(未完)異世界転生すると美少女になれるって本当ですか!? 作:DENROK
短い
「なんかアレでしょ? 天使とかカルマ値高そうなのがウケルんでしょ?」
「そーみたいですねー」
モモンガは目の前のことに気を取られ、返事に気が乗っていない。
インランの嫋やかな手が動く度に、土塊に生命が宿っていく様を口を馬鹿みたいに開けて眺めていた。最初は非常に大ざっぱな造形だったものが、全体に手が入る度にその姿を現していくのはまさにアハ体験のようなものである。
わずか数日で土塊は非常に完成度の高い彫像となっていた。
「おk、よゆーよゆー」
「しかし、インランさんはこの分野にかけては本当にもの凄いですね。これだけは普通に尊敬します。本当、なんで近接職なんてやってるんですか? 前にも言いましたけど、やっぱり本格的なクラフターの方が向いてるんじゃ……」
「あんたねー、なんでゲームの中でまでリアルと同じことしなきゃなんないのよ。こういうのはリアルで十分間に合ってたわ」
「ああ! なるほどー!」
非常に腑に落ちたとモモンガは手を叩いて示す。
「よし! 完成よ! まぁテンプレな感じだけど、この方が受けるんでしょ? どうせ違いなんて分かんないわよね」
どこか遠い目をしながら、インランは出来上がった彫像を愛おしげに撫でていた。
土塊色をした彫像の首が動き、インランを正面に捉えると、ニコリと微笑む。
赤い髪の長髪を背中に流し、両目を布で隠し、背中から腰にかけて6対12枚の天使の翼を背負った美しい女性が、インランとモモンガの前で跪く。
その体を美しく照明を反射する純白の金属鎧が覆っている。天使の羽の稼働を阻害しないデザインから、この女性のための特注品であることが窺えた。
そうしたいかにも天使然とした女性が、容姿の通りの綺麗な声で感謝の言葉を述べる。
「インラン様。この度創造して頂いたご恩、感謝の言葉では表せません」
「はいはいいいわよ、気にしないでちょーだい」
「お前はアレだ。法国とのパイプ役を担ってもらうことになる。お前の外見は人間種には非常に受けいれられ易いはずだからな」
「ははぁ! このサマエル! 必ずやこの大任を果たしてご覧にいれます!」
「装備は全部あんたのために新調したからね。素材を節約するために武器以外は全部
天使は纏っている装備を自身の体ごと抱きしめると、美しい顔を両目の眼帯から漏れ出た涙と鼻水でグショグショにする。
「うう! あり! ありがだぎじあばぜ!」
「そんなに感謝されると作ったかいがあったわ」
それから暫く時間が経った。
ナザリック地下大墳墓、第九階層。
インランは私室で裸のメイド達を前に地上から取り寄せた画材を嬉々として弄り回していると、インランが作ったNPCである天使のサマエルが扉を破壊する勢いで飛び込んできた。
「インラン様! 悪しきケダモノ共を駆逐する許可を頂きたいのですが!」
「悪しきケダモノ? 何よソレ?」
「ビーストマン共です。インラン様の所有物たる人間達を食い荒らしているそうです!」
「むぅ、数は?」
「竜王国という人間の国を脅かしているモノだけでも十万は下らないそうです! レベル帯は概ね15から25前後。ニグちゃんの走査ではレベル40を越す上位個体もいるとのことです!」
「よくその人間の国が生き残ってるわね。もしかして特別強い人間達の国だとかそんな感じかしら?」
「いえ! 法国から特殊部隊を派遣し、なんとか持ちこたえているそうです! どうか私に出撃の許可を下さい! この世からケダモノ共を浄化してみせます!」
ふんふん!と鼻息荒く捲し立てるサマエルに若干インランも押され気味になる。
カルマ値300の極善の善性を持つ天使であるサマエルには耐えがたい事態らしい、意見を通すために念話ではなく直接対面しに来たことからも気合いの入りようがインランに伝わってきた。
それでも、インランは気になったことを聞いてみることにする。
「……なんでそんなに人間の肩を持つの? 人間もビーストマンも大きな括りでは人じゃないの」
「それは! いかにも天使っぽいからです! 人に仇なす異形を殲滅する! まさに天使の本懐じゃないですか!」
