ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿7話目です


第55話

あ~、面倒だ…なんで俺が手合わせなんてしないといけねぇんだ…

 

シュウとかいう子供が武器を取りにいった

 

なんだ、素手じゃねぇのかよ。つまんねぇ奴だな

 

あ~あ、ほんと…なんでこんなことになっちまったんだか…

 

俺はこれまでのことを思い出していた

 

 

 

 

俺はライト

 

所謂、転生者だ

 

前世で大学受験に追われていた時に何故か死んじまった

 

好きなアニメも漫画も封印して勉強三昧の日々を送って

やっとの事で志望大学の予想合格判定でAを取って受験に挑もうとしていた矢先の事だ

 

これまでの苦労が完全に水の泡だった

 

神様にこれ以上無いくらいに文句を言っちまった

 

まぁ、それでも大好きなワンピースの世界に転生させてくれるって聞いた時は

人生で最高の手の平返しをしたけどな

 

それで、なんだかんだあって転生したんだが…退屈な日々だったな

 

文字なんかは英語を覚えるような感覚で簡単に覚えられた

 

受験戦士を舐めるなってんだ!

 

計算なんかは四則演算ぐらいしか村では教えられなかったから

鼻歌を歌いながら今生の親にやってみせたら大喜びしてやがった

 

…まぁ、悪い気分じゃなかったな

 

でだ、なんで退屈な日々だったかっていうと、な~んにも無いからだ

 

漫画もテレビもパソコンもねぇ、夜になれば明かりの油が勿体無いから

さっさと寝るしかねぇ…いつ以来だろうな、こんなにゆっくり寝れたのは…

 

まぁ、そんなに何もないと夜だけじゃなく昼間も暇でな

漁師である親父の仕事についていく事が多くなった

 

元大学受験生としては今生の同じ年頃の子供と遊ぶのは…精神的にキツかったからな

 

それで、親父の船で遊び代わりに釣りをするようになったんだが

何を勘違いしたのか、親父は俺が仕事を手伝ってると思いやがった

 

ゴツゴツした手で俺の頭を撫で回しながら漁師仲間に大声で自慢しやがるんだ

恥さらし以外のなんでもなかったぜ…

 

親父の船で俺が初めて釣り上げた魚は、親父がその場で捌いてくれた

 

七輪みたいな奴で塩焼きにした魚を食ったんだが…まぁ、悪くなかった

 

手が魚の油まみれになっていた俺を親父が大笑いしやがった

 

ムカついたから親父の服で油を拭いてやった

 

そんな日々を過ごしていたある時、いつものように親父の船で釣りをしていたら

沖で何かが浮いているのを見つけた

 

宝箱だった

 

親父に言って船を宝箱に近付けてもらい、俺が宝箱を釣り上げた

 

5年も毎日のように釣りをやっていれば、針を引っかけるのなんか簡単だ

 

村に宝箱を持って帰り開けてみると、中には悪魔の実が入っていた

 

その時、俺はこの悪魔の実が、俺が望んだ物だと直感した

 

一応、親父にこの悪魔の実をどうするか聞いてみたが、好きにしろと言われた

 

お袋に聞いても同じ答えだ

 

悪魔の実を売れば、最低でも一億ベリーにはなる

 

家は余り裕福と言えねぇのに俺に好きにしろと言ってきやがる…

 

こっ恥ずかしかったから小声で礼を言ったんだが、親父の野郎は

耳に手を当てて、もう一度と抜かしやがった

 

親父の横顔に拳をくれてやった

 

そのまま親父と喧嘩になったが、お袋に飯抜きの沙汰を言い渡された

 

それは卑怯だぜ…お袋…

 

翌日、俺は悪魔の実を食べて能力者になった

 

そして、俺は村を出ることを決めた

 

漁師は荒くれ者が多く、喧嘩が絶えない

 

その影響もあり、前世では一度も喧嘩をしたことがなかった俺だが

まだ12歳だというのに既に喧嘩慣れしている

 

転生特典で六式を使える才能を貰っていたせいか身体能力も高く

年の近い連中との喧嘩は一度も負けた事が無い

 

そして、漁師の親父について行っていた事で船にも慣れていた俺は

愛用の釣竿を持って小船で海に出ていった

 

今思えば考え無しだったと思う

 

だが、豪快な生き方の漁師連中と長年付き合っていれば

勢いで行動するようになっても仕方ねぇだろう?

