さてここからがにじふぁん(?)から公開されてない話です。
ごゆっくりとお読みくださいまし
12話.裏と表
「無限罪のブラドを始末しろ?」
人工島の一角にある自然公園、その一つのベンチにて新光とEJの草加が座り、話をしている。
内容とはあのイ・ウーの無限罪のブラドを始末しろ、ということだ。
そんな先走ったことを言う新光を草加はすぐ否定する。
「いえ、あなた方では始末することは無理です。始末ではなく、調査です。我々EJはイ・ウーに少し借りがありますから」
「そんなこと言っても場所もヒントも無し、砂漠の中針一本探すようなことを」
と新光が呆れ顔で言うと草加は数枚の紙、書類を新光に渡す。
それに書かれてるのは新光が通う武偵校、その教員と生徒全員の名簿だった。
「うちの先生と生徒の名前?これとブラドと何が関係を?……まさかそのブラドと関係してる人物をあぶれと言うのでは?」
乾き声で草加に言う新光。もしそうなら生徒全員の動向を探らなければならないことだ。さらに厄介なのは教員だ。中にはマフィアや殺し屋、姿さえ見せない教員もいるからだ。命がいくつあっても足らない。
「まさに、その通りです。まぁブラドの過去に関する資料もありますのでそれと照らし合わせてください。それと一つ。これはあなた新光君だけで行ってください。ブラド自身の姿は私たちにも確認出来てません。仮にブラド本人が潜入していたとしたらばれてしまうのかもしれません。そしてもう一つ」
今回の調査の条件、新光一人による行動。もしブラドがすぐそばにいたとしたら察せられて逃亡など警戒をしてくるだろうと踏まれると。そしてもう一つと草加が指をもう一本立てて言う。
「仮にでも調査です。出来る限りブラドとの戦闘を避けてください。一人と言ったのはあなたの仲間たちでも倒せるかどうか、いえ殺されても可笑しくはないということもあります。これからの仕事もありますし人手が減るのもこちらも惜しいですからね」
「殺されておかしくはない?そこまでヤバい奴ってことか」
「ええそこまで脅威な人物ということです……ではここで解散しましょう。検討を祈ります」
と草加が軽い別れの挨拶をしてその場から立ち去る。
新光も渡された書類をカバンの中に入れ草加と逆方向へ歩く。
夕日が沈み、明るい商店街から少し外れた少し暗い道、草加と二師はT字路に差し掛かった時に足を止める。
「ほっほ、彼にちゃんと伝えたようですな」
T時路壁際に立つ杖を持つ白髪交じり老人は草加に顔を向けて言う。
「あなたはいいのですか。敵の組織に情報を渡すような行為をして」
「ふっ、このことはボスの耳にもすでに入っておる。むろん許可ももらってますじゃ。それに今回情報を渡したのは彼の実力と、私の願望。そしてあなた方はイ・ウーを殲滅するのに適しておるはずですが…ちがいますかの?」
老人はそう言い姿を消し、草加は黒い帽子をかぶり直し無言でその場から離れた。
2目日、朝から授業の合間に新光は昨日渡された書類に記されてる名簿を消去法で消す作業をしていた。
この作業はほとんど意味を成してなかった。なぜなら早朝から探偵科(インケスタ)を通して生徒全員の趣味を洗ってみたがもう一つの書類と照らし合しても全員一致しなかった。それでも洗い流せなかった生徒や信頼している知り合いは外しておいたが。
流石に教員だけは無理だった。なぜなら教員のこと教務部(マスターズ)、東京武偵高の「3大危険地域」の一つに入るとこだ。
「はぁ…どうしようかな」
「どうした新光」
ため息を吐く新光に浩司は隣の席に座り置いてある資料に手を取る。
「あ!おまえ!」
「なるほど。イ・ウー関連か」
浩司は軽く読み、新光に返す。
「さしずめEJがお前だけに出したものだろう」
新光がシブい顔をする。
「そうなら俺は手を貸さない」
「なんでだよ」
友人である新光の手助けをしないと浩司がそう言い新光はその理由を聞く。
「俺は他に任務が入ったから貸せないということもある」
「任務?お前が一人で受けるのか?」
「いや、1年と合同任務だ。間宮と火野、佐々木だ」
