(未完)異世界転生すると美少女になれるって本当ですか!? 作:DENROK
サブタイトルを変更しました。
コキュートスに出番を増やすようにさらに修正しました。
キンキン響くが耳に心地よい声がジルクニフの目と鼻の先から発せられる。こと外面的な部分に関しては服装以外は完璧だなとジルクニフは外向きの笑顔を貼り付けながら思った。
いったいどうやったのか、帝国が誇る最先端の技術で魔法的に遮蔽されているはずの皇帝執務室に出現した少女は軽やかな動きで皇帝が居る執務机の前まで来ると手の平を上に向けて突き出す。
この場には帝国でも最強の騎士達が謹直に護衛に侍っているのだが、現れた少女を見て諦めたように佇んでいた。執務机の傍で一緒に事務仕事をこなしていた筆頭秘書官のロウネは言わずもがなである。
「ジルちゃん!!! お金頂戴!!! とりあえず100万金貨くらい欲しいのよ!!!」
「ははは、さすがにそんな大金はすぐには用意出来ないよインラン」
開口一番挨拶もなく、単刀直入な”お願い”が少女の口から語られる。皇帝の権限なら用意できない金額ではないが、ポンと渡せる額でもない。だから外向きの完璧な笑顔を貼り付けて皇帝ジルクニフは当たり前のことを言うしかない。
「えー。帝国はかなり繁栄しているって聞いたわよ? 余裕で出せるでしょ! 出して! ホラ早く! 出さないなら金貨鋳造して経済崩壊させるわよ!!」
「では渡す金貨に見合う量の資源を貰えないだろうか? それなら喜んで差し出すよ」
だが目の前の淫らな格好をした少女は怯むことなく自分の願いを叶えるために脅しも含めた言葉を投げかけてきた。サラリと少女が口にした脅しは目の前の少女にとっては本当に片手間で実現出来てしまうことをジルクニフは知っているので、内心の動揺を表に一切見せずに代案を提示する。”お願い”を言われた時から考えていたことだった。
「んー? じゃーアダマンタイト1万トンくらいでいいかしら? ゴミ素材が宝物殿を圧迫してるのよね」
「ははは、……冗談だよね?」
確かに目の前の神の少女は、この世界のどの国よりも豊かな資源を有する組織の最高支配者である。既に友好の証として、ジルクニフは神々の”友人”として目も眩むような最高級の資源と武具を夥しいほどの量で贈られているのだ。普通に国家予算規模の価値があるモノをポンと贈られた時はコレが神か……と呆然としたものである。
しかしアダマンタイト1万トンというのは常軌を逸しすぎていた。それを100万金貨と交換するというのはほぼタダで貰うようなものである。
「ああ、やっぱりあんな安い金属じゃダメなの? そうねー」
「え?」
「それじゃー、このインランちゃんの設定資料集の新作でどうよ! わははは! この世界でのメイド達との爛れた生活を書き綴ったノンフィクション漫画が後半には載ってるわよ!! なんなら漫画部分の販売権を売ってもいいわよ!!」
「すまない、アダマンタイトでいいだろうか?」
「え、ああ、そう……」
「いや! 一緒にソレも貰おう! ただし、友人としてタダで譲って貰えないだろうか?」
「いいわよ! ホラこれ! 見てよ凄いでしょ! ユリの頭だけ外して──」
「あはははは…… なかなか…… これは凄いな……マジで……」
帝国。首都の宮廷内執務室にこの国で最も偉い男の叫びが木霊した。
「あああああああああ!!! もおおおおおおお!!!」
ジルクニフは帝国でも有数の名工の手で作られた執務机に拳を叩きつけて叫んだ。分厚い木材で作られているので手が痛い。
「陛下、落ち着いて下さい」
「これが落ち着いていられるか!!!」
筆頭秘書官のロウネは、言い聞かせるように語る。
「しかし神々との交易によって、たった数日で帝国は空前絶後の利益を得ていますよ。陛下の胃に穴が開くぐらいどうでもよくなるほどの」
「なんなんだよおおお!! アダマンタイトの山とかありえないだろ!! 本当に山だったぞアレ!!」
「しかもたった100万金貨ですよ陛下。アレだけの量からすれば端金です。やりましたね」
「それで作った装備や得た利益で神に勝てるのか!? 勝てないだろう!? 神はアダマンタイトのインゴットを素手で握りつぶしたぞ!?」
ジルクニフは無垢な笑顔の少女がその細腕でアダマンタイトのインゴットを造作もなく握りつぶした光景を思い出し震えた。
「あー、まぁ、そうですね。それでもこの周辺諸国の統一くらいは出来るんじゃないですか?」
