ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿5話目になります


第82話

「シュウ、海軍支部の一部がアーロンと手を組んでいるわ」

 

ベルメールさんの言葉に私は拳を握り締める

 

「わかっている範囲で構わないので教えていただけますか?ベルメールさん」

「海軍第16支部のネズミ大佐がアーロンと癒着しているの。ネズミ大佐はアーロンから

 賄賂を受け取っているわ。その見返りとして海軍の艦隊派遣の情報を流しているわね」

 

なるほど、事前に知っていれば魚人であるアーロン達ならば海中で艦隊を待ち伏せすれば

簡単に沈めることができますね…

 

「他にもネズミ大佐はナミがアーロン一味に入っている事を知っているわ。

 ナミがココヤシ村を買い戻す為にお金を集めている事も含めてね…」

 

海賊と癒着している男が知っている…

 

「つまり、ネズミ大佐はナミが集めたお金を奪いにくると?」

「まず間違いないでしょうね。ナミが外に出るためにはアーロンに一言言う必要があるし

 少し前にネズミ大佐がアーロンの所に来ていたからね」

 

そうなると…

 

「アーロンを叩き潰すだけでなく、ネズミ大佐にも対処する必要があるという事ですね?」

「そうよ。元海軍の私が何とか出来ればよかったんだけど、18年前に引退した身の上では

 海軍支部に対して何かを働きかける事も出来なくてね…」

 

ベルメールさんが申し訳なさそうな顔をしながら言う

 

私はそれを受けて顎に手を当てて考え始める

 

さて…どうする?

 

私が考えていると何故かベルメールさんとノジコが笑い始めた

 

「どうかしましたか?ベルメールさん、ノジコ?」

「いや、だって…ねぇ?」

「今、シュウがしている仕草をナミもするようになったから可笑しくて…」

 

ノジコとベルメールさんがからかうように言ってくる

 

「私としては真面目に考えている所なんですが?」

「あっはっはっは!ごめんごめん、シュウが戻って来たから何とかなると安心してついね」

 

信頼してくれるのは嬉しいが今は自重して欲しいものである

 

私はため息を1つ吐いてからまた考え始める

 

「さすがにネズミ大佐をアーロンと一緒に叩き潰すのは止めた方がいいでしょうね」

「そうね、それをやればシュウはココヤシ村に居られなくなるわ」

 

やれやれ、面倒な相手ですね

 

「ネズミ大佐を叩き潰した目撃者がいなければ問題ないのですが、その為にはネズミ大佐と

 一緒にいる部下の方々を残らず始末する必要がありますね…

 これは最後の手段としましょう」

「随分と物騒な事を言うようになったわね…さすがに5年も賞金稼ぎとして

 活動しただけはあるのかしら」

 

私の言葉にベルメールさんとノジコが苦笑いしている

 

「躊躇すればやられるという世界で生きてきましたからね。もっとも、アーロンに報復する

 為には必要な事でしたので後悔はありません」

「そう…強かでいい男になったわね」

 

ベルメールさんが今度は優しい笑みを浮かべながら言ってくる

 

「ありがとうございます」

「それで、さっきの方法は最後の手段にするって言ったけど

 他にはどんなのがあるのかしら?」

 

ネズミ大佐に対処する上での問題は奴が海兵であるという事だ

 

ならば…

 

「コネを使いましょうか」

「「コネ?」」

 

ベルメールさんとノジコが同時に疑問を口にする

 

「えぇ、この10年で色々な方々と知り合えましたのでそのコネを使います」

「具体的に誰とのコネを使うのかしら?」

 

私はベルメールさんの疑問に答える

 

「海軍本部の中将…ガープさんに交渉を持ちかけます」

「ガープ中将?シュウはガープ中将とどういった知り合いなのかしら?」

「ガープさんは私がアーロンに海に投げ飛ばされた後に助けていただいた命の恩人ですよ」

 

私の言葉にベルメールさんが驚いた顔をする

 

「へぇ~…これも縁なのかしら」

「どういうことですか?」

「シュウがまだアカリのお腹にいる時に私が送ったっていう話を昔にしたでしょう?」

 

確かにその話は覚えている

 

「その時、私の船ではお腹の中にいたあんたが危険だったのよ。そこで船を出して

 送ってくれたのがガープ中将よ。つまり、シュウは2回ガープ中将に

 命を助けられた事になるわね」

 

ベルメールさんの言葉に今度は私が驚く事になった

 

「それは知りませんでした…」

「コネを使う時に会うんでしょう?その時に改めてお礼を言えばいいわ」

「えぇ、そうしましょう」

 

そこまで話して一口お茶を飲む

 

「ナミがココヤシ村に帰ってくるまで後5日ぐらい、ネズミ大佐もそれに合わせて

 ココヤシ村にくる筈よ…時間がないけど、シュウはどうやって

 ガープ中将と繋ぎをとるつもり?」

 

ベルメールさんの言葉を受けて私はワームホールを開く

 

「…それはなに?」

「私の能力で開いたワームホールですよ、ベルメールさん」

「「ワームホール?」」

 

ベルメールさんとノジコの言葉が重なる

 

私は自分が持つ能力を2人に簡単に説明する

 

「へ~、便利な能力ね」

「そう言うわけで、ガープ中将に繋ぎをとるのは問題ありません」

 

そこまで話して私はまた一口お茶を飲む

 

お茶はすっかり冷めてしまっていた

 

「交渉の材料としてアーロン一味の身柄と討伐の手柄を差し出すつもりです」

「…シュウはそれでいいの?」

「本来ならアーロンの首を獲ることを考えていましたが、害獣駆除も考えると

 アーロン達は殺さずに捕らえた方がいいでしょうからね」

 

私の目を見ていたベルメールさんがため息を1つ吐く

 

「シュウがいいのなら構わないわよ」

「ありがとうございます。もっとも、全ては私がアーロンに勝てたのならの話ですが…」

 

ベルメールさんとノジコが笑い出す

 

「大丈夫よ、シュウなら勝つわ」

「そうね、絶対勝つわ」

 

ベルメールさんとノジコがそう言ってくる

 

「勝負に絶対はありませんが…根拠はなんでしょうか?」

 

ベルメールさんとノジコが顔を見合わせてから同時に口にする

 

「「女の勘よ!」」

 

2人の言葉に今度は私が笑ってしまう

 

「いい女が2人も保証したんだから絶対に勝ちなさいよ」

「ククク…わかりました」

 

ノジコの言葉に私は笑いながら頷く

 

「それでは、アーロン達を倒してきますね」

「わかったわ。ノジコはゲンさんや村のみんなに声をかけてきて」

「りょ~かい!」

 

私は2人の言葉に首を傾げてしまう

 

「何をするつもりですか?2人共」

「養息子の勇姿を見届けるに決まってるじゃない」

「私も養姉として見届けるわ。それと村の皆に宴の準備をしてもらうのよ」

 

私は2人の言葉にため息を吐く

 

「なんと言ってもついてくるのでしょうね…」

「あら、さすが家族。よくわかってるじゃない♪」

 

ベルメールさんとノジコが鼻歌を歌いながら動き出す

 

準備を終えたベルメールさんとノジコ、そして駆けつけてきたゲンさんを伴い

私はアーロンパークと呼ばれている奴等の根城に向かうのだった




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