Infinite Stratos Other Wings   作:槇島 包呉

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前回から少し間が空いてしまいましたがなんとか投稿できました。
今回の話は個人的に序盤一番の山場である部分でしたので事前に考えていたプロットから大幅な変更を経て形になったものです。
今度も細々とですが更新は続けていこうと思いますのでよろしければ是非お付き合いください。


COUNT DOWN

テストの返却と解説の授業が終わりその休み時間になると適当に喋って時間を潰してようとしていた我々の席へ二人の人物がやって来る。

その二人組は先程のクラス代表に立候補した者達(篠ノ之箒と相川清香)であった。

「まさか箒が立候補するとはなぁ。」

一夏がやってきた篠ノ之に対してクラス代表に立候補した事を心底意外そうに言う。

先程の廊下での会話の最中に聞こえた一部から推察するにどうやら一夏は篠ノ之とはいわゆる幼馴染の関係にあるらしい。

「あんな風に言われて私も少しやってみたいと思えたんだ。だが私だって一夏があそこまで推薦されるとは思ってなかったんだからな。」

「あれ?織斑くんと篠ノ之さんって知り合いなの?地元一緒とか?」

一夏に対して楽しげにそう応える篠ノ之箒の返事と距離感の近さに知り合いだった?と不思議そうに相川清香が尋ねる。

我々には織斑一夏の周辺人物や生い立ちとして事前に知らされていた情報の中にその名前や事情も記されていたので既に知っていることではあるがそんなこと知る由もない彼女にとっては気になるところだったのだろう。

「あぁ、小学校の頃まで近所に住んでた幼馴染だよ。」

「じゃあさ、もしかして運命の再開ってやつ?」

年頃の女性らしくそういった話題は気になるのか楽しそうに眼を輝かせた相川が篠ノ之に根掘り葉掘りと言った様子で聞いている。

「あぁ、そうなるが・・・・・・なんだ、そういう風に言われると照れくさく感じるな。」

「運命とまで言われると確かに照れるよな。」

個人的な感想ではあるが口々にそう言いつつ、ちらりと互いを見て僅かに顔を赤くなって照れる両者はまさしく似合いの関係に見える。

「ちょっとよろしくて?」

その若者らしいとでも表現するのが似合う会話に割り込むように更に一人の生徒が参加してくる。

「はい?」

「あ、私達と一緒に立候補してた―――。」

「セシリア・オルコットですわ。」

相川の声に応えるように優雅な一礼とともに名乗る人物に注意を向ける。

セシリア・オルコット。

英国の代表候補生を務め、IS『ブルー・ティアーズ』の操縦者である。

(おい)以外のEAFメンバーもオルコットの突然の来訪に様子をうかがっているようである。

「えっと、誰かに用事?それともクラス代表のことで話に?」

膠着した空気に埒が明かないとでも考えたのか代表して口を開いた雲親が誰かに用があるのか、又は先程の立候補の件で話でもあるのかと尋ねる。

「えぇまぁ。用件としては代表の事でですわね。同じクラス代表を背負うかもしれない立場と言うことになるのでどのような方々なのか是非お話をしてみたいと思っていたところでしたので。」

どうやら純粋にクラス代表の立候補者同士、その人となりを知ろうと考えていたようで何が目的なのかという心配は杞憂であったとEAFパイロット一同で内心安堵の息をつく。

我々もそれなりの立場がある以上こんな些細な接触でも全く無警戒ではいられないというのが面倒なものである。

「そういうことか。俺は推薦された側だけれども選ばれたからには全力を出すつもりだしな。改めてよろしく。」

「オルコットさんよろしくね。」

「私も、よろしく頼む。」

「えぇ、こちらこそよろしくお願いしますわ。」

それぞれにそう言って手を差し出す3人に対して返事をしながらナチュラルに一夏のみを飛ばして握手を返すオルコットの行動に僅かに片眉を釣り上げ何か言うべきかと考えるが、過激派な者と違い口に出して男を批判するというわけでもないのでそう目くじらを立てる必要もないかと考え直す。