「法国と竜王国は既に神の領地だし、王国も神が狙ってるだろう!! では我々はドコを征服すればいいのだ!?」
「評議国とかでしょうか? エルフ国は神が懇意にしているそうですし……」
「人間が竜王に勝てるものか!!! 神話の世界ではないのだぞ!!」
「神なら普通に勝てそうですよね?」
「分かってるよ! わざわざ言うなよ!」
皇帝の執務室で二人の神と皇帝が対峙し、朗らかに語り合う。
「そうか! ついに王国との会談があるのか! じゃあしばらく会えないんだな! いやぁ、残念だなぁ!!」
「あー、ジルにも来て欲しいんだが」
申し訳なさそうにアカデミックガウンを羽織った黒髪黒目の青年がジルクニフに言葉をかけた。
「は?」
「ほら、ジルちゃんって王族でしょ。あたしら作法とか全然分かんないからさー。一緒に来て? そしてあたしに楽させて頂戴」
青年の隣でソファーに腰掛けている、ジルクニフをして見惚れる神の美貌を持った少女がさらに言葉を浴びせてくる。
「え」
「さようなら陛下……永遠に……」
執務室で神々と皇帝の会話を脇から聞いていた筆頭秘書官の呟きは誰の耳にも入らなかった。
ナザリック地下大墳墓、とある階層のとある部屋。
殺意に包まれてジルクニフは失神しそうだった。むしろ失神したい。今すぐ胸に下げた精神を守るマジックアイテムのネックレスを投げ捨てたい。
「ほう…… 君が…… 至高の御方々のサポートをすると……」
「はぁん…… ふぅん…… 下等生物風情に、そんな大役が務まるのかしらねぇ……」
目の前からコチラを睥睨する蛙とゴリラ。
本気でジルクニフは胸のネックレスを引きちぎろうかと悩む。
「ははは、神々は私の大切な友人だからね。全力でサポートすることを約束するよ」
ブチブチッ
ジルクニフは血管の切れる音を確かに聞いた。
「おおおおお…… アルベド……私は自分を止められそうにない…… もしもの時は殺してでも止めてほしい……」
「それは…… 私のセリフだわ……」
どっくんどっくんと怒りの波動を撒き散らしながらゴリラと蛙が何かを囁きあう。
あ、死んだわ。後で《
ナザリック執務室にインランとモモンガの驚いた声が響く。
二人が座るソファーの脇に消沈した様子で佇むアルベドに二人の視線が集中した。
「え゛ ジルちゃんが死んだ!?」
「なんだと!?」
「はい……申し訳ありません……」
「死因は何なの!? 腎虚とか!?」
「いえ、うっかり」
「うっかり?」
「うっかり殺しちゃいました。てへぺろ☆ミ」
頭をこつんと自分で叩いてウィンク☆ アルベド渾身のてへぺろがモモンガとインランに炸裂する!
「あらー!! チョー可愛い!!」
「はぁ!? 殺したぁ!? ジルを!? お前が!?」
「ももも申し訳ありません!! ついうっかり……」
「お前! うっかりで人殺すなよ! いくらジルが貧弱だからって…… ああ! 泣くな! 分かった許す!」
アルベドと何度も肌を重ねているせいで情が移りまくっているモモンガはその涙にアッサリ陥落した。
「それでジルちゃんはドコにいるの? ちょっとやってみたいことがあるから丁度いいわね」
ウキウキとした様子でインランが立ち上がる。
ジルクニフは知らない天井を見ていた。
「ハッ!? ……ここはドコだ?」
「お目覚めになりましたか……わん」
「うおおおおおお!?!?!?」
突然目の前に犬の顔が出てきてジルクニフはビックリした。体は豊満な女性の肉体にメイド服を纏った人間のものだが頭部だけ犬。一瞬でジルクニフは理解する。
「……ここはナザリックだね?」
「その通りで御座います……わん」
「起きたわね! どんな感じ? 気分とか体調とか色々あるでしょう?」
横たわっていたベッドから横を見れば、ウキウキとした様子のインランがソファーに座っていた。
「そうだね……凄く調子が良いよ、ずっと困っていた肩凝りや腰痛もないしね」
「それだけー? おかしーわねー」
「? 何がだい?」
「鏡見る? ホラ。何か違いを感じないかしら?」
どこからともなく巨大な鏡をインランが取り出すとジルクニフの前に置く。鏡にはベッドに座るジルクニフが映っていた。
「これは…… 良い……筋肉だね……」
犬に気を取られていたせいで今気づいたがジルクニフは全裸だった。自分の肉体が余すところなく鏡に映っている。思わずジルクニフは自信のムキムキの胸筋に触れる。ムキムキ……?
