ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ
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本日3話目の投稿です


第51話

目を覚ました私が最初に目にしたものは正座をしたまま項垂れ
目から光が消えていたブンタ御祖父さんの姿だった

「生まれてきてごめんなさいなのだ…」

…私が寝ている間に何があったのでしょうか?

「おはよう、シュウちゃん」

ブンタ御祖父さんを見ていた私にシオリ御祖母さんが話しかけてきた

「ブンタさんの事は放っておいていいわ」

ニッコリと笑顔で告げてくるシオリ御祖母さんの言葉に頷く

…うん、気にしないようにしましょう

本能的に関わらないほうがいいと悟った私はシオリ御祖母さんと
気を失う前の手合わせの事を話し合っていく

…放置してすいませんブンタ御祖父さん

「シュウちゃんの心構えは悪くなかったわね。でも、実力が足りなかったから
 ああいった結果になってしまったわ。気圧されないように自信をつけていきましょう」
「はい」

その日はそのままゆっくりと休憩をして翌日から修行を再開した

修行に加わった手合わせは終始情けない結果と言えるものになった

構えるブンタ御祖父さんに撃ち込むことができずにいるのだ

遠慮をしている訳ではない…むしろ私の実力ではブンタ御祖父さんに
敵わないのはわかりきっているのだから全力で撃ち込んで問題無いのだ

それなのに撃ち込めないのは私が少しなりとも剣に慣れたからというのが
シオリ御祖母さんが話してくれたことだ

「覇王色の覇気を用いずとも、大きな力の差を感じとったのなら
 生物としての本能で身体が萎縮してしまうこともあるわ。それを跳ね返すには
 積み重ねた努力や経験による自信、もしくは覚悟が必要ね」

努力や経験はそれなりに積んできた覚えがある

覚悟はアーロンと対峙した時に出来たつもりですが…

「シュウちゃん、死ぬ覚悟、生きる覚悟、そして戦う覚悟は別物よ」

シオリ御祖母さん曰く、私にはまだ戦う覚悟が出来ていないとの事

「多分だけど、アーロンの事で無意識に自分を信じられなくなっているんでしょうね」

太極で博士に言われた自身で超えるべきものですか…

「剣もそうだけど、覇気も意思の力が大きく関わるわ。これからシュウちゃんが
 更に成長を続けるには超えなきゃいけない事よ」

私を諭すようにシオリ御祖母さんが語りかけてくる

「少なくとも、ブンタさんに撃ち込めないと修行を終わりにするわけにはいかないわね…」

シオリ御祖母さんが頬に手を当てて悩んでいる

手のかかる孫ですいません…

「ふふ、慌てなくてもいいわ。少しずつでいいから頑張ってね、シュウちゃん」

そして修行は続いていく

踏み込み、剣を振るい、己を鍛えていく

それから更に1年半程、ワノ国で修行を重ねて3年程たった頃

遂にブンタ御祖父さんに撃ち込むことが出来たのだった





いつもの様に道場の中央でブンタ御祖父さんと対峙する

周囲の空気が重さを伴い身体に纏わりつく

だが、それはこれ迄に比べて幾分か軽く感じる

相変わらずブンタ御祖父さんの剣は大きく見えるがそれでも確信する

行ける!

私は踏み込み、袈裟懸けに撃ち込んだ

カッ!

木の乾いた音が道場に響き渡った

「…見事なのだ!」

手にしていた木剣で私の一撃を受け止めたブンタ御祖父さんは
満面の笑みで私を称賛した

「格好良いわよ、シュウちゃん」
「頑張ったね、シュウ」

シオリ御祖母さんとレイ養祖父さんも称賛してくれる

私は1つの壁を超えたことを実感した

「これで手合わせは終わりよ、シュウちゃん」
「終わり…ですか?」

成長を実感したものの、まだまだこれからだと思っているのですが…

「ここから先は実戦で学んでいきなさい」
「何故でしょうか?」
「私達の剣は、相手も剣であることに慣れてしまっているの。シュウちゃんが
 これから海に出ていくのならそれでは足りないでしょう?」

確かにアーロンは素手だったし、ベルメールさんはライフルを武器にしていた

「この3年でシュウちゃんはシラカワ流の剣を身に付けたわ。後は実戦の中で
 自分の戦い方を見つけていきなさい」

自分の戦い方…

「剣だけじゃない、覇気、能力も使ったシュウちゃんだけの戦い方をね♪」

シオリ御祖母さんの言葉に頷く

「さて、それじゃ今日はご馳走を作らないとね。アカリも好きだった物を
 一杯作ってあげるわ」

その日の夕飯はシオリ御祖母さんの言葉通りに豪華なものとなった

これでワノ国での修行も終わりかと思うと寂しく感じる

15歳になっていた私は今生で初めての酒を飲んだ

海賊王の創り出した時代の影響で成人と認められる年齢は17歳となったが
酒は以前までの時代と変わらず15歳で飲める

初めての酒を祖父母達と酌み交わしていく

それは苦く、そして旨い酒だった





「頑張ってね、シュウちゃん」
「レイリー殿、シュウをよろしく頼むのだ」

翌日、私とレイ養祖父さんはワノ国を出発することになり
こうして祖父母に見送られているところだ

「いってきます、シオリ御祖母さん、ブンタ御祖父さん」
「いつでも来てね、シュウちゃん」
「うむ、シュウ、これを受けとるのだ」

ブンタ御祖父さんが布に包まれた何かを渡してきた

「開けてもよろしいでしょうか?」
「うむ」

ブンタ御祖父さんの返答を受け、布をとっていく

中にあったのは直剣だった

「無銘の数打ちなれど、他所で直剣は手に入りにくいのだ
 故に拙者からはそれを贈らせてもらうのだ」
「…ありがとうございます、ブンタ御祖父さん」

飾りの無い無骨な剣だが初めて手にする真剣は重く感じた

「私からはこれよ、シュウちゃん」
「コート…ですか?」

特効薬を発表する際にレイ養祖父さんにそれなりの格好をと言われたので
太極で出会った博士と同じような白衣に似たコートを着るようになっていた

「この3年でシュウちゃんは背が一杯伸びたからね。だから仕立てておいたのよ」

まだ15歳だが170cmぐらいまで身長が伸びた

「ブンタさんもシュウちゃんと同じ年頃の時には、今のシュウちゃんと
 変わらない背丈だったわ。だから少し生地に余裕を持たせてあるから
 成長したら私の所に持ってきてね。コートを仕立て直してあげるから♪」

ブンタ御祖父さんは180cmを超える長身…私も夢の高身長に…!

私は食事と睡眠をしっかり取ることを心の中で誓った

シオリ御祖母さんが新しいコートを着せてくれる

古い物と違い、今の私にピッタリだった

「よく似合ってるわよ、シュウちゃん」
「ありがとうございます、シオリ御祖母さん」

祖父母の暖かい餞別に名残惜しくなる

私は顔を両手で張り気持ちを切り替える

「レイ養祖父さん、行き先はどこでしょうか?」
「まずはシャボンディ諸島に戻ろうか。後はついてから話そう」

私はレイ養祖父さんの言葉に頷き、祖父母に向き直る

「いってきます、シオリ御祖母さん、ブンタ御祖父さん」

能力でワームホールを開き、私とレイ養祖父さんはシャボンディ諸島に転移した



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