ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ
<< 前の話 次の話 >>

8 / 161
第5話

「生まれてきて、すいませんなのだ…」

 

あの後、お父さんと30分ほどお話しをした結果、お父さんはこんな感じに

ネガティブ発言をするようになってしまった…少しやりすぎたかな?

 

でも、ガープさんとの戦いに夢中でこちらの話しを聞かなかったお父さんも

悪いとわたしは思う。うん、自己弁護は完璧ね

 

「怪我人を連れてきたぞ―――!」

 

ガープさんの大きな声が集会所に聞こえてきた。さてと、頑張らなくちゃ!

 

「どれだけ怪我人がいるかわからないから皆、手伝ってください!お父さん!

 いつまで凹んでいるのよ!お父さんにも手伝ってもらうからね!」

「やるせないなのだ…」

 

…はぁ、仕方ないか。

 

「さっき、ガープさんと戦っている時は少しだけ格好良かったわよ…パパ」

 

わたしがそう言うと、俯いていた父はガバッと顔をあげる

 

「…アカリ、今なんと?」

「あぁもう!いいから手伝ってよお父さん!」

「だっはっはっは!拙者、復活!」

「馬鹿やってないで早くしてよね!また親父ってよぶわよ!」

「はい―――!」

 

本当に世話が焼けるんだから!…お母様はお父さんのどこに惚れたのかしら?

下手にそんなことを聞くと惚気がひどくて胸焼けしそうになるから聞かないけどね

 

「お湯と清潔な布を準備して!それと念のために針と糸の消毒もお願い!」

 

わたしの指示で村の人達と父がバタバタと動き出す。救急の時もこんなだったかなと

前世のことを思い出そうとしながらも、わたしは能力を使う覚悟も決めておく。

人が死ぬ場面は見慣れているけど、それでも助けられる人は助けたいから…

 

 

 

 

「む?お嬢ちゃん、医者はどこじゃ?」

「わたしが医者ですよガープさん」

 

わたしの言葉にガープさんが目を見開く。慣れている反応なのだけど、

思わず苦笑いをしてしまう。

 

「ぶわっはっはっは!そうかそうか!お嬢ちゃんが医者か!」

「はい、怪我人は何人ですか?」

「儂の副官から聞いてくれ、ボガード!」

「はっ!ガープ中将の副官をしておりますボガードです!貴女に治療を求める怪我人は

 17名です!すぐにこの集会所に運び入れたいのですがよろしいでしょうか?」

「お願いします」

 

その言葉を聞くとすぐにボガードさんは部下の人達に指示を出し怪我人を運び入れてきた。

さぁ、ここからはわたしの仕事だ!

 

「わたしの指示する色の布を怪我人に巻いていってください」

「ぬ?なぜそんなことをするんじゃ?」

「怪我の度合いによって治療の優先順位を分けるためです」

「ほう、面白いな」

「ええ、なかなか面白い試みだと思います。手当たり次第に治療をしていくよりも

 よほど効率的ですし、多少ですが混乱を抑える効果が見込めます」

 

わたしの説明にガープさんとボガードさんは口々にそう言うと顔を縦にふる。

これだけの説明で専門ではないのにこの行為の意図に理解を示すのは、

かなりの実戦経験を積んできているのだろう

 

そして、布を巻いていっている途中、緊急で治療が必要な人を見つけた

 

「…っ!!急いで水を持ってきて!」

 

わたしの言葉にお頭さんが水を持ってきてくれる

 

「どうしたんじゃお嬢ちゃん?」

「質問は後でお願いします!」

 

そう言うとわたしは能力を使うために角を生やす。それを見たガープさんと

ボガードさんが目を見開くが構っていられない。

 

そして、わたしは針で指を刺して血を一滴、水に垂らすと水が淡く黄金色に輝きだす

 

「さぁ、この水を飲んで!」

「う、あ…」

「頑張って!お願いだから飲んで!」

 

口の端からこぼしながらも重傷の海兵は水を飲む。すると、傷口が

水と同じく淡く輝き出しゆっくりと再生していく

 

「これは…」

「よし!この人は血を失い過ぎているから点滴もしておいてください!次に行きます!」

 

 

 

 

「よし!この人は血を失い過ぎているから点滴もしておいてください!次に行きます!」

 

色付きの布を巻きながら緊急性の高い怪我人の治療をしていくお嬢ちゃんを

見ながら儂は目の前で起きた奇跡を思い返す

 

右足と左腕を失っていた部下がお嬢ちゃんから水を飲ませられると、失っていた

部位が少しずつ再生をしていき、今では元に戻っている。

 

治療のための物資が、先の海賊との戦いでその多くを失ってしまい、

負傷した部下達に満足に治療を施すことができなかった。

 

そのため軍医が最低限の止血を施し、近くの島に医者を求めたのだが、

思わぬ幸運、いや、奇跡に出会った。

 

海兵として前線に復帰するのは無理だと軍医に宣告され涙を流していた部下の傷が

何事もなかったように治ってしまったのだ。これを奇跡と言わずなんと言う!