「面白いわね! ジルちゃんはレベルが上がると筋肉がつくのね!」
「レベル……? すまない、話が見えないのだが」
「いやあんた死んだのよ? 丁度良い機会だからただの《
捲し立ててくるインランの言葉を、これまでの会話でも幾度か登場した知らない単語をジルクニフは優れた頭脳で補って理解していく。この程度は造作もない。
「レベル……強さの指標か何かだね。ふむ……経験値。 もう何が起きても驚かないと決めていたんだけれど…… たまげたなぁ……」
どこか悟った声でジルクニフは呟く。これはまさに神の御業だと。
「いやぁ、ほんのちょっとしか経験値を上げてないはずなんだけど低レベルだからもの凄くあがったわね。今のあんたはレベルがほぼ倍加してるわよ? もっと感想聞かせて頂戴」
「ああ…… 分かったよインラン。後で気づいたことを紙に書き出しておこう……」
「うんうん、そうして頂戴。じゃあ行きましょうか!」
「行く? ああ、本当に行くのか。王国に……」
「もう時間がないからね。このまま行くわよ!」
服を投げるように寄越され、それを着るとインランに手を引かれて部屋から連れ出される。ここはジルクニフをして目を見張るほどの家具や調度品が置かれた部屋だ。
「この部屋はどこなんだい?」
「あたしの私室よ!」
そのまま幾つものの扉を潜り、ジルクニフにも理解できないようなゴーレムやアイテムが並んだ部屋を抜けると大きな廊下に出る。やはり尋常じゃない調度品が並ぶ廊下を抜け巨大な階段を降りると、広い部屋に出た。
見事な彫像が彫り込まれた巨大な扉を抜けると、先ほどまでの空間とは比較にならないほどの大空間が待っていた。遠くに跪いている異形達が見える。そして異形達の向こう、階段を上った先にあるこの巨大な空間に見合うサイズの玉座に厳かに座っているもう一人の神の姿。
「ナザリック地下大墳墓最高支配者チャオ・インラン様。および、”ご友人”のジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス様の御入室です」
扉の脇に控えていたメイドがよく通る声でそう宣言する。神々はともかくその取り巻きから向けられるモノはほとんど敵意である。
「おお、無事だったようだな。心配したぞジルよ」
「何、僕は人間だからね、”うっかり”死ぬことはよくあるんだよ」
玉座の前の階段の下まで進むとモモンガが親しげにジルクニフに話かけ、それに対して若干皮肉を込めて返す。
インランは玉座まで階段を上ったが、ジルクニフは階段の下で待機する。これ以上死にたくはないのだ。
「なんか、お前ガタイが良くなったな。戦士職になりたいのか? ならば多少装備を融通しても良いが」
「あー、何かレベル上げ過ぎちゃったのよね。いったいどんな職業レベルを取得したのかしら?」
「お前……何やってんの」
「ははは、ありがたい申し出だけど遠慮させてもらうよ」
目の前の二人の神は話す限りではとても神とは思えない。まるでただの人間のようだ。だが世界を思うがままに出来るだけの武力と組織を有しているし、神のシモベ達は紛うことなく化け物である。神々と話しているとつけ込む隙が無数に見つかるのに、シモベ達のせいで手が出せない。今も精神を守るマジックアイテムがなければシモベ達から叩きつけられる敵意によってこの場で卒倒しているだろう。
「そうか、遠慮しなくてもよいのだぞ?」
「まぁジルちゃんに必要なのは自前の戦闘力よりも優秀な護衛とかじゃないの? 無人機何機か護衛として貸してあげよっか?」
「ははは、護衛は間に合っているから大丈夫だよ」
恐ろしく友好的な神々だが、はいそうですかと厚意を受け取るわけにもいかない。裏で何を考えているのかまでは誰にも分からないのだから。護衛など最も信用出来るかどうかが重要な問題なのに、得体の知れないモノを置けるはずがなかった。……もっとも、今ジルクニフは護衛も付けずに単身で神の膝元に来ているのだが。生きた心地がしないどころか、実際に死んでいるのだから笑えない。