「そう言えばオルコットさんは俺達(EAF)の事、どうも思わないのかい?」

(おい)がそんなことを考えており、挨拶も交わしてクラス代表になることができたらどんなことがしたいかを言い合っていた一夏達4人の会話が途切れたところを見計らってそう言い出したのは何也だった。

「え?えっと・・・・・・どういうことでしょうか。」

「俺達も自分達がここでどんな眼で見られてどう思われているのかなんてある程度は解ってたつもりだからさ、さっき雲親が尋ねたときもとりあえずは普通に接してくれてただろ?だからまぁ、代表候補だからってわけでもないがオルコットさん的には俺達の存在ってどう思っているのか聞いてみたくてね。」

何を尋ねられたのかわからないといった声でこちらに振り返ったオルコットに対して何也がペラペラと愛想よく尋ねる。

「そうですわね・・・EAFに関しては開発スタッフに女性も参加していると広く広報されていますし、そのテストパイロットなんて危険がある任務に男性が選ばれていたからといってどうこうは思えませんわね。少なくとも私は英国の名前を背負う立場としてEAFと事を構えようなんて思ってもおりませんし、そういうことですわ。」

「突然尋ねたところに貴重な言葉をありがとう。」

国の名前を背負っている自負がある以上事を構えるつもりはないと言い切るオルコットに対してこちらも組織だってどうこうするつもりはないという意を込めたのか何也が手を差し出すがやはりそれは無視される。

まぁ、個人的感情で我々(世の男達)をどう思っているかなんてのは今問答すべきことでもないし波風立たぬというのならそれが一番である。

このような価値観がまかり通ることがおかしいとするならばそれを変えてみせるのは希望の翼(EAF)を託された我々なのだ。

「さて、色々と一段落ついたと思うんだけれども発言いいかい?」

そこに会話が一段落するのを待っていたのかゆっくりとした挙手付きで有斐が会話に入ってきた。

「はい、何でしょうか?」

先ほどまでの凛とした佇まいとも変わって、歳相応の少女らしさも含んだ純粋な疑問の表情でオルコットが今度はなんだろうかと尋ね返す。

「EAFや男の立場云々に絡める絡めないとかでなくてさ、俺達EAFに英国代表候補生のオルコットさん、更に男性初のIS操縦者なんて言われてるワンサマーがこのクラスに集まってるんだし、今の時点で誰が一番強いかなんて楽しそうな企画じゃない?って思うんだけど。」

「それは・・・・・・言葉通り模擬戦へのお誘いだと受け取っても?」

「あぁいいよ。さすがにこっちの全機とそっち一人なんて馬鹿は言わないさ。こっちから出した代表と模擬戦やってもらえないかなって思ったんだよ。」

他意はない。とお互いに強調して認識しあったところでトントン拍子に進んでいこうとする提案に興味を惹かれたのか一夏も会話に入ってくる。

「なんか楽しそうだなそれ。国家代表候補って強いんだろ?」

その言葉に対するオルコットは不敵に笑みを浮かべるだけであった。

「私も国家代表候補生と呼ばれる存在。英国貴族の矜持として決闘を断ったりなどいたしませんわ。」

「わかった、俺も正々堂々戦わせてもらう。」

自らの胸に手を当ててそうはっきりと告げるオルコットの言葉に一夏もそう言って気合を入れる。

「おいおい、忘れるなよ?俺達が先約だ。オルコットさんご本人が俺達の提案を了承してくれたじゃないか。だから先に予約させてもらうぜ。それに俺達とお前もやらせてもらう。だから順番としては俺達とオルコットさん、お前とオルコットさん、最後に俺たちとお前だ。いいだろ?」

連戦になるがオルコットさんもいいかい?と戦う順番を決めた何也が尋ねる。

「いいですわよ。EAFの方々のプライド、見せていただきますわ。」

我々EAFと男性ISパイロット。

その両者からの相次ぐ宣戦布告を受け取るオルコットの顔には敗北の文字も不安の文字もなかった。

 

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