緋弾のアリア-重力と五式の銃弾-   作:おうか

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第1章 始まりと接触
1話.謎の闇は深く……


とある山中に村がある。

その村には誰にも居なかった。

戦時中だから避難しただろう。

私は部隊と逸れてしまいここに来た。

手には米軍の銃をコピーした銃であるが普通に壊れてしまい使えない。

ただ突き進む、たとえ敵が潜伏していても。

私はある民家に入ってみた。

ただ壊れてもない家になんとなくだ。

玄関に上がり古ぼけた階段、昭和のテレビ、電球。

そして……私は言葉を失った

 

「………!」

 

居間に老人が木箱を握っているまま死んでいた。

私は恐る恐るその木箱を取る。

木箱から出てきたのは黒い宝石が嵌め込まれた指輪であった。

一体……なんなんだ、これは?

私は遺留品だと思い木箱をポケットに入れその家から去って行った。

 

 

 

時が遡り現代、東京の人工浮島、その島に建てられている武偵高の男子寮。

 

「……夢か」

 

その寮生、小野新光は朝日を浴びて目を覚ましダルそうにボサボサになった茶髪を整え、服を着替える。

現在は二年の強襲科(アサルト)所属であるが中々楽しんでいる。

あの夢は……祖父さんの記憶なのか?

だが祖父……小野総一郎は既に他界している。

祖父の昔話なんかあまり聞いたことないが。

祖父の話もっと聞いておけばよかった、と思いながらおもむろに携帯を手に持ちメールを確認する。

 

「メールは……いつもだな」

 

着信なし、と。

まぁ先日、遠山キンジチャリジャックの件は来たが。

それにしても外が五月蝿い。

声的にアリアとキンジだ。

全く、何やってんだか。

そんなことを思いながら身支度をし始める。

 

「おい新光、早くしろ」

 

し始めた瞬間に私室に勝手に入ってくる黒髪のオールバックの男、岸田浩司(きしだこうじ)。

新光と同じアサルトの同年だ。

そして同じ部屋に住んでいる。

こいつは冷静沈着であまり暴れないから部屋なんてきれいだ。

他のアサルト生の部屋なんて部屋の原形なんてものはない。

 

「ああ、今行く」

 

 

 

予定通りの7時58分のバスに乗ったがキンジとなぜここにいるかわからないアリアが五月蝿い。

つーか仲良しじゃないかあいつら。

 

「はぁ……」

 

「どうしたキンジ」

 

無事アリアから解放されたキンジは午前からため息の連発。

遠山キンジ、二年の探偵科(インケスタ)Eランクの武偵、こいつ入学試験の時にアサルト科ではSランクを取った武偵でもある。

一時間目から四時間目まで一般科目の授業を行い五時間目以降はそれぞれの専門科目に分かれ実習を行う。

さっき言った通り俺はアサルト、キンジはインケスタだ。

 

「なんでこんな事になるんだよ」

 

「ははっ、ドンマイだ」

 

新光は他人事のよういに笑いながら言った。

本当に他人事だがな。

 

「ドンマイじゃねぇ、俺は平和に過ごしたいんだ」

 

平和に……ねぇ。

まぁ無理だな。この武偵高の生徒になっている間はな。

苦笑いになりそうな感じに心の中で呟く。

 

「恐らくアリアはお前をしつこく狙うんだろうな。……去年Sランクだっただろ?」

 

キンジは厨ニ病的な症状ヒステリアモードのおかげでSランクになったんだ。

キンジは入学試験の生徒参加者を撃破し、そのうえ抜き打ちとして教官五人も同じく撃破したようでこいつは何か特別な家系で此処に入ったが来年は一般校に行くようだ。

 

「まぁよかったじゃないか、パートナーが出来てさ」

 

「俺は平凡な生活を送りたいんだ。Sランク武偵、よりによってアサルトとパートナーなんてゴメンだな!そうゆうおまえはどうなんだ?……ああ、すでにチーム組んでいたな」

 

「一年の時組んでいたこと忘れるなよな。……じゃあな」

 

キンジが学ぶインケスタの専門棟に来たからそこから別れた。

さて、通称明日無き学科『強襲科(アサルト)』。

100人に3人弱は生きて卒業できない学科。

すなわち約97名しか卒業出来ない確率だ。

 

