ONE PIECE~重力の魔人~   作:ネコガミ

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本日投稿4話目です


第87話

南側の上陸地点の坂の上に辿り着くと、眼下には海賊達の姿が見えた

 

「「「ウオォォ―――!」」」

 

海賊達の雄叫びで空気が震えている

 

そして、横にいるウソップの膝も震えているわね…

 

「ちょっと、しっかりしてよね!」

「お、おおお、おう、こここ、このキャプテンウソップにまままかせろ」

 

…はぁ

 

わたしはため息を1つ吐いてからウソップの背中を平手で張った

 

バチッ!

 

痛みか音かはわからないけど、ウソップがその場で跳び上がった

 

「な、なんだ!?」

「少しは落ちついた?」

「俺は最初から落ちついてるぜ!なんたって俺はキャプテ―――ンウソップだ!」

 

虚勢もここまで張れたら立派よね…

 

「はいはい、それじゃ坂の下を見て」

「おう!」

 

坂の下を見たウソップは目を見開きドンドン顔を青くしていく

 

「ななな、ナミ、ルフィとゾロはどこだ!?」

「2人なら明後日の方向に走っていったわよ」

 

わたしの言葉にウソップが口を大きく開けて驚く

 

「だからあいつらが来るまでは私達であの海賊達を抑えるしかないわね」

「そそそ、そうか、よし!行けナミ!」

「あんたも戦うのよ!」

 

いい加減に覚悟を決めなさいよ!

 

坂の下を見ると海賊達が下品な笑いを浮かべているのが見えた

 

見聞色で感じるのは侮りやわたしに向けてくるゲスな感情だ

 

不快ね…思いっきり殴り飛ばしてやりたいわ

 

でも、わたしはあくまで防衛の手伝いだからウソップを差し置くわけにもいかないわね

 

「ほら、何か言いなさいよウソップ」

「な、何かって何だよ?」

「わたしやルフィ達はあくまでもあんたの手伝いなの。つまり、あんたが主役ってこと」

 

わたしの言葉に焚き付けられたのかウソップが顔を紅潮させる

 

そして、一歩前に進み出て高らかに宣言した

 

「俺の名前はキャプテン・ウソップ!お前らの上陸は既に知っていた!坂の上には

 俺の部下が100人待ち構えている!大人しく去れば見逃してやろう!」

 

ウソップの虚言が辺りに響き渡る

 

坂の下にいる海賊達は顔を見合わせた後に大きな声で笑いだす

 

そして、下品にニヤニヤと笑いながら坂の上を目指して歩き始めた

 

「な、なんだ!?100人だぞ!今去れば見逃してやるんだぞ!?」

 

海に生きる男達の多くは見栄を張って生きている

 

そんな男達が名も知らない相手に何もせずに逃げ出す筈がない

 

「ほら、覚悟を決めて戦う準備をしなさい」

 

わたしは背中に隠していたライフルを取りだしながらそう告げる

 

「お、おおお、おう!」

 

ウソップがスリングショットを手に取りながらなんとか言葉を返してくる

 

「ラ、ライフル!?なんでお前そんな危ないもんを!?」

「海で生きるんなら自衛手段の1つや2つは持っていて当たり前でしょう?」

 

このライフルはベルメールさんから受け継いだもの

 

最初はシュウを傷つけた物だから嫌だったけど、今ではあの時にシュウを

生かしてくれた物として受け入れている

 

そして東の海に出て5年の間、わたしと一緒に生き抜いてきた相棒よ

 

坂を歩いて登って来ていた海賊達が雄叫びをあげながら走ってくる

 

初手を取ったのはウソップだった

 

「必殺!《鉛星》!」

 

ウソップが鉛の球をスリングショットで弾き飛ばすと先頭の海賊の鼻っ面に当たり

後ろに倒れた先頭の海賊が何人か巻き込みながら坂を転げ落ちていった

 

「へぇ~、やるじゃない」

 

わたしが誉めるとウソップは長い鼻をさらに長くする

 

「そんな偉そうにしている暇があるんならさっさと次を撃ちなさい」

 

わたしは坂をライフルで指し示しながらそう言う

 

「へ?うお!?」

 

坂は側面が崖のようになっているので幅は其れほど広くないけど

それでも巻き込まれなかった海賊達が坂を駆け上がって来ている

 

「な、鉛星!鉛星!鉛星!」

 

ウソップが何度も撃ち込むが多勢に無勢で押し返しきれない

 

「な、鉛…うわぁ―!」

 

そして遂にウソップの所まで海賊が辿り着いてしまった

 

海賊がサーベルを振りかぶる

 

わたしはライフルの銃身を手に持ち、打撃武器として使い海賊を殴り飛ばす

 

殴り飛ばされた海賊は数人を巻き込みながら坂を転げ落ちていった

 

「あぁ―――…ん?」

 

両手で頭を庇いながら後ろを向きしゃがみ込んでいたウソップが顔をあげる

 

斬りかかって来ていた海賊が坂を転げ落ちているのを見たウソップは

立ち上がり高らかに叫ぶ

 

「はっはっは!見たか!これがキャプテン・ウソップの力だ!」

「バカやってないでさっさと迎撃しなさい!」

 

九死に一生を得て開き直ったのかウソップの怯えの感情が薄くなった

 

坂の中盤まではウソップが、登って来た奴はわたしが相手をして海賊達を抑えていく

 

幾人かは気絶しているのか動かないけどやはり多勢に無勢なのが厳しい

 

「や、やべぇ!鉛星が無くなりそうだ!」

「そこら辺に落ちてる小石でもなんでも適当に使えばいいじゃない!」

 

わたしは近くにきた海賊の顎をライフルで下からカチあげる

 

その一撃で意識が飛んだ海賊をなるべく多く巻き込めるようにして坂に蹴り飛ばす

 

「おまっ!正確な射撃にはいい球が必要なんだぞ!」

「そんな贅沢言ってられる場合じゃないでしょう!」

 

坂の端から抜けようとしていた海賊にわたしは足下に落ちていた

サーベルを拾って投げつける

 

横回転しながら飛んでいったサーベルが海賊の横っ面に当たる

 

顔を抑えて足が止まった海賊に近づきライフルで殴り飛ばして坂の下に転がす

 

「…これじゃ埒が開かないわ」

 

海賊達がわたしかウソップに向かってくるのならどうとでも出来るんだけど

シロップ村に向かおうとされると途端にキツくなる

 

「うわぁ―!」

 

ウソップに海賊が向かったのでわたしは援護に行く

 

だけど、数人の海賊が逆側から坂を抜けようとしていた

 

わたしはそれを気にせずにそのままウソップの援護をする

 

何故なら、見聞色の覇気でここに近づく気配を感じ取っていたからだ

 

ドガッ!

 

坂を抜けた海賊達が勢いよく吹き飛ばされる

 

その光景に足が止まった海賊達に注意しつつ後ろを向くとルフィとゾロが

息を切らしながら立っていた

 

「ウソップ!南側ってどっちかちゃんと言って行けぇ!」

 

若干涙目のルフィがそう叫んでいる

 

とにかく、これで人数は揃ったわ

 

さぁ!ここから反撃よ!




次の投稿は15:00の予定です

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