 

「ぶわっはっはっは!」

 

本当に思わぬ出会いもあったものだと笑いが止まらない。先のお嬢ちゃんの父親との

戦いと部下を助けてもらったことの礼をしっかりとせねばなるまい。

 

見た目に合わず的確に治療の指示をしていくお嬢ちゃんを眺めながら改めて思う。

これは是非とも海軍に誘わねばならぬと。

 

 

 

 

「ふう、これで一通りの治療は終わったわね」

 

わたしは軽い怪我の人達は傷口の消毒と縫合をし、重傷の人達は能力を使って治していった。

本当は傷跡を残さないように能力で全員を治したほうがよかったのかもしれないけど、

わたしの能力は便利だが決して万能ではない。そのため、可能な限り能力を使わずに

治すようにしているのだ。

 

「ご苦労じゃったなお嬢ちゃん、本当に助かったわい。それと1つ聞きたいのじゃが、

 なぜ全員に能力を使い治さなかったんじゃ?」

「…それは」

「あ、いや、話したくなければ話さんでもいいわい」

「違います。なんて説明したらいいかわからなくて…」

「む、そうか、すまんかったなお嬢ちゃん。お嬢ちゃんがまだ子供だというのを

 すっかり忘れとったわ、ぶわっはっはっは!」

 

前世も合わせると30…いえ、わたしは9歳の女の子だもの。仕方ないわね、うん。

 

「理解しにくい説明になっちゃうと思いますけど…それでもいいですか?」

「ああ、構わんわい。まぁ、儂はあまり頭がよくないから元々理解できんかもしれんがの?

 ぶわっはっはっは!」

「ふふふ、それじゃ説明しますね」

 

わたしは自身の能力を頭の中で整理しつつ、ガープさんに治療方法を分けた理由を話した。

 

「わたしの能力は一言で言えば回復ではなく治癒なんです」

「ん?何が違うんじゃ?」

「そうですね…ガープさんは筋肉痛はわかりますか?」

「そのぐらいならわかるわい。訓練などの後に体の筋が張ったりするあれじゃろ?」

「はい、それが治ると前よりも重いものを持ったりできるようになりますよね?

 それが回復だと思ってください」

 

正確には超回復とかいったものだったはずだけど…前世でもっと勉強しておけばよかったな

 

「ふむ、確かに訓練や戦いの後では力が増したりするのう」

「はい、そして治癒というのは訓練とかをする前の状態に戻す…みたいなものだと

 思ってもらえればいいです」

「ふむ、では儂の部下達の治療を分けたのは、部下達の成長を考慮してといったところか?」

「そうですね、概ねそんな感じです」

 

ガープさんは自分を頭がよくないと言ったけど、要点を掴むのは上手いみたいね

 

「ぶわっはっはっは!そうかそうか!お嬢ちゃん、重ね重ね感謝するぞ」

「いえ、もう少し上手く説明できればよかったんですけど…」

「なに、気にすることはないわい」

「アカリ、飲み物を持ってきたから少し休憩するのだ」

 

お父さんがそう言ってジュースを持ってきてくれた

 

「ありがとうお父さん」

「おぉ侍の…そう言えば名前を聞いとらんかったな」

「む、これは失礼したのだ。拙者はシラカワ・ブンタというのだ。以後お見知り置きをなのだ」

「ぶわっはっはっは!こちらこそよろしく頼むわいブンタ!」

 

先の戦いのおかげなのかお父さんとガープさんはすっかり打ち解けたみたいね

 

「おぉ、そうじゃった。ブンタ、いきなり殴ってしまってすまんかった。お嬢ちゃんに

 剣を向けているのを見て海賊等のような悪漢だと思ってしまってな」

「あ、いや、その事は拙者が場所を弁えずに剣を抜いていたのが悪いのであって…」

「そうですよガープさん。悪いのはお父さんであってガープさんじゃないわ」

 

わたしの言葉にお父さんが項垂れる。もしかしたらお話しを思い出したのかもしれない

 

「それにガープさんが謝るべき相手はお父さんじゃなくて部下の人達ですよ。

 本当に危なかった人もいたんですから」

「そうだのう、後で頭を下げるわい」

 

ガープさんは中将というかなり上の立場なのに平然と頭を下げると言った。

少し吃驚したけど、なんかガープさんらしいなとも思った。

 

「それでお嬢ちゃん、治療した部下達はどのぐらいで動かせるんじゃ?」

「そうですね…かなり血を失っている人もいたので最低でも7日は安静にして欲しいですね」

「わかったわい。ボガード!」

「はっ!電伝虫で本部に遅帰を伝えておきます。」

 

そう言うと副官のボガードさんは外に出ていった。…いつの間に近くにきていたの?

 

「さて、話しは変わるがお嬢ちゃん」

「ガープさん、わたしの名前はアカリっていいます」

「わかったわいお嬢…アカリ」

 

先程まで笑顔だったガープさんが真面目な顔付きになり話し掛けてくる…なんだろう?

 

「お主、海軍に入らんか?」

 

この時のわたしは、この一言がワノ国で生まれ育ったわたしの人生を

大きく変える転機となることをまだ知らなかった

 

 




もうアカリが主人公でもいいんじゃないかと思い始めてきましたw







※この小説はログインせずに感想を書き込むことが可能です。ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に
感想を投稿する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。