「お、おう…… さすがあたしの子供ね」
メッチャキラキラした瞳(イメージ)でそう断言されては、インランには二の句が継げなかった。ロールプレイは楽しい。
竜王国。ビーストマンの領地と接する最前線の砦。砦の前にはビーストマンの大軍が押し寄せ地平線まで埋め尽くしていた。
砦の上で、泉の如くわき出る金色の粒子が、鮮やかに二人を輝かせる。
その場の誰もが目を離せず、砦の内と外全ての視線が吸い寄せられた。
神々しい笑みを浮かべた天使は6対12枚の翼を広げ、美しい剣を握った手を空に向けて伸ばす。
同じく隣に佇む少女の姿をした神も無垢な笑顔で手を空を掴むように掲げた。
瞬間。神の周囲を光の帯が覆うように走り、神を中心とした球状に光る梵字が並ぶように浮かびあがる。
「天光満つる処に我はあり……」
「闇よりもなお昏きもの、夜よりもなお深きもの」
二人が厳かに紡ぐ言霊が世界の理を書き換えていき、その余波で砦が震える。
「混沌の海にたゆたいし、金色なりし闇の王」
天使の掲げる剣に魔力の光が宿っていく。
「黄泉の門開く処に汝あり……」
「我ここに汝に願う! 我ここに汝に誓う!」
天使の剣に纏わり付いていた魔力が漆黒の稲妻に変わり、神を取り囲む光る梵字の並びはいっそう輝きを増した。
「出でよ神の雷!!」
「我が前に立ち塞がりしすべての愚かなるものに、我と汝が力もて等しく滅びを与えんことを……!!」
天使の剣に纏わりつく黒き稲妻が激しい奔流となり天まで際限なく昇っていき、神を覆う梵字の光は最高潮となり漏れ出す魔力の奔流で砦は崩れんばかりに揺さぶられる。
「インディグネイション!!!!!」
「
天使と神の叫びが重なり、一瞬で球体状の光る文字列が神の手の中に収束、天使の黒き稲妻の剣と同時に目の前に振り下ろされた。
漆黒の極大の稲妻が平原をどこまでも奔り、雲ひとつない天空から神の雷が一斉に平原中に降り注ぐ。
神威は平原を舐めるように地平線のかなたまで届き、地平線を埋め尽くすビーストマンを呑み込み一瞬で蒸発させていく。
一連の神の御業が収束すると。後には、地平線まで続く抉れた大地だけが残っていた。
砦の前を地平線まで埋め尽くしていたビーストマンの大軍はどこにも存在しない。1匹も残すことなく全て浄化されている。
「「「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!」」」
黒い髪を左右に結った少女の姿をした神と、赤い長髪の12枚の純白の翼を背負った
「私は人間に仇なすモノを断ち切る神の剣!! これは神意である!!!」
美しく装飾の多い剣を構えて天使がポーズを取ると、さらに大きな歓声が上がる。
天使は正しく仕事を果たしていた。
ナザリック地下大墳墓、第十階層、ナザリック執務室。
部屋の中央に置かれたソファーにインランと一緒に座ったサマエルは、ベタベタとインランの体を触りながら耳元で大声で喚き立てる。
「インラン様! 人間の相手は楽しいですぅ!」
「そうなの、良かったわね」
サマエルは肩に回した腕をインランのパーカーの胸元に差し込んで胸を直接揉みしだく。
「なんか凄くチヤホヤされて! もの凄く気分が良いんですよぉ!」
「そうなの、良かったわね。ちょっと! 今はダメよ!」
ガバリとサマエルがインランに抱きつく。その手はインランの太ももをさすさすと撫でまわしていた。
その手がふとももから上がっていき、パーカーの裾の中へと入っていく──ところで、インランは太ももをキュッと締めることでガードする。
インランとサマエルの視線が交差した。
「それじゃあ! 私は勅命を果たすため、法国に戻ります!」
「おう、当分戻って来なくていいわよ」
ガバリとサマエルが立ち上がると、テーブルに置いていた武装を身につけて、出かける準備を始める。慌ただしく部屋の扉まで行くとインランの方を振り向いた。
「またまたぁ。ちょくちょく顔を出しに来ますね!」
そう言い残して、サマエルは部屋から飛び出していく。
