかないじゃろう」

「よろしいので?」

「責任は儂がとる、センゴクに連絡をしておけ」

「はっ!」

 

儂は船医に運ばれていく坊主を見る…波打つ紫の髪…

 

「ボガード、念の為にシャボンディ諸島にも連絡を入れておけ」

「…《冥王》にですね」

「そうじゃ、レイリーなら何処からか今回のことも知りおるじゃろう…

 なら、本部に乗り込んでくる際に先触れの1つも出させた方がいい」

「では、そのように」

 

ボガードが敬礼をして離れていった

 

あの坊主がアカリの子ならば、ブンタの奴にも教えたほうがいいのじゃろうが

まだ確定したわけじゃないからのう…後でいいじゃろう

 

たしかアカリはベルメールの故郷に送っていったはずじゃが…何かあったのか?

 

何かあったにしろ、海軍支部の縄張りを荒らすわけにもいかんか…情報待ちじゃな

 

「船の進路は海軍本部のままじゃ!早く帰らんとセンゴクにどやされるからのぅ!」

 

部下達の笑い声が響く

 

東の海にしては高い波が船を揺らしていた




次は17:00に投稿予定です





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