ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿3話目です


第44話

シャッキーさんの店で食事をすることになったが

父さんは一味のみんなも呼び宴になったのだった

 

なにせ8年も私を探したのだから祝わないでどうするとのことで

父さんの船から酒樽を運び込み飲めや歌えやの大騒ぎだ

 

あいにく私はまだ酒を飲めないのでみかんジュースを飲もうとしたのだが

父さんが紅茶の茶葉を持ってきて奨めてきた

 

なんでもアカリママは紅茶が好きだったらしい

 

…ココヤシ村では自家製のみかんを使ってジュースを作っていたのだが

これからは紅茶を飲むのも悪くないですね

 

お互いのこれまでのことを肴に食事は進んでいく

 

食後の一服として紅茶を飲んでまったりしていたら父さんの一味の副船長である

ベックマンが目敏くチェス盤に気付いた

 

そこでなんやかんやがあって私とベックマンがチェスで勝負することになった

 

 

 

 

「…ステールメイトだな」

「ありがとうございました」

 

勝負は引き分けだ

 

序盤は様子見の気配が伺えたので油断している内に仕掛けたのだが

中盤の手痛い一手で劣勢に追い込まれた

 

だが、博士やレイ養祖父さんとの対戦の経験のおかげか

なんとか劣勢を捲り引き分けに持ち込むことができた

 

「…シュウ、お前は本当に10歳か?」

「はっはっはっは!さすが俺の息子だ!」

 

盤面を見詰めるベックマンと上機嫌な父さんの対比が面白い光景だ

 

「さて、宴の最中だが確認しておこうか。シュウ、君はこの後どうするのかな?」

 

私とベックマンの勝負を見物していたレイ養祖父さんが声をかけてきた

 

「どうとは?」

「シャンクスと行くか、ここに残るかということだね」

 

レイ養祖父さんの言葉に父さんだけでなく一味のみんなが私を見てくる

 

「シュウ、お前がどちらを選ぼうと俺はそれを尊重する

 それと、俺に出来ることならば何でも言ってくれ」

 

父さんがそう言ってくる

 

私はレイ養祖父さんが父さんとやりあっている間に考えたことを話すことにした

 

「確認ですが、アーロンはまだココヤシ村を支配しているのですね?」

「あぁ、シュウが望むのなら俺達が…」

「結構です、私自身の手で報復するので手を出さないでください」

 

私の言葉に一味のみんなが笑いだす。さすがは頭の子だと囃し立ててくる

 

「そして、申し訳ありませんが私はレイ養祖父さんに鍛えてもらいますので

 父さんと一緒に行くことは出来ません」

「…そうか」

 

父さんが肩を落としている…ごめん、父さん

 

「それと…幾つか頼み事をしてもいいでしょうか、父さん」

「あぁ、何でもいってくれ」

 

予想はしていたが間髪入れずに応えた父さんに苦笑いがでる

 

「医療関係の本や器材、それと研究のための資金をお願いします」

「構わないが、何をするんだ?」

「アカリママの命を奪った病への報復とココヤシ村への報せ…その両方を

 同時にやろうと思っています」

 

私の言葉に父さんは首を傾けたがレイ養祖父さんとベックマンは

興味深そうに私を見てくる

 

さて、博士から学んだ知識を私がどこまで使えるか…

 

残された時間は10年程です…自重なんてしている暇はありません!

 

私はチェス盤に目をやる

 

これから成すべき事を一手、また一手と頭の中に積み上げていった…

 

 

 

 

シュウが居なくなってから2年程経った

 

まだ報せは届いていない…

 

シュウが生きていることを信じて、畑の世話を続け家を守っている

 

今年もココヤシ村の皆が無事に税を納めることが出来た

 

細やかながら身内で祝いをしている

 

派手にやればアーロン達の目に入り嫌がらせに家を逆さにされたりと

面倒なことをされてしまうからだ

 

祝いの食事も終わり、食後の一服で煙草を吸っている時、ニュース・クーが

新聞を持って家にやってきた

 

「どうしたのよ、今日の新聞はもう買ったわよ?」

「クー!」

 

首を振っているのを見ると、どうやら違う新聞らしい

 

「号外?」

 

号外は情報を特急で報せるためのものなのだけど、その分だけ割高の新聞だ

 

いつもなら買わないけど、この時の私は何か予感めいたものを感じて買うことにした

 

お金を受け取り飛び立つニュース・クーを見送り、家に入る

 

自分の席に座り号外を広げると、大きな写真が目に入った

 

「こんなに大きな写真を一面に貼るなんて、随分と気合いが入っ…て…?」

 

その写真に目を見開く

 

写真に写っている人物は、波打つ髪に、切れ長で知性を感じさせる目…

 

「ナミ―――!ノジコ―――!」

 

私は号外を握りしめ養娘達を呼ぶ

 

この時に発した声は、喜びに満ちていた

 

 

 

 

この日の号外は世界に衝撃を与えた

 

僅か10歳の時に博士号を手にした若き天才が、2年の歳月を研究に費やし

世界三大死病と呼ばれる心臓病、労咳、癌、それぞれの特効薬を造り出したのだ

 

その若き天才の名は《シラカワ・シュウ》

 

この若き天才はこの特効薬の製法を開示すると公言したが

臨床試験等が不十分との理由から世界会議にて議論されることになっている

 

近々、シラカワ博士は世界会議に招かれるだろう

 

シラカワ博士は本紙のインタビューにこう答えている

 

『私が未熟な子供であることは重々承知しています。ですので、私が20歳に

 なるまでに足りないものを埋めてみせましょう。そして、それが成った暁には

 私は在るべき場所に帰り、成すべき事を成すでしょう』

 

既に三大死病の特効薬を造り出すという偉業を成し遂げた若き天才だが

更なる向上心を見せている

 

シラカワ博士も参加する世界会議はどういった結論をだすのか

世界に朗報をもたらした特効薬の製法はどうなるのか

 

本紙は情報を追っていくことを宣言する




次は13:00に投稿予定です

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