サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第十話

時計の音がカチコチ鳴り響いている、周りにはアカメ達以外人がいない、だが、静寂な時間はすぐに終わった。

 

「コロ、お前はアカメの相手をしろ」

 

「キュ!」

 

セリューの指示でアカメに向かう。

 

「サヨ、お前は私が断罪してやる」

 

セリューはトンファーガンを撃った、サヨは身をかわした。

 

「迂闊に近づけない、なんとかしないと」

 

サヨは隙を探している。

 

一方、アカメはコロと戦っている、アカメはコロに斬りつけた、だが、何ともなかった。

 

「やはり、生物型には呪毒は効かないか、ならば」

 

アカメはコロの腕を斬り飛ばした、だが、瞬時に再生した。

 

「呪毒も効かず、切り刻んでもすぐ再生してしまう、相性最悪だ・・・」

 

アカメに焦りがでてきた。

 

数時間前

 

アジトでナジェンダとブラートが話をしている。

 

「ブラート、宮殿の偵察ご苦労だった」

 

「ああ、宮殿の入口付近までが精一杯だった、とても奥までは無理だ」

 

「いや、それだけで十分だ」

 

「それにしても、アジトがずいぶん人が少ないな」

 

「ああ、緊急の依頼が入ってな」

 

「アカメもか?」

 

「ああ、別働隊の代理を頼んだ、サヨと共にな」

 

「そうか、大丈夫かな」

 

「アカメがいるから大丈夫だろう」

 

「いや、俺が心配しているのはアカメの方だ、昨日あいつの稽古を見たらキレがいまひとつなような気がした」

 

「そうなのか、まあ、あいつもプロだ、調子が悪くてもうまくこなすだろう」

 

「少し気になるな・・・俺、応援に行ってこようか?」

 

「お前、まだ完全に回復していないだろ?」

 

「ああ、だが無理はしないさ」

 

「そうか、すぐに行ってくれ」

 

「わかった」

 

ブラートはすぐ出発した、ナジェンダはすっきりしない様子だった。

 

「何か不安を感じる、何か見落としているのか?」

 

しばらくしてレオーネが戻ってきた。

 

「さて、仕事も終わったし一杯やるか、アカメはどこかな?」

 

レオーネがアカメを探していると、ラバが現れた。

 

「アカメちゃんはサヨちゃんと別働隊の仕事に行ったよ」

 

それを聞いてレオーネは驚いた。

 

「その担当はマインとシェーレだっただろう」

 

「姐さんが行った後すぐ緊急の依頼があってさ、二人はその仕事に行ったんだよ」

 

「な!?」

 

それを聞いてレオーネは胸騒ぎがした、そして、すぐに駆け出した。

 

「私、帝都へ戻ってみる」

 

「ちょっ・・・」

 

ラバが言い終える前にレオーネは走り去った、そして、すぐにナジェンダに報告した、村雨の噂のことも。

 

「その噂は私も聞いた事がある、だが、所詮噂だろう」

 

「俺が気にしているのは他にもあるんですよ、生物型の帝具のことも」

 

「生物型?」

 

ナジェンダは一瞬何のことかわからなかったがすぐに思いだした。

 

「(しまった!内通者の始末に気をとられて生物型のことを完全に失念していた)」

 

ナジェンダは蒼白していた。

 

「(まずい、村雨と生物型は相性最悪だ、いくらアカメでも苦戦は免れない、頼むブラート急いでくれ)」

 

ナジェンダは懸命に願った。

 

その頃、アカメ達の戦いは芳しくなかった、アカメの攻撃はコロには有効にならず膠着状態が続いている、しかも。

 

「体がさっきから重い・・・このままでは」

 

アカメは焦りを感じていた、サヨとセリューの攻防も続いている。

 

「このままじゃ新手が来てしまう、こうなったら」

 

サヨは懐から袋を取り出した、そして、セリューに投げつけた。

 

「なんだ?こんなもの」

 

セリューは袋を撃ち落とした、すると、白煙がまき散らされた、サヨが投げた袋には小麦粉が入っていた。

 

「なんだ?煙幕か」

 

セリューに一瞬隙ができた、サヨはすかさず駆け出した。

 

「は、早い!?」

 

サヨは全速でセリューの首筋に剣を振った。

 

「ま、まずい」

 

セリューはとっさに左腕を盾にした。

 

ザン!!

