サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第九話

   内通者を斬る

 

レオーネとイエヤスは麻薬密売組織の暗殺のため帝都に来ていた。

 

「どうだ見えるか」

 

「ああ、バッチリ見えるぜ」

 

イエヤスは帝具を使って偵察している。

 

「女の子が大勢薬づけにされちまっているぜ」

 

「・・・そうか、ならさっさと行って仕事を終わらせるぞ」

 

レオーネは怒りをあらわにした。

 

「がってんだ」

 

「にしてもその帝具たいしたもんだな、獣化している私でもこの距離では見えないんだからな」

 

「へへ、そうだろ」

 

イエヤスは調子に乗り始めている。

 

「にしても、その帝具、遠視と透視以外他にないのか」

 

「今のところこれだけなんだよ」

 

「ふうん、他にも何かあるかもな」

 

「ああ、いつの日か全ての能力を使いこなしてみせるぜ」

 

イエヤスは有頂天だった。

 

「いつまでもつぶやいてな、遅れたら酒おごりな」

 

レオーネはイエヤスをおいてダッシュした。

 

「あっ、姐さんズリイぞ、おーい、待ってくれよー!」

 

イエヤスの叫び声がむなしく響いた。

 

その後、二人は密売組織を壊滅させた、レオーネは一人で帰還している。

 

「さて、アジトに帰って一杯やるかな」

 

するとどこからともなく声がしたようなしないような。

 

「おい!俺一人で女の子全員運んでおけってあんまりだろ!」

 

イエヤスのツッコミだったかもしれない。

 

「さて、別働隊のマインとシェーレ、無事かな?」

 

レオーネは月を見ながらつぶやいた。

 

数時間前

 

マインとシェーレは別働隊として出発しようとしていた。

 

「じゃあボス、別働隊として出発するわね」

 

するとナジェンダは。

 

「待て、お前達には別の仕事をやってもらう」

 

「別の?」

 

二人は何と思った。

 

「たった今、本部から緊急の依頼が入った」

 

「何ですか?」

 

「内通者の始末だ」

 

「内通者!?」

 

二人は驚いた。

 

「未確認だが、そいつらの内通で地方のチームが全滅したらしい」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、おそらくな」

 

「ちょっと待ってよ、じゃあ次は」

 

「間違いなくここだろう、一刻を争う、行け」

 

「了解」

 

二人は駆け足で出発した。

 

「さて、別働隊を誰を代わりにするか・・・」

 

ナジェンダはアカメとサヨを呼びだし説明した。

 

「説明は以上だ、急だがやれるか」

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「はい、大丈夫です」

 

「では、直ちに出発してくれ」

 

「了解」

 

二人は会議室を後にした。

 

「それにしても急に仕事が入るなんて」

 

「緊急の仕事はよくあることだ」

 

「あの、準備するからちょっと待ってて」

 

「急げよ」

 

サヨがその場を離れると、ラバが話しかけてきた。

 

「・・・アカメちゃん行くのか」

 

「ああ」

 

ラバは不安そうな顔で。

 

「なあ、サヨちゃんと一緒にいくのは控えたほうが・・・」

 

「何を言っている」

 

「ええと、その、村雨の噂なんだが」

 

「なんだそのことか、私も知っているぞ」

 

「だったら、この噂も知ってるんだろ、村雨が自身に愛情を注いでくれそうな人間が現れたら今の所有者を切り捨てるということも」

 

「ああ、だが、そんなものはただの噂だ」

 

「でも・・・」

 

「帝具は所詮ただの道具だ」

 

「だからそういうのがヤバいんだって、俺、ナジェンダさんに事情を・・・」

 

「余計なことはするな、いいな」

 

「わかった・・・」

 

二人の会話が終わるころにサヨが戻ってきた。

 

「お待たせ、アカメ」

 

「では、行くぞ」

 

二人は出発した、ラバはそれを不安の眼差しで見ていた。

 

街の外れに一軒の小屋がある、そこは全く人が通らない所である、そこは革命軍の密偵のアジトのひとつである、そこにシェーレが赴いていた。

 

「すいません」

 

シェーレはノックをした、すると、男二人が出てきた。

 

「こ、これはシェーレさん、何か用ですか」

 

二人は慌てている。

 

「差し入れを持ってきました」

 

「それで差し入れは?」

 

「・・・忘れてきました」

 

「・・・まあ、気にしないで」

 

二人は苦笑いした。

 

「まさかばれたのか?」

 

