Infinite Stratos Other Wings 作:槇島 包呉
常に作中の誰かの目線で語られる形式として書いていますが、出来る限り誰の目線なのか文体や思考のスタイルで理解できるようにできたらなと思います。
「・・・・・・毎年毎年よくもまぁ馬鹿者ばかりが集まるものだな。それとも何だ?私のところにそういった者達が集められているとでも言うのか?」
滝のような黄色い声をきっかけにして再度ざわつき始めた教室内で教師織斑がこの時間はレクリエーションとすると告げた。
「ふぅ、こんな生活が続くのかよ・・・・・・」
もはや「憧れの織斑千冬先生に質問する会場」と化した教室の壁際で理解できないノリに呆れ果てた様子の織斑一夏がだるそうに呟く。
「女3人集えば姦しいとはいうけど・・・・・・これは堪えるよなぁ」
きゃいきゃいと声が飛び交う教室の中で声が聞き取れるように、織斑一夏に話しかけると椅子を引いてこちらへと顔を向けた。
「この騒がしさはなぁ。・・・・・・えっと燕飛、だっけ?」
「雲親でいーよ。」
「あぁ、助かる。」
まだ名前を覚えきれていない一夏に自ら名乗るとありがとう、と手を差し出された。
「一応聞いとくけど、やっぱりその黒い制服って・・・・・・。」
「俺達が新型機動兵器エナジーエアフォースの広報部隊パイロット。俺から順に、今紹介したから名前だけで
まずは自分の隣席の男子を指さして言う。
「よろしくな、畝霧。」
「あぁ、よろしく。史上初のIS操縦者殿よ。」
自然な流れで一夏から差し出された手をとって蔵人が握手する。
「そっちが
「うぃーっす。」「よろしく。」
続いて俺の背後の席に座る二人を紹介していく。
「それでお前さんの隣に座っているハーフの奴がカーレン・イスカ・雷吾。」
「なるほど、噂通りのイケメンだな」
「あ、あぁ。ありがとう」
最後に織斑一夏の隣に座る男を指差して名前を教えた。
「それで、5人は昔からの顔見知りだったりするのか?」
ひと通り挨拶が終わったところで古くかの知り合いか?という疑問を感じたのか織斑一夏が尋ねて来る。
「いや?年齢こそ大体一緒だから気にしてないけど出会ったのは少し前でEAFの工場でちょっとゴタゴタした時に初めてかな。」
その時のことは説明すると長くなるので割愛させて頂くが要はEAFの支援企業へ向けて行われたテロに巻き込まれて気がつけば5人揃って操縦者に仕立て挙げられていたという話である。
「それにしちゃ随分と仲がいいんだな。」
この学園で男一人の可能性も考えてたから他にも男が居るのはありがたいけど、仲間はずれみたいにも感じるな。と織斑一夏がやや羨ましげに言う。
「もともと野郎の交流なんてそんなもんだろ。それに俺と畝霧だけは家同士の古い付き合いもあるから少し特殊だけどな。ま、ワンサマーもすぐに馴染むだろうよ。数少ない男同士仲良くしような。」
「おう!・・・ところでワンサマーってなんだよ!」
どこか鈍感なところでもあるのか一歩遅れたタイミングで自分が妙な呼ばれ方をしたのに気づいた
「お前のアダ名。」
「アダ名?!そんな呼び名で初めて言われたぞおい。」
驚いた顔でそう言うワンサマーのフレンドリーな態度にまだ交わした言葉こそ少ないもののその明るさと爽やかさに、良い奴じゃないか。と感じて表情が和らいでしまう。
「そうか?割とあり得ると思うんだけれども逆に今までなんて呼ばれてたんよ?」
むしろ言葉の響き的にも口にしやすく、親しげでいい呼び名じゃないか。ワンサマー。
「普通に名前で『一夏』とか・・・・・・あと例外で『いっくん』ってのもあったな。」
直感的にではあるが呼び捨ては兎も角、後者のアダ名のセンスに女を感じてそういう相手でもいるのか?と考え、要観察だな。と内心に留めておくことにする。
「いいよなぁ。俺なんざ可愛げのない名前のせいで生まれてこの方あだ名なんぞ貰ったことがないよ」
一方、ワンサマーの口にしたアダ名を聞いた蔵人がどこか羨ましげにそう言葉にした。
確かにコイツの名前の並びには厳つさが目立ちすぎるところがある。しかし、そんなもの気にするような性格だっただろうか。
「古風でいいじゃないかよ。丸目長恵みたいでいいと思うぜ?」
「ふん、そこで丸目が出てくるってことはワンサマー剣術かなにかやってたか?」
蔵人の呼び名についても話題として会話のタネにしたいところではあるがワンサマーの口からなにやら気になる名前が出てきたことに対して尋ねてみる。
丸目長恵。古い戦国時代の兵法家の名前だ。まぁワンサマーには関係ないところであろうが我が家と蔵人の家に確かにつながりがある名前でもある。
「俺の剣の師匠がタイ捨流で遠くはあるが子孫だって話を思い出したんだよ。」
「へぇ、丸目長恵の子孫か。面白い縁もあるもんだなぁ。」
ワンサマーにそう言いながら実際のところこちらは内心で超驚いている。
関係ないだろうとか思ってたがしっかり関係しているじゃないか。
「っていうか蔵人も雲親よく丸目長恵を知ってたよな。俺だって今の師匠に稽古後の話で聞くまでは知らなかったのに。」
しみじみとワンサマーがそういうのも無理はないだろう。
実際のところ何らかの縁でもある関係でないとマイナーな名前であるのは確かだ。
まぁ、逆に言えば蔵人も俺も縁のある家の生まれなのだ。
「俺の親父殿が人よりちっとばかしそういうのが好きなのとそういう関係の職だからな。俺の名前のあやかり元でもあるらしいし。でも古風だってんなら雲親の家も古いどころか相良忍群燕飛組の頭の末裔だぜ?」
ちゃっかりと自分の家の事にはぼかしを入れつつ俺の家の事をしっかりと告げやがった古知の相手(実家が代々の刀鍛冶)にじろり、と目線を向けつつワンサマーにも軽く流すように言う。
「おい蔵人、親の耳に入るとうるさいからあまり言うなよ。それに今どき忍の末裔なんて流行らないから。」
流行り廃りの問題では無いということはわかっているが軽く口にしていいかと言われるとそうでもない話題なのでそういい切って話を流した。
「へぇー忍かぁ・・・って忍?!おい、その話もっと聞かせろよ!」
「はいはーい。気が向いたらまた今度なー。」
やはりワンテンポ遅れて食いついてくるワンサマーの勢いをのらりと受け流してどうやって煙に巻こうかと考える。
ワンサマーこと織斑一夏を含めた男6人の最初の交流はそこで鳴った授業終了の鐘の音によって終了を迎えた。