 

セリューの左腕は斬り飛ばされた。

 

「うわあああああ!!」

 

セリューは苦痛の悲鳴を上げた。

 

「よ、よくも私の左腕を、それにしてもとっさに左腕を犠牲にしなければ危なかっ・・・左?」

 

セリューはオーガが殺された日を思い出していた。

 

 

 

 

「た、隊長が、・・・まさかアカメが?」

 

「いや、隊長は左の首筋を斬られている、アカメは右利きだからその可能性は低い、隊長を殺した賊は左利きだからな」

 

「絶対、絶対許さないぞ!!」

 

セリューは号泣しながら叫んだ。

 

 

 

 

「・・・お前だったのか、お前が隊長を殺したんだな!!」

 

セリューの目は血走っている。

 

「な、何を言って・・・」

 

「ごまかすな!隊長を殺した賊は左利きなんだ、その剣の構え、お前、左利きなんだろ」

 

「ひ、左利きの人は他にも・・・」

 

「隊長を殺すほどの左利きの賊はそうはいない、だから、お前なんだ!」

 

「な、なんてめちゃくちゃな推理、でも、当たってるから恐ろしい」

 

サヨは戦慄した。

 

「絶対、許さないぞ」

 

セリューは怒りと悲しみで号泣している。

 

「(コロの奥の手を使えば数ヶ月の間ろくに動けなくなる、だけど、私はこいつを許せない)」

 

セリューは腹をくくった。

 

「コロ、奥の手、狂化!!」

 

セリューが叫んだ瞬間、コロの体の色が変わり、筋肉が盛り上がった、そして身の毛もよだつ咆哮が起こった。

 

「オオオオオオオ!!」

 

「な、なに?こんな奥の手が・・・」

 

サヨは予想外の事に混乱している。

 

「どうだ!コロの奥の手は」

 

セリューはしてやったりの顔をしていたが、アカメを見て、顔色を変えた。

 

「こいつ、この一瞬で最善の対処を・・・ちっ、帝都最凶の殺し屋の悪名は伊達ではないな」

 

アカメは両手で耳をふさいで冷静に様子を見ている。

 

「だが、こいつには効果てきめんだな」

 

サヨは咆哮に戸惑っている。

 

「今ならこいつを殺せる、簡単に隊長の敵をとれる・・・だが、そうなれば、アカメは全速で逃げるな、さすがにスピードではアカメには敵わない、コロの奥の手には時間に限りがある、時間が切れれば私はアカメにやられる・・・ひとつ手はあるが危険な賭けだ、だが、やるしかない!」

 

コロの咆哮が終えるとセリューはコロに命じた。

 

「コロ、こいつを、サヨを殺せ!」

 

コロはサヨに突進した。

 

「こっちに来る!?か、体が動かない、やられる」

 

サヨは死を覚悟した、だが、すんでのところでアカメは駆けつけコロの足を切り落とした。

 

「サヨ、大丈夫か」

 

「アカメ、あり・・・」

 

サヨがお礼を言おうとした瞬間、銃声がした、そしてアカメの左肩を撃ち抜いた。

 

ドウ!!

 

「・・・・・・!?」

 

アカメは身動きできなかった、そして、コロはアカメに襲い掛かる。

 

「くっ!」

 

アカメはなんとかかわした。

 

「アカメ・・・!?」

 

サヨはアカメの姿を見て呆然としていた、アカメの左腕が肩ごと食いちぎられていたから。

 

「・・・」

 

アカメの顔は苦痛で歪んでいた。

 

「(あ、あれ、アカメの左腕どこいったの、早くくっつけないと・・・)」

 

サヨは混乱している。

 

「ははは、やった、やったぞ、私は賭けに勝ったぞ、やはり運は正義に傾くのだ」

 

セリューは高笑いである。

 

アカメの傷口から血が噴き出している。

 

「血が止まらない・・・アジトまでもたないか」

 

アカメは死を覚悟した、そしてサヨに言った。

 

「この村雨をボスに届けてくれ」

 

「な、何を言っているの?」

 

「私はこの傷では助からん、私は奴と刺し違える」

 

「そ、そんな・・・」

 

「早く行け」

 

「わ、私が足止めをするから、アカメが逃げて」

 

サヨの目から大粒の涙がこぼれている。

 

「お前ではまともな足止めはできん」

 

「だけど・・・」

 

「私の最後の頼みだ、村雨を帝国に奪われるわけにはいかない、頼む」

 

「・・・ゴメン、アカメ」

 

そう言われるとサヨは引き受けないわけにはいかなかった、サヨはアカメから村雨を受けとると全速で逃げ出した。

 

「ま、待て、逃がさないぞサヨ、コロ!」

 

コロはサヨを追いかけるも、アカメは交換したサヨの剣でコロの目を切り刻んだ。

 

「グウウウ!!」

 

