Infinite Stratos Other Wings 作:槇島 包呉
いよいよ実機を借りて訓練することができる日が来た。
「やっと本物を使って練習できるなんて楽しみだな蔵人。」
「そうだな。」
いくら史上初の男性IS操縦者なんて言われていても実機を触る機会なんてものは限られているのだ。
隠しきれないほどの高揚感を自覚しながらく同じ更衣室で着替える蔵人に声をかける。
基本的に服を脱いでアンダーウェア形式のISにスーツを着用するだけの俺とは違い、
EAFの操縦服というのは昔から映画やらで見る
「でも俺達に協力するのに本当にEAFまで持ち出せるのか?」
着替えを終えた後、集合場所で更衣室から出てこない女子二人を待つ間蔵人にそんな質問をする。
いくら設計者の意思とは言えそこまで協力できるものなのかと思ってしまうのだ。
「『期待を裏切らないように尽力する。』と言った。」
それに蔵人はそう応えるとグローブを付けた手で器用にカードキーを二枚取り出す。
「ん?カードが二枚あるぞ?」
「それは後で説明する。それより、来たみたいだぞ。」
そう言って指差された先には学校指定のISスーツの上からジャージを羽織った箒と隣りにいる男の着ているそれと同じデザインのEAF用フライトスーツを着た相川さんだった。
相川さんの事情を説明される際に若干の一悶着があったものの、相川さん本人からの事情説明と蔵人の「尽力した結果だ。それよりも時間が惜しい、気を取り直して訓練をしよう。」という言葉に俺と箒が一応の納得をして訓練を開始することになった。
そしてそのためにトレーラーのコンテナの中から降ろされていざ目の前に並べられた実機を見せられると借りることが出来た打鉄二機とEAF5号機、6号機の並んだ姿に見とれてしまう。
「これが、エナジーエアフォース・・・。」
「・・・本当に使ってもいいんだよな?」
「許可は取ってある。」
ISと違い初めて至近距離で見る鋼鉄の翼に思わずそんな風に確認をしてしまう。
洗練された鎧武者のようでありながら操縦者の身体が大きく露出する打鉄と比べて無骨なパーツがあり、大きくしっかりとある程度の全身を覆うように作られているソレはISを使用する俺達からすれば見慣れないものでありはっきりと異質であった。
「こいつは我々用のパーツ取りも視野に入れた予備機扱いで量産前提モデルのテスト用機体だ。専用のパイロットも決まっていなかったのをデータ取りも兼ねて用意したんだよ。」
予備機の積み下ろしを終えて、機体各部のロックを確認した蔵人がコンテナから降りてきて告げる。
「だが私達はEAFなんてIS以上に触れたこともないんだぞ?相川さんのサポートは大丈夫なのか?」
「その辺りは俺の機体から遠隔操作でなんとかする。」
そんな会話を終え、後は実際に乗ってみてからにしようという箒の提案に合わせてそれぞれの機体へ向かっていった。
「けっこう簡単に乗れるようになっているんだな。」
俺が打鉄を装着している間、肩アーマーの中に腕を通してそこから操縦される機械の両腕を楽しそうに動かしながらアイドリング状態での動作確認をする相川さんの姿を見て箒が感想を言う。
「これでも最終的には軍事用が目的だからある程度は便利じゃないとな。EOSだったか?開発中のパワードスーツ。概念的にはアレに近い。」
「しかし、量産前提の型も一緒に実用化されているのか。」
そういう機体を作るのはテスト機が終わってからじゃないのか?と清香に頼まれて装着確認を手伝っていた箒が蔵人の解説を聞きながら尋ねる。
「どちらかと言うとこの6号機と今回は用意していないもう一機(7号機)は特化装備のないプレーンなだけで我々の専用機タイプと大差ない物だ。
我々のはいろいろと操縦者や元々の機体に特化した仕様の装備がついた機体だが、そのへんとか本来の
その為のテスト用に用意されてはいるがパイロットも足りないし実際の量産時にはまた変更があるだろう。」
説明用の資料のデータをガン見しながらの蔵人の説明に感心しながら箒と清香がまじまじと自分の装着したEAF7号機を見つめる。
「金と材料と時間さえあればそこそこ高性能なワンオフを作るのには充分だろうが多くの者が使うことも不要な金をかけなくてたくさん作る事も考えなきゃいかんのは厳しいだろうな。
さて、準備もできたようだから火を入れるぞ。」
いつの間にか自分もEAF5号機を装着し終えていた蔵人の言葉に先ほど注意事項を聞いていた箒がぱっと離れて必要な距離を取った。
慣性、重力制御などを一切使わないEAFの離陸には通常の航空機などと同じような注意が必要なのだそうだ。
機械制御でしっかりと相川さんの乗ったEAF6号機が輸送トレーラーのサイドブロックから伸びるカタパルト用グリップを握ってカタパルトの上に立つ。
「TakeOff!」
そして蔵人の言葉に合わせて足元で機体を接続していたグリップが加速して重力を振り切るかのように撃ちだされていった。