出会って5秒で手術   作:逸ちゃんこ鍋

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一章

案内された部屋に入ると、そこにはどこかのバーのような空間が広がっていた。部屋自体は広いが、障害物が多いため本来より少し狭く見える。

「よぉ」

声がした方に目を向けると、そこには最初にマジシャン女に風穴を開けられた男がカウンター席に座っていた。するとバーの中にアナウンスが響き渡る。

『それでは1stプログラム、1or1を始めます。相手が降参、または再起不能に陥った時点で終了となります。それでは5秒後に開始します。頑張ってください』

カウントスタート。

(05.00)

「...生きてたのか」

ローが素直に思ったことを口にする。

(03.68)

「あぁ、どうやら治療されたようでよ、生きてたわ」

男がカウンター席から下りながら返事をする。

(02.81)

「無駄話もここまでにしようや。今から殺し会うんだからよ」

そろそろ始まる頃だろうか。その意見にローは賛成だった。

(01.49)

「...そうだな」

(バトル・スタート!!)

5秒経ったと同時に自身にかけられていた手錠が外れる。

「悪いが、速攻で終わらせるぜぇ...!」

男が突っ込んで来る。なるほど、近接戦闘タイプの能力か。そんなことを考えていると、男の腕が一瞬でチェーンソーに変化した。

「俺の能力は、『体の一部をチェーンソーに変える』能力だ!」

男がチェーンソーになった腕を振りかぶる。だが、ローは怖じけずに呟く。

「ROOM」

薄い青い膜がローを中心に広がる。しかし男はそれを気にせずに切りかかった。

 

☆☆☆☆☆

 

「随分余裕ね」

部屋に取り付けられた画面を見ながら自称マジシャンの女が呟く。そして横に立っているチャイナドレスに身を包んだ女に問い掛ける。目は画面から離さない。

「彼の名前と、能力は?」

チャイナ女は手にしている端末をいじりながら答えようとするが、しかめっ面をするだけで、答えない。

「?どうしたの?」

あまり長く感じたのか、マジシャン女が問い掛ける。「いえ、それが...」と言いながら、マジシャン女に端末の画面を見せる。そこに書かれていたものは、

「出身だけじゃなくて、名前や能力、全て不明ですって?」

不明。なにも書かれておらず、不明としか表記されていない。

しかし、それが逆にマジシャン女の気を引いた。そして画面に目を向けると、そこには驚くべき光景が広がっていた。

 

☆☆☆☆☆

 

男がチェーンソーで切りかかった瞬間、そこにはローの姿は無く、変わりに真っ二つになったテーブルがあった。

「なるほど、面白い能力だ」

振り返った先には、椅子に腰掛けてるローがいた。

「だが、そんなんじゃ俺は殺せねぇ」

そしてローは愛刀の鬼哭を抜刀し構えた。

「はっ、そんな刀で俺のチェーンソーとやろうってのか?馬鹿な野郎だ、どうやら瞬間移動の能力らしいが「馬鹿な野郎はお前だよ」...あぁ?」

ローが構えたまま話し始める。

「俺の能力をまだよく知らないで勝手に推測しやがって、確かに刀とチェーンソーじゃ刀だと分が悪い。だけど俺が何の考えもなく立ち向かうと思ったのか?」

そして刀を切り払う。男は何してるんだと思ったが、次の瞬間目を疑った。刀が届いてないのに、男の体が真っ二つにされていたのだ。

「...ああああああぁぁぁ!?」

驚きのあまり声を上げてしまったが、どういう訳か痛みが全くない。いろんな事に驚いていると、ローが刀を床に刺して男(上半身)の方に歩いてきた。そして...

「カウンターショック」

の言葉と同時に手を当ててきた。すると電気が手からほとばしり、男は感電した。

「がぁ...!?」

そして男は気絶した。男が気絶したのを確認すると、ローは愛刀を拾い、鞘に納めた。するとアナウンスがまた響き渡った。

『対戦相手が戦闘不能になったので、1stプログラムを終了します。能力を解除してお待ちください』

アナウンスが終わったと同時に、医者の格好をした老人が入ってきた。

「ほぅ、真っ二つになっているのに血の一滴も出てないとは、面白い。すぐに運べ」

次にローに近づいて怪我をしてないか確認をし、「大丈夫そうだな」とだけ言い、老人が出ていった。すると入れ替わりで黒ずくめの男が入って来て、待合室に案内された。

(よく分かんねぇ事ばっかだが、こうして最後まで勝ち進めれば隙ができるかもしんねぇ)

そして新たに決意する。

 

(この能力で、この地獄を生き残ってみせる!)

 

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