 

言葉使いだって前世に比べれば荒いものになっちまった

 

敬語なんてまともに使った日には、背中が痒くなっちまう

 

まぁ、そんなこんなで海図も持たず海に出た俺は…あっても読めねぇけど…

ものの見事に海で迷子になった

 

釣竿のおかげで食い物には困らなかったのは不幸中の幸いだったな

 

芸は身を助けるってな!

 

そして、迷子になって3日、大型船が遠くに見えた

 

俺は自分の船を大型船に向けて進めて拾いあげて貰った

 

助けて貰った義理はあったが、曲がりなりにも海賊になろうとして海に出た俺は

その大型船を乗っ取ろうとして喧嘩を売った

 

喧嘩を売った相手が悪かった…

 

なんで初遭遇の相手がガープなんだよ…

 

あぁ、ゲンコツ一発で気を失ったさ

 

その後は、ガープに俺の村まで送って貰った

 

道中、ガープに話を聞くと、休暇でフーシャ村に行っていたその帰りだったらしい

 

俺は自分の村が東の海にあることを初めて知った

 

親父…それぐらい教えろよ…

 

そして、村にたどり着いた俺を待っていたのは、親父の本気の拳だった

 

親父の拳も痛かったけど、お袋の涙はもっと痛かった…

 

それからは両親がガープに何度も礼を言っていた

 

俺はただその光景を眺めているだけだった

 

そして、ガープが出航するかという時に、俺の両親がガープに

俺を連れて行って欲しいと頼み込んだ

 

何故かと問い質したら、俺がどこか退屈していることに気付いていたらしい

 

だから、海に出て勉強してこいと言われた

 

前世での親は、兄貴にばかり構っていたから、見返してやろうと

大学受験を頑張っていたんだが

 

今生の親は、俺を真剣に見てくれている事に漸く気づいた…

 

泣いちまったのは一生の不覚だった

 

ガープは両親の申し出を二つ返事で快諾した

 

そして、海軍本部に向かうことなったんだが…

 

親父!嫁を連れて帰って来いって、俺はまだ12歳だぞ!

 

それと!まだ7歳の弟の前で下ネタ全開で囃し立てるんじゃねぇよ!

 

そんなやり取りがあったが俺は無事に海軍本部に到着した

 

だけど、それからはまた退屈な日々だった

 

座学では航海術程度しか勉強することが無く、訓練にしても

同年代の連中は相手にならなかった

 

やる意味を見出だせずに釣りをしてサボっていたら、クザンさんと

知り合えたのはよかったけどな

 

そして、海軍本部にやって来て3ヶ月、演習場でクザンさんと寝ていたら

ガープに見知らぬ奴と手合わせをしろと言われた

 

 

 

 

俺は昔を思い出していたが、どうやらシュウとかいう奴の準備は終わったらしい

 

木剣を振って具合を確かめるなんて、如何にも自分、剣を使えるアピールを

しているのを目にした時は吹き出しそうだった

 

海軍本部には親が海兵の子供達もいるんだが、そういった連中は

親に戦い方を学んでいるものの手合わせ経験は無い連中ばかりだった

 

要するに喧嘩一つまともにしたこもないお坊ちゃんばかりなんだ

 

荒くれの漁師達との喧嘩に慣れている俺にしてみれば

一発殴っただけで涙目になるモヤシ共なんて相手にならねぇ

 

レイリーがいたことには吃驚したが、こんなすかした奴に負けるわけねぇ!

 

喧嘩の基本としてまずは口喧嘩から始めたが、シュウの野郎は

変わらずにすかしたままだ

 

ちっ、これじゃ俺が小者みてぇじゃねぇか

 

クザンさんの気が抜ける合図と同時に俺は能力を使う

 

バチバチッ!

 

音を立てて俺の手から能力が溢れだす

 

俺の悪魔の実の能力…それは、電気だ

 

超人系悪魔の実…その名は《ビリビリの実》

 

これが俺が求めた力だ

 

理由としては、前世で好きだった某忍者漫画の忍術の一つを再現できると思ったからだ

 

俺は電気を手に纏わせて殴りかかる

 

某忍者漫画のように相手を貫くなんて事はまだ出来ないが

電気のおかげで防御不可なのが自慢の技だ

 

振りかぶり殴りかかった一撃を、シュウの野郎は横に一歩動いて避けやがった

 

バシッ!

 

拳を避けられた直後、俺の腹に衝撃が走る

 

その衝撃で息が出来なくなり、体が前のめりに倒れていく

 

倒れた俺が目にしたのは、背中を見せて歩いていくシュウの野郎だった

 

…おい、逃げんじゃねぇよ!

 

歯を食い縛り起き上がろうとする俺だったが、体に力が入らず気を失ってしまった




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