復讐を斬る(後編)
「ああああ!!」
マシロに殴られあごを粉砕された男がのたうちまわり苦しんでいた、エヴァはそれを全く気にもしていない。
「どういうつもりだ?」
「どうもこうもない、コイツをぶっ飛ばした、見ての通りだ」
「そういう意味ではない、お前、復讐をあきらめるつもりか?」
「そのつもりは一切ない」
「まあいい、その話は後だ」
エヴァの視線の先にはあごを粉砕された男が必死に助けを求めている。
「た、たひゅけ・・・」
あごを砕かれまともにしゃべれないがそれでも助けを求めた、エヴァはどうでもいいという感じである。
「私はお前を助けないぞ」
「な、なぜ?」
「お前、勝手に村の娘に手を出しただろう」
「!!?」
男の表情が一気に青ざめた、紛れもない事実だったからである。
「そのことを知ってプライムの奴激怒してたぞ、打ち首は確実だな」
男は絶望で意気消沈していた、自分の死が避けられないものになってしまったからである。
「まあ、お前は腕っ節だけは少しはましだからな、とりなしてやってもいいぞ」
「ほ、本当でふか!?」
「ただしマシロとタイマンで勝負して勝ったらの話だ」
男は再び絶望した、マシロと戦って勝つなど不可能に近かったからである、だが無理だと言ってもエヴァはでは死ねと言うに決まっている、男には戦うしか道はなかった。
「やらせてくれ!」
「そうでなくては、命懸けでやれ」
男は必死に考えた、マシロの強さはよく知っており、普通に戦えば勝ち目はない、唯一の勝機は・・・
「うおおお!!」
男はマシロに全身全霊で突っ込んだ、マシロにつかみかかり力でねじ伏せる、それしか勝機はなかったのである。
「浅はかな」
マシロは男の考えをあっさり読み取り侮蔑した、つかみかかろうとする男の腕を素早く掴み、そのまま一本背負いで地面にたたき付けたのである、たたき付けられた際に骨が何本も折れる鈍い音がした。
「ああああ!!」
余りの痛さに男はただ悲鳴を上げるしかなかった、男の苦しむ様を見てもマシロは微塵も哀れと思わず止めを入れようとしていた。
「死ね、ゲスが」
マシロの拳は男の頭部を完全に粉砕し、血、脳、骨、肉片が辺りに飛び散り地面に落ちていった。
「さすがだな、そいつはクズだが兵士の腕だけはたったのだがな」
男が無残な有様になってもエヴァは全く気にしておらず、マシロの強さをほめていた。
「こうなるのがわかっていてしかけたな」
「お前もそれがわかっていて潰しただろう」
「否定はしない」
「まあ、そんなことはどうでもいい、さっきの話の続きだ、お前、復讐をあきらめたのか?」
「そのつもりは微塵もない」
「ではどうするのだ?私はお前の自由行動を認めんぞ」
「そんなもの必要ない、力ずくで押し通る」
「なるほど、その手もあったな」
「白々しいな、こうなることは予想していたのではないのか」
「さあな」
こいつはしらばっくれているがこうなることを確信していたに違いない、こいつは面白ければ他は二の次なのだ、
あの時もそうだった、私が革命軍を脱走したあの時も・・・