コロは目を潰されて立ち止まっている、その間にサヨは走り去っていた。

 

「悪あがきを、アカメ、お前は私が直接断罪してやるぞ、コロ、お前は手を出すなよ、帝具がないアカメなど私の敵ではないからな」

 

セリューは歪んだ笑みを浮かべた。

 

サヨは涙をこぼしながら逃げている。

 

「(な、なんでこんな・・・私、また足を引っ張って・・・)」

 

サヨは断腸の思いで走り去っていった。

 

 

その頃、アカメとセリューは死闘を繰り広げていた。

 

「こいつ、こんな深手でこれだけの動きを?」

 

アカメの粘りにうろたえている。

 

一方、アカメも出血多量で限界が近づいていた。

 

「・・・目がかすんできた、早く仕留めなければ」

 

アカメは捨て身の特攻にでた。

 

セリューは虚をつかれた、その隙にアカメの剣はセリューの脇腹を切り裂いた。

 

「ああああ!!」

 

セリューは苦痛のうめき声をあげた、かろうじて致命傷ではなかった。

 

「くそ、深手を受けてしまった、このままでは」

 

セリューは膝をついてしまった。

 

「よし、次で仕留める」

 

アカメは剣を振り上げた。

 

「わ、私はここで死ぬのか?隊長の敵もとれずに」

 

セリューは走馬灯のようにいろいろな思い出を思い出している。

 

「私は絶対に死なない」

 

セリューは己を奮い立たせた。

 

「私と共に死ね!!」

 

アカメは気迫と共に剣を振り落とした、その瞬間、セリューは右腕を盾にした。

 

ズバッ!!

 

セリューの右腕が切り落とされた、セリューは激痛に耐えている。

 

「今こそ隊長から授かった切り札を使う!!」

 

セリューの両腕の傷口から銃が飛び出した。

 

「正義執行!!」

 

トドウ!!

 

セリューの銃撃はアカメの左脇腹を撃ち抜いた、大量の血しぶきがあがった。

 

「がはっ!!」

 

アカメは血を吐いた、すかさずセリューは。

 

「銃殺刑だあああああ!!」

 

トドウ!!

 

第二射が発砲された、アカメの右胸が撃ち抜かれた。

 

「がっ!!」

 

アカメはフラッとよろめいた。

 

「止めだ!!」

 

第三射が発砲された、アカメの腹が撃ち抜かれた。

 

「がはっ!!」

 

アカメは大量の血を吐き、背中から地面に倒れた。

 

「やった、やったぞ、アカメを仕留めたぞ!!」

 

セリューは大喜びである。

 

アカメは血まみれで横たわっている。

 

「・・・(体が動かない、私は死ぬんだな)」

 

もうろうとしている意識のなかで初任務の事を思い出していた。

 

 

「腐った帝国を打倒するために俺達に力を貸してくれないか?」

 

この男の名はコウガ、サバティーニ一座のメンバーである、アカメは彼らと一月一緒にいた。

 

不穏分子としてアカメは仲間と共に一座全員を抹殺した。

 

 

「・・・彼らの誘いをはねのけ、殺してしまった、あの時からこうなるのは決まっていたんだな・・・」

 

アカメはこれは報いと受け取った。

 

「(・・・ナイトレイド、私にとってまさに家族みたいな存在だったな、本当に居心地がよかった、

・・・皆、すまない、革命を起こせずに死んでいくこの私を許してくれ)」

 

アカメは薄れゆく意識のなか、アカメは目の前に一人の少女の姿を見た。

 

「(クロメ!?クロメに会うまでは・・・死ねない、死にたくない!!・・・せめてクロメの手で・・・)」

 

アカメは涙を流しながら必死に少女の幻をつかもうとする、すると、セリューは。

 

「ええい!!往生際が悪いぞ、このくたばりぞこないの賊めが、お前のおかげで何人の人が死んだ、

この期におよんで命ごいとはみっともないぞ」

 

セリューはアカメが命ごいをしていると思った。

 

「潔く死ね!!」

 

セリューは発砲した。

 

ドウ!!

 

アカメの額を撃ち抜いた、大量の血が飛び散った。

 

「・・・」

 

アカメは言葉を言うことができなかった、消えゆく意識のなかでアカメは。

 

「・・・クロメ、お前は私のさい・・・」

 

アカメの思考が停止した、アカメの命が消えた。

 

第十話

 

   アカメを斬る

 

 

アカメ(死亡)

 

ナイトレイド 残り8人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ついにナイトレイドに最初の殉職者がでてしまいました(自分で書いておいてなんですが)
これから先どういう展開になるか次回をお楽しみに

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