ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿2話目です


第36話

レイリーさんに手を引かれ酒場に到着した

 

子供が入る場所ではないと思わないでもないが、それ以上に気になることがある

 

看板に堂々と『ぼったくり』と表記してあるのだ

 

思わず目を擦り見直してしまった

 

「さぁ、入りなさい。支払いは勿論、私が持つ」

 

『シャッキー’SぼったくりBAR』と記されていた店に入ると

若く見える女性が煙草を吹かしてカウンターにいた

 

「あら、可愛らしいお客さんね」

「やぁ、久しぶりだねシャッキー」

「いらっしゃい、レイさん。その子はレイさんのお孫さんかしら?」

「まぁ、そんなところだね」

 

顔馴染みらしい2人の会話が続いていく

 

俺は散々泣き顔を見られたこともあり、少しの悪戯心でレイリーさんをこう呼んだ

 

「レイ養祖父さん(じいさん)、席に着きませんか?」

 

悪戯は成功したのか、レイリーさんが目を見開いて俺を見てきた

 

「あらあら、レイさんがこんなに驚くだなんて、坊やもやるじゃない」

「ありがとうございます、お姉さん」

 

「お姉さんだなんて、嬉しいことを言ってくれるわね。

 私はシャクヤク、シャッキーって呼んでね」

「私はシラカワ・シュウです。よろしくお願いします、シャッキーさん」

「シラカワちゃんね、よろしく」

 

シャクヤクことシャッキーさんが、頬に手をあて嬉しそうに笑っている

 

「あ~…シュウ?」

「アカリママがレイリーさんを養父さんと呼んでいたと聞いたことがあるので

 私も養祖父さんと呼んでみたのですが…いけませんでしたか?」

「…いや、それで構わないよ」

 

片手で顔を隠すように覆い、レイリーさんが顔を逸らす

 

「随分と嬉しそうね、レイさん」

「…取りあえず、なにか腹に入れようか。シャッキー、適当に頼むよ」

「ふふふ、わかったわ」

 

シャッキーさんが料理を始めたのでカウンター席に座りながらレイ養祖父さんの顔を見る

 

…心なしか、赤くなっているように見える

 

「…ゴホン、それじゃ、これからどうやってシュウを鍛えるか考えようか」

「はい」

 

誤魔化すように咳払いしたが、顔は赤いままだ

 

「まず、シュウはどのように強くなりたいのかな?」

「私は素人ですので、具体的にどうとは言えないのですが…取りあえず、覇気と

 六式を使えるようになりたいと思います」

 

俺の言葉にレイ養祖父さんが頷く

 

「なるほど、覇気はこのグランドラインを生きるには必須とも言える技能だ

 それに六式を使えるほどに身体能力を鍛えるのも悪くない」

 

伝説の海賊であるレイ養祖父さんの肯定に安堵する

 

「では、戦いの際の得物はどうするのかな、シュウ」

「…得物、ですか?」

「一例として挙げるのならば、君の両親は共に剣士だ。そして、私も剣士の端くれだね

 故に、剣を指導するのならば相応に応えてみせるよ」

 

剣士か…厨二、いや、男心を擽られる

 

「では、剣を得物としたいと思います」

「だが、剣といっても直剣、曲剣、刀と種類があるが…どれにするのかな?」

 

俺は少し考え込む

 

元日本人としては刀にロマンを感じるが…

 

「…直剣にしようかと思います」

「ほう…何故かと聞いてもいいかな?」

 

俺は自分の考えを整理しながら話す

 

「私自身が素人なのではっきりとは言えませんが、曲剣や刀で《斬る》というのが

 想像しにくかったというのが一番でしょうか」

「ふむ、戦いは素人だと言っていたが知識はあるようだね」

「聞きかじり程度ですが…それで、私にもできるだろう事が剣で

 《叩き斬る》事だと思ったのです」

 

レイ養祖父さんは1つ頷き言葉を返してきた

 

「簡単に思えるかもしれないが、実際のところ刃筋を立てなければならないからね

 直剣も相応に技術が必要だということを理解しておきなさい」

「はい」

 

レイ養祖父さんの言葉に素直に頷く

 

そうしていると、料理を作り終えたのか、シャッキーさんが話し掛けてきた

 

「あら、2人だけで楽しそうに話しているなんて、妬けちゃうわ」

「どうやら料理が出来たようだね。続きは食べてからにしようか」

 

樽に似たジョッキを掲げながら、レイ養祖父さんは俺に食事を促してくる

 

「いただきます」

 

食事の礼をして食べ始める

 

身体を作るには食事も大切だ…しっかりと食べないとな

 

何が面白いのかわからないが、黙々と匙を進める俺を

大人2人が楽しそうに眺めていた

 

 

 

 

シュウは得物にアカリと同じ直剣を選んだ

 

血は争えないのだと思う

 

もっとも、父親であるシャンクスは残念な事だろうがね

 

しかし…レイ養祖父さんか…

 

頬が緩むのを抑えられない

 

私はこんなに単純な人間だっただろうか?

 

…きっと、アカリの影響を受けたのだろうな

 

だが、そんな己を悪くないと思っている

 

さて、直剣となると、やはりシラカワ流を教えたほうがいいだろう

 

アカリを指導していた際に概ねは理解している

 

…或いは、ワノ国に行くのも悪くないだろう

 

シュウが基礎を修めた時に考えてみよう

 

私は食事を続けているシュウを眺める

 

シュウはそれが必要な事だとでも言うように食べ進めている

 

まるで、身体作りには食事も肝要なのだと知っているようだ

 

…いや、おそらくは知っているのだろう

 

我が養孫は、やはり賢いようだ

 

私は思考していく

 

この養孫をどのように育て、鍛えていくのかを…

 

その時間は、近年感じることが無かった程に楽しい時間だった




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