Infinite Stratos Other Wings 作:槇島 包呉
放課後の教室から見える景色に見慣れた機影が混じっているのが見える。
距離はあるもののEAF特有の航空機的機動はそのプログラミングをした本人ゆえに見間違える筈もなく、更に機動時の癖もあって一機は5号機であることが分かる。
「あいつら何してんだろ……ってかあの予備機に乗ってるの誰?」
「……お待たせしました。」
5号機と比べるまでもなく、癖がなさすぎるカタい動きをするもう一機は予備機であることが伺えるが誰が何のために乗っているのかはわからない。
そう考えている所へ背後から声がかかった。
「お久しぶり…ですね。専属のバックアップチームだった時以来、ですっけ?山田先生。」
そういいつつ振り返ると、以前顔を合わせていた時と何一つ変わらなかった
「どういうつもりなんですか八王子君。なんで
私が彼女と出会った時はこの人が操縦者で自分が
「私と接触するように言われているんですか!」
警戒と困惑の混ざった表情でそう詰問されるがどうやら一番心配しているのは自分ではなくその背後のことらしい。
「いや、この界隈に居るって事は知ってましたけど教師だとは知りませんでしたよ。……上は違うかもしれませんけどね。でも、俺は未だに山田真耶専属のバックアップチームだったことを忘れていませんから売るような事する気もないです。」
「・・・・・・そうですか。でも、だったらなんで試合なんて!」
こちらを交えた試合の話は流石にもう伝わっていたらしくその話題になるに合わせて一度は下げられかけた眉が再び上がる。
「アレは話の流れというか・・・まぁ、データ取りはついででメインはレクリエーションですよ。」
「そうなんですか?」
「でも、負ける気はしないと言うのも本当です。
「それほどなら、いつか私と勝負してみますか?」
そう言って楽しそうに笑う顔は当時の自分には引き出せなかったものである。
だが、口にされた内容は彼女の腕前を考えるとそう簡単に実現させたくないものでもあった。
「冗談きついですね。・・・・・・冗談なんてあの頃でも聞けなかった貴重な言葉ですけど。」
「それで、どうして八王子くんはそこにいるんですか?」
基本的にお人好しだというのはよく知っている。
様子を見る限り既に警戒は解き始めているしおそらくこの質問も本気で経緯が気になってのものだろう。
ならばこっちもそれに合わせて本当のことを言っておく機会なのかもしれない。
「それは・・・・・・こうしてれば真耶さんの目につくかと思ったからですよ。思ったより早く直接対面することになりましたけど」
「それは何の目的で・・・」
「リーシア、覚えていますか?その完成品を見せたかったんです。」
「えっ・・・?リーシアは計画が中止になってましたよね?」
「折角生み出していた
「・・・・・・今は受け取れません。」
「そうですか。」
まぁこれは予想できていた返事である。
そもそもこの人がまだISに乗っているとは思っていなかったのだ。
それなのにAIを渡されても困るだけだろう。
「その娘には私の代わりに今の八王子くんをサポートしてほしいので。あれ?でもそれって八王子くんがパイロットをする理由にはなりませんよね?」
そう言って心底不思議そうな顔をする。
まぁ、以前顔を合わせていたときには白衣姿のプログラマーだった人間が数年の間に軍事兵器のテストパイロット兼広報なんて事になっていれば誰だって気になるだろう。
自分でもそう考えるしその経緯は思い出しただけで苦笑せざるを得ない。
「それは半分不幸な事故に巻き込まれたのが原因です。その後降りなかった理由はさっき伝えた通りのと・・・・・・これはあくまでついでですが、地上から眺めていたあの頃からいつか肩を並べて空を飛んでみたいと思うこともあったものですから。」
「今の私のは教員用なのでプライベートでなんてのは難しいですけど、授業でならそういう機会もあるかもしれませんし是非空の上の素晴らしさを見てもらいたいですね。」
個人的には下心が混ざってしまった言葉になったと軽く後悔をしたが相手は気づかなかったらしく安心するような少々悲しいような気持ちにさせられる。
「ありがとうございます。あと、ウチのサポート班ですけど2号機用の調整メンバーは当時のバックアップ班だった者で俺と同じく放逐されていた面子をかき集めたのばかりなんで一度顔を見せてくれると喜ぶと思います。」
「今度、挨拶に行くと伝えておいてください。後、学校にいる時は『山田先生』ですよ。」
ではこれで、と告げて教室を出て行く彼女背中を見送った後一息ついて教室の窓を開けた。
窓の外に見える自分にとって見慣れた翼達の機影はまだ空の上に居るようであった。