「それは良い案ですね。是非真剣にジルクニフ殿には検討して頂きたい」
突然後ろで跪いていた蛙男が会話に割り込んでくる。
「そうよね! やっぱり護衛は強くなくちゃね!」
玉座の脇からこちらを見下ろす形のインランも蛙男──デミウルゴスの言葉に強く追従する。やはりグルになってジルクニフをハメようとしている。ジルクニフはそう考えざるを得ない。神の奸計など人間の自分に対処できるのだろうか?プレッシャーに押しつぶされそうだが、胸元のネックレスがソレを許さない。
「はは、ではソレは帝国に帰ってから臣下達と良く話し合って返事をするよ。ソレでいいかな?」
「そうね、まぁいいわよ。王国ではあたし達が傍にいれば大丈夫だろうしね」
「ふむ、ではそろそろ行くか。向こうを待たせるのも悪いしな。ジルよ頼むぞ」
「ああ、任せてくれ。友人達の頼みだからね」
「やはり持つべき者は友達ね!」
「この恩は必ず返そう」
神々の振る舞いが脳天気すぎて、ジルクニフは警戒せざるを得ない。いったい裏は何なのだろうか……
リ・エスティーゼ王国。首都リ・エスティーゼ。王城。玉座の間。
大きな扉が開き、モモンガ、インラン、それにジルクニフが並んで先頭を歩き、その後ろにナザリックのシモベ達がゾロゾロと続く。
「ナザリック地下大墳墓最高支配者。モモンガ様。同じくチャオ・インラン様。その配下の方々。および……バハルス帝国皇帝。ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクス様のご入室です」
「ジルクニフ…… 帝国の……」
「何故ここに……」
「いったい何の思惑が……」
玉座の間は騒然となる。
神々の姿やその取り巻き達に息を呑む者達の狼狽えようも凄い。だがやはり、この場にいるはずがない者が何故か居ることに戸惑う声も多かった。
「ファ!? メチャクチャ可愛い娘がいるじゃないの!? 1万発くらいヤりたいわね!!」
「ああ、あれはラナー第三王女だね」
「うひー! あ! ヤバい! 勃つ!」
「おいぃ! お前もしココでチンコ出したらナザリック出禁にするからな!」
「……これは友人としての忠告だと思って欲しいのだが、あのラナー王女は警戒しておいた方が良いよ」
ジルクニフは思わず小声で本気の忠告をする。余りにも神々の振る舞いがあんまりだったので少し毒気を抜かれたのだ。後はラナーに神々が取り込まれると非常に困るので楔を打つ意味もある。
大声でもの凄いことを喚きだした神々に玉座の間がさらに騒然となる。インランにメッチャ視線を向けられているラナーは無邪気な笑顔を浮かべていた。
「ん? 警戒? なんで?」
「見た目に惑わされてはいけないということさ」
「なん……だと……! まさか伝説の……ハ ラ グ ロ 美 少 女 !? あ! あ! ヤバい勃つマズイヘルプミー!」
「ちょっと声が大きいよ」
股間を必死にパーカーの上からグッグッと押さえて叫ぶインランにジルクニフもたじろぐ。
「アカン……」
玉座の間にいた面々から向けられる奇異の視線にモモンガは天井を仰いで力なく呟いた。
あんまりな支配者達の振る舞いだが、その支配者に仕えるシモベ達は平然としている。マナーは至高の支配者達が決めるものだと思っているからだ。シモベ達にとっては支配者達の振るまいはどんなものでも全て正しいのである。
モモンガ達は玉座の間の中央に敷かれた絨毯を進むと奥まで辿り付いた。目の前に玉座がある位置である。
玉座に座った王冠を被った痩身の老人が厳かに口を開く。
「よく来てくれた……神々よ……まずは遠路遙々足を運んでくれたことに礼を述べたい」
「ジルちゃん!」
「え? さすがに僕が対応するのは不自然だと思うよ?」
「うえ、そうなの。じゃあギルド長頼むわ。あたし社交はあんまり得意じゃないのよね」
