アムド棟は地上一階と地下三階と、地下部分の方が広い。
セキュリティー管理の厳重な一階から階段で地下に降りると……無数の銃器があぶなかっしくて床に転がり落ちている。
さすがに装備科ではいろんな部品が散らばっている。
そのゴミ屋敷といえる廊下の一角に『ひらがあや』と平仮名で書かれた表札のついたB201作業室。
朝早く装備科の平賀文に電話したらここに居るから来てなのだ、だそうだからここに来た。
徹夜で何かやっているのだろう。
包んである長い物を持ち軽くノックをする。
「はーい!開いてますのだ!」
子供みたいな平賀の声が返ってくる。
ドアを開けると……どう見てもゴミ屋敷だ。
まぁ、そのゴミというのは部品の事だけどさ。
「待ってましたのだー!」
平賀文……装備科(アムド)二年の武偵だ。
子供に近い身長の低さだがこの子はメンテナンス、カスタマイズが大の得意で自分で開発してしまうほどの天才。
前に『ホンダCBR1100XX』というバイクを改造してくれた。
それに文はアメリカの武器の企業やら大きな会社からの依頼が来てるから凄い。
その平賀は何か持っている。
あれは前、俺が(改造)注文したやつだな。
ルガーP08/14アーティラリー
ナチスの拳銃と言われている拳銃でかなり人気が高い9mm拳銃だ。
スライドして装填する拳銃と違いトグルを後ろに引き上げて離すことで第一弾が装填されるこの銃。
銃身が長く、平賀の机の上に八発入り弾倉と三十二発入り弾倉が四つずつ置かれている。
「注文通り撃針の交換と強化バネに交換、完全セーフティーと三点バースト、フルバーストを追加したのだ!」
「ありがとう平賀」
おかげで30万払ったんだ。
大事にしないとな。
トグルを引いたり照準をあわせたりと重さと扱いやすさを実感する。
「どういたしましてなのだ」
「ところでもう一つ注文したいんだ」
追加依頼、包んであるものを平賀の前に置き、それを見せる。
「あやや!こりゃ凄い!」
見せたのは五式自動小銃、平賀はかなり古いと言ったがまあ六十年以上前の銃だからな。
泥もこびりついている。
「こいつを生き返らしてほしい。銃身をちょっと長く、あとセーフティー、三点バースト、弾倉をクリップから箱型に変更してあと動作不良になってるところを改善してくれ」
「あやや!そんなに注文多いと高いよ?」
そろばんを凄い勢いで弾いてにやける平賀。
そんなに高いか。ぼったくり魂炸裂じゃないか?
まぁ新しい銃になるからいいか。
午後になってアサルト棟施設でルガー拳銃の試射をし確かめている時にふと思い出す。
そう言えばメールでキンジはここにくると連絡がきたな。
「キンジぃ、アサルトに帰ってきたのか?」
「違う!自由履修だ!」
「キンジ!ようやく戻ってきたんだなぁ!帰ってくると思ってたんだぜ?」
「いいぞ!楽しませてくれよ」
「お前らを楽しませに来たんじゃない」
「キンジぃ、お前はアサルトに戻ってくると思ってたぞぉ、お前の居場所はここしかねぇ!」
「安心し「やかましい!願い下げだ!」」
外からの声が響いてくる。
この声はアサルトの同僚とキンジだ。
噂をすればなんとやら、だな。
新光はルガー拳銃をしまい外に出ると。そしてキンジに盛大に
「おぉトニー!久しぶりだなぁ!」
「誰がトニーだ!」
わざと名前を間違えて呼びキンジはすぐさまにツッコミをする。
「キンジ」
キンジの後ろからアリアが話しかけてくる。
そいえば昨日メールで言ってたな…ドレイがうんたらかんたらとか。
「アリア……」
「じゃあまたなキンジ」
同僚は一目散に散って行ったが新光は戻らない。
ただ一言言うだけだった。
「がんばれ」
くるりと振り向きアサルト棟内へ入る。
なんか背後にキンジの叫びが聞こえたが気にしない方向で。
「新光」
ドアから入った時、隣に浩司がいた。
どうやら何か話があるようだ。
「春奈が何か話があるようだ、屋上で集合。だと連絡きた」
依頼の話か、と新光はそうおもった。
「そうか、じゃあ今すぐ行くか。あの二人を待たせてはいけないしな」
そう言った時に激しくドアが開き、音が響き渡る。
「あ、あの!新光さんは居ませんか!?」
ドアを開けて声を荒げている彼女。
その子の特徴はオレンジ色の髪で髪型はポニーテール。身長はアリアより十センチほど高い。
胸は………そこそこある。
彼女の背には現代ではあまり見ない形状の銃器、一○○式機関短銃(しききかんたんじゅう)があった。
あの銃は大日本帝国が装備していた接近戦闘の機関銃だ。
特徴の横に挿入する32発弾倉は填め込まれていないが腰に弾倉がちらっと見える。多分バランスが取れないから入れてないと思う。
弾は南部弾と言って8mm弾、9mmルガー弾より小さく殺傷能力があまりない弾を使用する。
「誰だ、貴様は」
浩司が冷たく、突然来た彼女にそう言う。
「わ、私二年の九条香苗(くじょうかなえ)と言います!め、衛生科(メディカ)です!」
「へぇ、香苗ちゃんって言うんだ。俺に何か用?」
「あ、あの!私と組むように頼まれました!!」
「えっと、なんで?」
「え、えっと……実は今朝こんな紙が…」
一枚のA4の紙。
拝借して読まして貰う。
こう書かれていた。
『二年B組九条香苗
貴女は本日より二年A組小野新光と組みなさい。
また彼に所属するチームにも入りなさい。
EJ』
と書かれていた。
EJよ。
あんた……なんてはた迷惑な。
「仕方ないな……来てもいいぞ」
「おい新光……」
「すまね、俺からの頼みだ」
面倒事と分かっていた浩司だが新光は必死に説得させる。浩司は溜息をつき頷く。この原因の元になっている香苗は理解しておらず首を傾げていた。
夕方に差し掛かり空がオレンジ色に染まった時、新光、浩司、香苗は屋上に姿を現す。
壁の近くに人影が見える、やはり既に着いていたのか。
武偵制服を着ている二人、大柄で髪を後ろに結んでいる男は二年狙撃科(スナイプ)、田中鷹(たなかたか)、ランクはS。
鷹の背に袋紙で包んでいる物はKar98kというボルトアクションライフル。
完全に見せないように配慮している。
あともう一人居る花のヘアピンを付けている女子は二年通信科(コネクト)の高千穂春奈(たかちほはるな)、彼女は通信で連絡をとり指令を出したり盗聴を専門としている。
武器はナイフだけ。ランクはB
通常チームは二年のとある時期に組むが今組んでいるのはとある依頼のおかげでそれ以来組むことになった。所謂非公式のチーム組みだ。
「新光、その子は?」
鷹は目を細めで見る。
「あ、ああ、この子は二年の九条香苗、とある事情でチームに入れることになったんだ。」
新光は簡単に香苗を紹介する。そして新光はああ、と思いだし自分の頭の上に手を置く、そういえばまだ言ってなかったことがあった。
「……香苗、実はまだ言ってないことがあるんだ」
新光は真剣な表情で香苗を見、そして口をする。
俺たち全員……超偵と同じ、いや……それに似た能力を使う者だと。