それを見届けると、インランは執務机の前の椅子に座って書類を捲り執務に取りかかっているモモンガに声をかけた。
「なんかサマエルってウザくない?」
「いや、インランさんよりは」
「そう(無関心)」
「こいつ……」
インランが返答に気のない返事を返すと、カチャカチャとした音が執務室に木霊し始めた。
黙々とルービックキューブの面を揃える作業に戻ったインランに、モモンガは苦々しく顔を歪める。
「出来た! ホラ見てよコレ!」
インランが突然叫ぶと立ち上がり、モモンガに手に握ったルーブックキューブを見せつけてくる。
6面の色が揃っていた。
無垢な笑顔を浮かべ、インランは大声でモモンガに叫びながら執務机まで恐るべき速度で近づいてくると、モモンガの目の前にルービックキューブをちらつかせてくる。
「これ凄くない!? あたし凄いわよね!? ホラホラ!!」
「ウゼェ……」
モモンガは手元の書類を思わず握りつぶす。握り締めた拳がぷるぷると震えていた。
「いいからちゃんと見なさいよ!! そして褒め称えなさいよ!!」
「うるせーよ!! お前仕事しろよおおお!! 執務室でカチャカチャカチャカチャうるさいんだよおおおお!!」
執務机に拳を叩きつけ、モモンガは切れた。
「何よ! いいじゃない少しくらい遊んだって! いいわよ、デミウルゴスに自慢して褒めてもらうわ! ちょっとデミウルゴス呼んできて!」
インランが壁際に控えていたメイドに声をかけると、恭しく頭を下げてメイドが部屋から出ようとする。
だが、モモンガがソレを止めた。
「デミウルゴスは地上に出てるだろうがああ!! お前! ふざけんなよおお!!」
「ふざけてないわよ! 遊んでるのよ!」
もう恒例行事と化しつつある支配者達の痴話喧嘩に、メイド達も若干遠い目をしていた。
ナザリック地下大墳墓、第九階層のバー。
地上に任務で出かけていた者達も運良く時間が取れたため、セバスと埴輪を除く全ての守護者がこの場に一同に会していた。
「ついに……この時が……きたでありんす……」
「インラン様の御手によって創造されたシモベ……!」
アルベドとシャルティアが離れた席で固まり戦々恐々としているなか、件のサマエルはかっぱかっぱとマスターが出す酒を次から次に喉に流し込んでいた。
「あははは! この世界ってサイコーですね!」
「そうかね。私も仲間が楽しそうでいると嬉しいよ」
「ウム。然リダ」
「ところで、法国の方は大丈夫なのかい? 君の担当なのだろう?」
「あー、なんか人間達が凄く張りきってるので、多分大丈夫ですよー」
酒によった赤ら顔でサマエルがデミウルゴスに答える。
「ちょっと! ナザリックのシモベが至高の御方々から与えられた任務に対して多分では困ります!」
「そうでありんす! そうでありんす!」
アルベドとシャルティアは肩を組むようにしてカウンター前の席に座ったサマエルに近づき、苦言を呈した。
「んー、でもぉ、絶対はこの世にはないですからー。直近の脅威となりそうな存在はあらかた浄化しちゃいましたしぃ、今までは何とか持ちこたえていたのがかなり楽になってますから、まぁ超余裕で大丈夫ですよー」
大量の酒でべろんべろんになりながら、若干呂律の回っていない口で弁解するサマエル。
「ふむ、インラン様の被造物である君がそう言うならば、それは正しいのだろう」
「まぁー、本当に拙い時は私が召喚に応じるようにマジックアイテムを配ってますからぁ、多分らいじょーぶれすよ」
わさわさと背中の12枚の羽からインランと同じ金色の粒子である神気を散らし、地上領域守護者サマエルはそう締めくくった。
天使(種族的な意味で)
サマエルは大成するよ。間違いない。きっとドラグスレイブもバンバン撃つね。
赤髪なのは察して。
ファンタジーゲームのあの無駄に長くて仰々しい詠唱も、自分で書くと楽しい。モモンガに黒棺詠唱させよう。
あとナザリックはNPCポイントに結構遊びあると思うから、捻出しようと思えば結構出来そう。出来そうじゃない?
ドラグスレイブとR−18版のガチムチパンツレスリングが出せるなら俺はどんな捏造だってしてみせる
ルビクキューは解法暗記しちゃえば簡単。