「新光、やっと来たか。遅すぎる」

 

専門棟の前で彼、浩司は待っていた。

今回も近接戦闘の訓練をすることとなっている。

 

「悪かった。で今日はアレだろ?」

 

浩司との近接戦闘は他のと違う。

それは重装備で戦わないといけないことだ。

とは言ってもいつもの通り拳銃を携帯しての近接戦闘だ。

 

「いくぞ!」

 

いきなり戦闘開始かよ。

すばやく懐に入られ、浩司の右ストレート。

浩司は拳銃だけ携帯しメインは体術…合気道を使うエキスパートだ。

新光も同じだが浩司ほどではないが少しだけ体術を使える。

そしてこの戦闘のルールは相手を転ばせ拳銃で突きつけた方が勝ちとなる。

 

右ストレートを左ほほに掠め、右腕を掴み背負い投げをする。

しかし浩司は足で受け身を取りいったん離れる。

新光は浩司にお返しとばかりに同じく右ストレートを放つ。

右ストレートは浩司の中心、すなわち腹だから避けることも難しい。

その右ストレートを右手で止められたがまだ攻撃する。

止められた瞬間に左チョップを繰り出す。

だが相手が浩司だから簡単ではなかった。

それも止められしかも相手の力を利用した合気道を繰り出したのだ。

こんなの対応できるはずもなく倒され、コルトM1911で突きつけられチェックメイト。

 

「まだ甘いぞ、新光」

 

「くっ、やられたな」

 

腕も塞がれて拳銃も取り出せない。

なら……『あれ』を使うしかない。

 

「新光、能力(ちから)使うな」

 

「あー、ばれるかそれ?」

 

さすがに勘がいい浩司には『あれ』……能力(ちから)を使おうとしていたのを見破られていた。あれさえ行使すれば形勢逆転はできただろうに。

 

「ばれるに決まっているだろ。……これが実戦ならもう死んでいるぞ。能力の使いどころも考えろ」

 

「なんだよ。お前だって能力を使えば一瞬で終わるじゃないか。てかお前が能力使う場面あんまり見たことないぞ。危ない場面もな」

 

「……貴様が思っているほど便利ではない。必要ならば使う。ただ、それだけの話だ」

 

そうだな……浩司は能力を使いたくない奴だ。

人前に使うなとも言われている。武偵高には超能力捜査研究科(SSR)という学科が存在しておりその超能力を使う者を『超偵』とも呼ばれる。

なら俺たちは『超偵』と言われるのだろうか。

それがなぜか言われていない、というよりばれていないと言った方がいいかな。

武偵高を入学するときその検査が行われている。入学時SSRの教員らがその素質があるか検査するのだが……なぜか俺たちはその検査に引っかからなかったのだ。恐らく……武偵高が扱っている超能力とは違う能力だと思っている。

新光とか浩司、他にも二人ほどその検査に引っかからなかったようで今はその人たちとチームを組んでいる。

キンジもそのチームの一人だったが二年に上がると同時に抜けてしまった。

 

 

そんな説明を寮の自室でしていたのだがピンポーン、とチャイムが鳴り新光は玄関に振り向く。

 

「……誰だ?」

 

こんな夜遅くに訪問ということは宅配便か。

新光は注文した覚えもないしもしかしたら浩司は何か注文したのか。

と思いドアを開けると、

 

「ちわーっす。宅配便です。サインお願いします」

 

やっぱり宅配便で軽い口ぶりの青年は長い一メートル越えのダンボールを持っていた。

すぐ紙にサインして渡されたダンボールを持ち自室に戻る。

 

「何を送ってきたんだ?」

 

その送り主は親父からであった。

自衛官幹部が一体何を送りつけてきたんだ。父親だけれどもさ。

しかしこの長さは銃器かと思ってしまうほど。

箱を開けてみるとやっぱりそうだ。

入っているのは紛れもない銃、それもかなり昔の銃だ。

菊水の紋章が刻み込まれており固定弾倉が少し飛び出ている銃。たしかこれは祖父が隠し持っていた小銃。名前は四式/五式自動小銃だ。だが製造年を見ると1945年、これは五式自動小銃と言ってもいいかもしれない。だがこれは壊れている。

それともう一つは黒い宝石が嵌め込まれている指輪が入っていた。

たしかこの指輪……あの夢が正しければ祖父が持ち出した指輪だ。

 

あとは……銃の下に百万円があるし。

絶対直せと言うことだろうか。と考えていた時に携帯に着信音が鳴る。

誰だ?