「ふむ、礼には及ばんぞ。我々には距離は意味を為さないからな。意味は分かると思うが」
「そうか。さすが神々ということなのであろうな……」
遠い目をして玉座に腰掛ける王はモモンガに言葉を返した。
「あたしあのラナーって娘を口説きにいきたいんだけど」
「ははは……神というのは本当に奔放だな…… ラナーを神に嫁に出すのも良いかもしれんの」
「なんかお爺ちゃん、元気ないわね?」
「そうだな。色々考えることがありすぎて疲れているのは事実だよ」
次の瞬間宙を舞う華美な装飾の美しいガラス瓶。そのまま骨と皮だけのような玉座に座る老人にあたりガラスの割れる軽い音が響く。
「ぬお!?」
「王!?」
玉座の間が一気に騒然となり、王の傍で鎧と剣を佩いていた者が急いで声を上げて玉座に近づく。
「お前何やってんの!?」
「え? エリクサーで滋養強壮を」
「お、おおおおお……! なんだ、体が……!」
王にかけられた液体がシュワシュワと音を立て、王は体の異変を訴える。
それを受け護衛の男は顔面を怒りに歪め、武器を抜いて突進してきた。
「貴様ぁあああ!!」
「ヌゥ! インラン様!」
すかさず武器を全ての腕に構えたコキュートスがインランの前に出る。
「グハァ!!」
「「は?」」
コキュートスが構える武器をすり抜けるようにして、護衛の男の剣がコキュートスの胴体を両断した。
モモンガとインランはソレを見てアホの様に口を開いて呆然とするしかなかった。シモベ達も同様である。
「ガゼフ! やめよ! 余は大丈夫だ!」
「は、ははぁ!」
王が護衛の男を一喝すると、すぐさま男はコキュートスの血がついた剣を鞘に収め、玉座の脇へと戻っていく。
だが、これで事が収まるわけがなく。
「え゛ はぁあああ!? ちょ、ちょっと待ってアリーヤ! アリーヤ!」
ガチャガチャとインランはパワードスーツを纏う。
すぐさまパワードスーツに内臓された複合センサーで護衛の男の装備をスキャンしていった。
「んぅ!? あのオッサンの武器はユニークアイテムだわ!」
「なんだと!? 効果は?」
「ああ……これは凄いわね。武器のデータ量は大したことないけど、
「はぁ!?」
コキュートスがやられ、悲壮な覚悟でモモンガとインランを取り囲み護衛するように位置を変えていたシモベ達が、インランの言葉を受けて益々殺気だつ。先ほどからインランの狼藉に関しても玉座の間に控えた王国側の他の護衛達はシモベ達から発せられる殺気に当てられて動けていなかった。
「いやー、危ないわねー普通にプレイヤーを殺せる装備があるわよこの国。もう何年も大規模な抗争なんてないから忘れてたけど、油断は大敵よね」
「なんだ。当たり前のことだろう?」
「ふぅ、とりあえずどうしましょうか、あのオッサン殺して武器奪うか、このまま話を続けるかね」
インランは徐にポーションを取り出すと、床に横たわる寸断されたコキュートスに投げつける。まだ息はあったらしくコキュートスの体が動画の逆再生の様に繋がっていった。
「元はと言えばお前があの護衛を刺激したのが原因だからなぁ……」
いきなり物騒な気配を纏いだした神々にジルクニフは面食らっていた。
「ま、待て! アレは只の護衛であって、君たちを最初から害する意志はなかったはずだぞ! 君たちが刺激しなけば大丈夫だ!」
「ん? そうなの? でもねー、さすがにあの武器はないわ。だって死ぬし」
「そうだな。ジルは少し平和ボケが過ぎるのではないか? 明らかにコチラを殺せる者が武器をちらつかせていたら警戒するものだろう」
お前が言うなとジルクニフは叫びたかった。
実際レイザーエッジの効果は次元切断の亜種みたいな耐性装甲防御全無視貫通効果なんじゃないすかね
次元切断がエンチャントされた剣というのは結構ソレっぽい
前書きでぶっとんでるとか言ってるけどさ、一巡前の世界のR−18版読み直したらソッチの方がぶっとんでてワロスタイリッシュ