「いや、まだわからんぞ」

 

二人は小声で話している。

 

「どうする、もうすぐ帝国の者が来るぞ」

 

「ああ、せっかくの大金を手にするチャンスがふいになる、いつ死ぬかわからない密偵なんかもうまっぴらだからな」

 

「だが、下手はふめんぞ」

 

二人が話しているとシェーレは転んで眼鏡を落としてしまった。

 

「め、眼鏡、眼鏡、どこですか?」

 

「おい、これはチャンスだぞ」

 

「待て、もう少し様子を」

 

「ぐずぐずしてる暇はない、先手必勝だ」

 

男の一人がシェーレに斬りかかった。

 

ドウ!!

 

男の頭が撃ち抜かれた。

 

「そうはさせないわよ、裏切り者」

 

マインが男を射殺した。

 

「・・・」

 

もう一人の男は呆然としていると、シェーレは眼鏡を拾ってかけ直した。

 

「なぜこのようなことを」

 

「・・・金が必要だったんだ、妹の病気を治すために」

 

「え?」

 

「薬がすげえ高いんだよ」

 

「お気持ちはわかりますが・・・」

 

「わかってるさ、許されることではないことも」

 

「他にも方法が・・・」

 

「無理だ、奴がぼんくらな密偵である俺の妹を助けるわけがない!」

 

「・・・」

 

シェーレは何も語りかけることができなかった。

 

「だが事が露見してしまった以上もう終わりだな」

 

密偵は観念した。

 

「申し訳ありませんが」

 

「いいさ、さっさとあんたの仕事を済ませな」

 

「わかりました」

 

シェーレはエクスタスを振った、密偵の首は斬り飛ばされた、残った胴体から血が噴き出した。

 

「すいません」

 

シェーレは密偵の死体に頭を下げた。

 

「シェーレ、終わった?」

 

マインが声をかけた。

 

「はい、マイン、あの・・・」

 

「しっ、静かに」

 

マインが何かの気配を感じ身構えた。

 

「あれは帝国兵、取り引きに来たのね、多分まだアジトの場所は知られてないわね」

 

「どうします?」

 

「決まってるでしょう、始末する」

 

「わかりました」

 

二人は帝具を構え迎えうつ準備をした。

 

アカメとサヨは別働隊としてチブルの暗殺を終えて、アジトへ帰還中だった。

 

「チブルという男用心深かったわね」

 

「ああ、思ったよりも時間がかかった急ぐぞ」

 

二人はさらに足を速めた。

 

「村雨のことアカメにいうべきよね、もしこの案がだめなら村雨のこと諦める」

 

サヨは決心した。

 

「ねえ、アカメ、話がある・・・」

 

サヨが声をかけたその時、二人は殺気を感じ、とっさに身をかわした。

 

「顔が手配書と一致、ナイトレイド、アカメと断定、共にいることから連れの女も・・・サチ?なんでサチがここに?」

 

聞き覚えのある声だった、それは昨日会った警備隊のセリューだった。

 

「お、お前、まさか、ナイトレイドだったのか?」

 

セリューは困惑している、そして。

 

「お前、心の中で私を馬鹿にしていたんだろう、何も知らない私を!」

 

サヨは違うと言おうとしたが、何を言っても信じてもらえないと思い、何も言えなかった。

 

「・・・私はお前が警備隊に入るのを楽しみにしていたんだぞ、お前とはいい友達になれると、それを踏みにじって・・・」

 

セリューは大粒の涙を流した。

 

「・・・絶対許さないぞ、アカメ共々この場で断罪してやるぞ」

 

セリューは鬼の形相で叫んだ。

 

「コロ、戦闘用意!腕!」

 

コロは瞬時に巨大化し、巨大な腕が生えた。

 

「こうなったら仕留めるしかないわね、(いつかこうなってしまう覚悟はしてたけどこんなに早くくるなんて)」

 

サヨにためらいの思いがあった。

 

「サヨ、ためらうな、ためらうと死ぬぞ」

 

アカメはサヨに忠告した。

 

「・・・そうか、お前、サヨっていうのか・・・よくも騙してくれたなこのウソツキめ!!」

 

セリューはさらに激怒した、昨日の一時が全て偽りだとわかって。

 

「もう、腹をくくるしかない」

 

サヨはセリューを殺す決心をした。

 

これより激しい死闘が開始されることになる。

 

・・・この帝具戦で生き残った帝具使いは・・・一人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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