Infinite Stratos Other Wings 作:槇島 包呉
その日の昼休み。
雲親達EAFパイロット勢と共に食堂ではなく売店で軽いものを買い、食事もそこそこに済ませた俺は教官室に来ていた。
その目的は先程決まった模擬戦の為の許可を
「・・・そういう経緯か。全く、新学期早々やってくれるな。」
前代未聞だぞ。と小言のようにいいながらもアリーナの使用許可は学園側に申請を通してみせると約束してくれた千冬姉に礼を言って頭を下げる。
「千冬姉、ありがとう!」
「なに、これも教師の仕事だ。あと、織斑先生だ。」
それよりも、と言って千冬姉が俺の肩に手をおく。
「相手は実力の保証された代表候補生と力こそ未知数だがISに匹敵すると噂されるEAFだ。正直なところ厳しい戦いになると思う。教師である以上特定の誰かを贔屓することはできんが、姉としてはお前が後悔しない結果になることを願うよ。・・・・・・以上だ。もう行っていいぞ。」
その言葉を最後に背中を軽く押されて教官室を出る。そこでようやく肩の力を抜いて一息ついた。
「・・・・・・ふぅ、なんとかなりそうかな。」
お互いあれだけの見栄を切ってそもそも模擬戦が出来ませんでしたなんて事態になったら格好が悪いにも程がある。
そうはならなかった事に安堵して先ほど交換したばかりのセシリアと雲親のアドレスに許可を貰った旨のメールを送る。
「織斑くん。」「一夏!」
そうして教室に戻った所で2人の人物に声をかけられた。
自分と共にクラス代表の候補者となった清香と箒の2人でる。
「どうしたんだよ二人して。」
「いや・・・・・・。」
「織斑くんに頑張れって言っておきたくて。」
一夏が何事かと訪ねると箒は照れたように黙りこんでしまうが隣の清香が目的を告げる。
「俺に?」
「あぁ。・・・・・・後の二人には悪いがEAFでも国家代表でもない生徒でIS操縦者だからな、頑張って欲しいって思う。だから、相川さんとも話して応援しようと決めてたんだ。」
「私からも、頑張ってね織斑くん。」
間違いじゃないのかと尋ね返す俺に2人が嬉しそうにはっきりと激励の意を告げる。
それだけで先程まで感じていた担任への交渉と引き換えに得た疲労感が抜けていく気がした。
「冷静になると一週間後までにISを扱えるようにならなきゃいけないってのがハードル高すぎだよな。」
「私達も協力するって決めた以上当事者の内だとは思うんだけど・・・・・・ISなんて試験の時に触ったくらいだもんね・・・・・・。」
この日の放課後、一週間後の模擬戦のことを話している内に協力を申し出てくれた2人と今後の対策を相談し合うがまだ入学したばかりの3人では何をどのようにすればいいのか見当もつかないままであった。
「一夏の訓練に付き合うためにISを借りれないかと管理担当の教師に聞いてみたら明後日からは訓練用のISが借りれそうだと言われたが、今日と明日は無理らしい。」
「えぇっ?!もう許可もらえたの篠ノ之さん?」
方法なんて完全に見当つかずな様子の俺と相川さんに対してなにやら若干様子が違った箒がそう言い出し、既に箒がISの使用申請と許可を得ていたことに驚いた相川さんが尋ね返す。
「あぁ。物は試しにと思って言ったのだが意外とあっさりだったな。相川さんも早く行くといい。」
「あ、そういえば千冬姉が俺の分も明後日からなら都合つけておくって言っていたっけ。」
「この後で私も許可を貰いに行ってくるよ。それよりも今織斑先生のこと『千冬姉』って呼んだよね?織斑先生って普段そう呼ばれてるんだぁー。」
箒の言葉に先程の教官室での会話の最中にあった連絡を思い出す。
そしてそれらの話を聞いて相川さんも早速許可を申請しに行く予定を立て、ようやくⅠ週間後に向けた希望が見えてきたところで他の事に興味を向ける余裕も出てきたのだろう。
憧れの人物とでも言うのだろうか、担任の意外な呼ばれ方に興味を惹かれた相川さんが目を輝かせる。
「あ、千冬姉には黙っててくれよ?後が怖いから・・・・・・。」
既に何度も注意されているが馴染んだ呼び方というのは中々に帰ることができず、気を抜いて姉を普段通り呼んでしまった気恥ずかしさから顔を赤くしてしまい、話を変えようと口早に口止めをして再びスケジュールの確認を行う。
「むぅ。しかし明日の放課後まで何もしないというのも勿体無い時間だな。」
「それなら今日の放課後にでも明日の事とか決めちゃわない?」
「それがいいかもな。」
「うん。そうしよう。」
こうして放課後にもう一度集まることを約束して昼休みは終わりを告げた。