親父かな?

 

「ん?非通知?……はい、もしもし」

 

『公園の公衆電話に来なさい』

 

聞いたことのない弱々しい老人のような声が聞こえる聞いた覚えはない声だ。

 

「あ、あんたは誰だ…おい!……?」

 

公園の公衆電話に来い?

一体誰だ?

まぁ、仕方ない。行くか。

 

トカレフTT-33をホルスターに入れ近くの公園に向かう。

この公園はカップルが多くデートスポットとして有名な公園だがすでに暗く人気もない。

その中指定された電話ボックス。当然のこと誰もいない。

 

「この公衆電話だよな?」

 

新手の悪戯かもしれない。

と思ったら公衆電話からトゥルル!と鳴り響く。

しかもタイミングよく、だ。

 

「……、誰もいないよな?」

 

このタイミング……恐らく誰か見張っているだろう。

ここで立ち去るのも危険だ。

新光は仕方なく、恐る恐る受話器を取る。

 

「もしもし?」

 

「小野新光くんかね?」

 

あの声と一緒だ。

やはり監視されているのか?

周りを見渡すが誰も人気もない。

どこからか監視しているのかわからない。もしかしたら遠くから監視されているのかもしれない。

 

「え、ええ、そうです。しかし何故公衆電話から?普通に携帯で話せばよいのでは?」

 

「何、盗聴される危険もあるからな。しばらくこれで連絡をとる」

 

盗聴?

何かやばい組織か。

切るか?いや、もう顔が知られているためもう駄目だな。

下手をすれば武偵高にも被害が出るかもしれない。

 

「……で何の用なんですか?」

 

「まず君が持っている指輪、あれは危険だ」

 

指輪?

これか。ポケットに突っ込んでいたな。

しかしこの指輪が危険?

 

「それはイ・ウーとロシアのとある組織が狙っている。奪われると厄介な事になる。我々EJが君達を援助し、そして自分の身を守りたまえ」

 

イ・ウー?

ロシアの組織?

EJ?

よくわからん単語がよく出るな。

 

「待て!どうゆう事だ!どうして援助する!?」

 

「………同胞なのだからだよ」

 

同胞……日本人か。

ブツッ、と通話が途切れた。

一体なんだ?

この指輪に何が?

とりあえず帰ろう。

受話器を元の位置に掛け、公園を後にする。

 

 

 

 

 

帰り道は暗い。

それに空気が妙にピリピリしてだんだんと薄明るくなってきている。

街灯の光にしてはおかしい。

 

「……ん?」

 

足元見るとその中心が明るく上も何故か明るい。

周りピリピリ→足元が妙に明るい→何が起きる?

という方程式が成り立った。

すなわち……落雷?

 

「うわぁ!」

 

急いでその円から離れて三秒後に爆音、閃光が煌めき激しい衝撃と煙が立ち込める。

 

「あ、危なかった」

 

やはり雷だった。

しかし雲なんて無いし一体何故?もしかしたら超能力(ステルス)かもしれない。

……ここから離れよう。

 

 

 

新光から約五百メートルほど離れた建物の屋上に銀髪の男が暗い道に走っている新光を見ていた。

 

「チッ!妙に勘のいい奴め」

 

奇襲をかけたのがいいが避けられた。

スゥと何もなかったところから紳士の服を着た白髪まじりの老人が現れた。

腰に両刃剣を挿していることからただの老人ではないとわかる。

 

「今すぐ始末しますかな?」

 

「いや、今は泳がせるぜ。奴が弱小のイ・ウーと戦わせるまで様子見だ。もちろん『緋弾』もな。ウヒッヒャヒャ!」

 

「ほっほっほ、そうですか。ボスがお待ちですぞ」

 

目線を新光から外した二人は空気に溶け込むように消えていった。まるで幻の様に。

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