ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿5話目になります


第46話

3日前の号外でシュウの無事を確認できた私達は

以前にも増して自然に笑顔になるようになった

 

畑の世話を終えたナミは今日もあの日の号外に載っている

シュウの写真を見ながら満面の笑みになっている

 

間違いなく恋する乙女の表情だ

 

「ま~たそれを見てるの?熱いわね~ナミ」

「ほっといてよ、ノジコ」

 

いつものようにナミをからかうノジコだけど、そのノジコも嬉しそうに笑っている

 

「さぁ2人共、そろそろ商人が来る頃よ、手伝ってもらうから着替えてきなさい」

「「は~い」」

 

ノジコは部屋に向かったけど、新聞を片付けていたナミは動きを止め私を見てきた

 

「ねぇ、ベルメールさん」

「どうしたの?ナミ」

 

ナミは意を決したように一呼吸置いてから話し始めた

 

「わたし、アーロンの一味に入ろうと思うの」

 

 

 

 

「どういうこと、ナミ」

 

ベルメールさんがわたしを睨んでくる

 

仕方ないと思うけど…ちょっと怖い

 

「シュウが頑張ってるから、わたしも頑張ろうと思って」

「…それが何でアーロンの一味に入ることになるのかしら?」

 

わたしはシュウがいなくなってからすっと考えていたことを話すことにした

 

「わたし、アーロンからココヤシ村を買おうと思ってるの」

 

わたしの言葉にベルメールさんが驚いている

 

「あの時から、アーロンは約束を守ってるでしょ?だから、ココヤシ村を

 買うことも約束すれば守ると思うわ」

「アーロンが約束を守るとしても周りもそうとは限らないわよ…

 それに、どうしてそれがアーロンの一味に入る事と繋がるの?」

 

わたしは自分の考えを纏めながら話していく

 

「ココヤシ村を買うならいっぱいお金が必要だわ。でも、畑の世話をしているだけじゃ

 そんなに貯めることが出来るとは思えない…」

 

わたしの話をベルメールさんは腕を組んで聞いている

 

「そうすると、外に稼ぎに行かないといけないんだけど…アーロンがただで外に出すとは

 思えないわ。だからアーロンの一味に入って外に出れるようにするの」

「ナミ…外で稼ぐってどうするつもり?」

「海賊から盗むわ」

 

ベルメールさんがため息をついてる

 

「ナミ、海賊を…海を舐めすぎよ」

「でも…」

「でも、じゃないわよ。航海術も戦闘技術もないあんたが海に出ていったら

 海で遭難か海賊に殺されるだけだわ」

 

ベルメールさんの言うこともわかるけど…

 

「殺されるのならマシな方よ。あんたは女の子なんだから、最悪の場合

 どうなるか想像がつくでしょう?」

 

その言葉に嫌な想像が頭に浮かぶ

 

シュウ以外の男になんて絶対に嫌!

 

「ナミ、新聞に書いてあったシュウの言葉…覚えてる?」

「うん、覚えてるわ」

「あれは多分、私達に向けたメッセージよ。そうなると、後8年でシュウは

 帰ってくるわ…それまで待てないの?」

 

わたしの頭にシュウがいなくなった日の事が浮かぶ

 

「…シュウは、アーロンと戦うつもりよね?」

「おそらく、そうでしょうね」

「勝てるの?」

 

ベルメールさんが目を瞑って考え始めた

 

元海軍本部の大佐だったベルメールさんが勝てなかったアーロンに

シュウが勝つ想像ができない…

 

それだけじゃない…また、シュウがあんな目にあったらと思うと…

 

わたしの身体が震えだす

 

好きな人が目の前でいなくなったあの光景を繰り返したくない

 

あの日から何度も思った、何度も考えた、わたしに出来ることを

 

もう、大切な人を失わないで済む方法を

 

「…はぁ~、これ以上は言っても聞きそうにないわね」

 

ベルメールさんが頭を掻きながら話しだした

 

「まったく…その頑固なところは誰に似たのかしらね」

 

ベルメールさんが話しながら屈み、わたしと目を合わせてきた

 

「ナミ、3年我慢しなさい」

「え?」

 

3年?

 

「3年であんたに航海術と戦闘技術とかを叩き込んであげる

 少なくとも、この東の海で生き残れるようにならないと、母親として認めないからね」

 

3年で…わたしに出来るの?

 

「他にも盗む為の技術も必要ね」

「それも知ってるの?ベルメールさん」

「昔、ちょっとヤンチャをしていた時期もあるからね」

 

ベルメールさんが笑いながら答えてくる

 

ヤンチャって…何していたの、ベルメールさん?

 

「それと、女としての魅力も磨かないとね。シュウが帰ってきたら

 メロメロにしてやりなさい」

 

ウインクをしながらベルメールさんが言ってくる

 

メロメロって…

 

わたしはその想像をして顔が熱くなってしまった

 

「あらぁ、何を想像したのかしらね、ナミ?」

「な、何も考えてないわ…」

 

もう!どうしてノジコとベルメールさんはこうしてからかってくるのよ!

 

わたしはベルメールさんから目を逸らすことしか出来なかった

 

「あっはっはっは!さぁ、着替えてきなさい。商人との交渉が終わったら

 すぐに鍛え始めるから覚悟しておきなさい」

「うん!」

 

わたしは着替えるために部屋に向かって走り出す

 

ノジコはもう着替え終わって待っていた

 

…見られていたわよね?

 

着替えている最中、ノジコにからかわれそうだわ…

 

こうしてわたしは、アーロンからココヤシ村を取り戻すために

修行を始めることになった

 

わたしは好きな人の事を思い浮かべる

 

シュウ、わたしも頑張るわ

 

だから、無事に帰ってきてね




次の投稿は17:00の予定です

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