1年、そしてその名前は新光にも耳に入っている。
間宮あかり、同じ科で少し顔合わせしたことある。そしてアリアの戦姉妹(アミカ)ということ。
火野ライカ、彼女も同じ科である身体能力も良い。確か少し前に浩司と少し問題が起き(それでも授業の一環としたが)、勝負をしかけたが浩司の圧勝したというのはよく覚えてる。
佐々木…佐々木志乃、探偵科の子だったか、確か礼儀正しい大和撫子であかりと友達らしい。というよりちょくちょく来て応援してる声が聞こえるから友達だろう。
そんな子らと合同任務とは意外だ。浩司はこんなことするタイプではないハズだ。
「1年とか、お前の性格ではやりそうにもないな」
「俺もそうだ、だが強襲科の蘭豹(らんぴょう)がわざわざ組み込んだんだ。当然単位もくれるだとさ」
あぁ、確かそんな任務もあった。先輩が指揮、先陣を取りサポートを行う任務があると。
ただそんな任務は上下関係だったりどちらかが無能だったりと問題があり教務部から選抜してやるようだ。
「そんなこともあるのか」
「それはそうと新光、明日中間試験だが大丈夫か?」
浩司がそれを言うと新光は筆を止め
「あっ」
と思い出したかのように声を上げた。
中間試験…そういえば忘れてた。とはいえ午前は一般科目。
そんな試験を終え、昼休みを挟み、スポーツテストを受けている。
8科目すべて終わらせキンジが第2グランドのすみで腰を下ろしてるのを見て近寄る。
「よっ、キンジ。頭なんか抱えてどうした」
新光は右手を軽く挙げ、話しかける。
死んだ魚の目をしているキンジは顔を上げる。
「ああ、新光か。どうよこのメンツ共は」
と正面に顔を向け、新光も周りを見渡す。
「あぁ、最悪なメンツだな」
まず目に付いたのは教員。香港のマフィアのボスの愛娘蘭豹とかダギュラの綴、背後にたっただけで手刀で気絶させた南郷、レザドのチャン・ウーは声は聞こえるが姿が見えない。
こんな動物園…いや猛獣園と言ったとこだろうか、生きてる心地がしない。
こんな時は目の保養として女子を観察するに適してるが何せ武偵高、無反動砲でぶっぱなす奴もいるからそうそう保養として使えない。
保養として使えるのはC研くらいだ。キンジはヒスってしまうから苦手だということだ。もったいない。
遠くでツインテールを解いたアリアが50メートルを走っている。
キンジ曰くアリアは小学生のようだと言ってたが確かに小柄で可愛らしい。武偵高には似合わないほどだ。
だが彼女はイ・ウー全員捕まえ、母親の無罪と証明しなければならない。
しかし
そんなこと考えると影が現れ、キンジが顔を上げるとくっつけるようにして
「うっわなにそれ! バカキンジモードのあんたって体力までバカになるのね」
とアリアが嫌味を言い、スポーツドリンクを飲む。
「よっ、アリア。どうだ最近は」
新光が進歩あったか?と聞いてみるとアリアは少し気分を暗くした感じになってドリンクを飲む。
「んーぼちぼちね、めんどくさい奴がまた戻ってきたし」
めんどくさい奴、とは誰なのかわからないが気分を損ねてしまったようだ。
「あ、アリアってさ。随分張り切って走ってたな。誰かにいいところ見せて、認めてもらいたかったのか?」
とキンジが言う。
「アハハ、なにそれ?」
アリアが笑いながら首をかしげてる。
アリアは膝小僧を抱えちょっと考えながら
「ま、私の能力はチームメイトが認めてくれればそれでいいわ」
と言った。
「へぇ、もしかしたら好きな男にいいとこ見せてもらいたかったと思ってたけど……違ったか?」
と新光がアリアに茶化すとアリアはキンジを見、少し思いつめたかのようにうつ伏して顔を真っ赤にする。
その真っ赤はトマトのように赤一色に染まり沸騰するヤカンのように湯気が湧き出る。
「バ…バカバカバカー!!何言ってんのこの女たらしのバカ新光ー!」
「やっべ、んじゃあ後は任せたキンジ」
「おっ、おい!!」
顔を真っ赤にして2丁のガバメントを乱射するアリアにそれを逃れるために逃亡する新光、そして巻き添えを喰らい新光と同じく逃げるキンジであった。