サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第百二十三話

望郷を斬る

 

 

 

西の異民族の案内人を加えた打ち合わせを終えて任務開始の夜まで自由時間となった、下見も兼ねてムスリーの街に赴き時間を潰すことになるだろう、その中で一人だけ他の人と別の雰囲気を出している人物がいる。

 

 

「彼は確か···」

 

 

以前革命軍の本部で会ったことがあり、他の人とは装いが明らかに異なる人物である、その人物は···

 

 

 

「確か名前はムディだったかな」

 

 

ムディ、彼はプトラの墓守で唯一の生き残りである、他には類を見ない独特の衣装を着ている、それ故強く印象に残っているのである。

 

 

「何ですか?私に何か用ですか?」

 

「ええと、あなたがムスリーの街を寂しそうに見ていたようで気になって」

 

 

それはとっさの嘘ではなかった、実際サヨはムディが寂しそうに見つめていると感じたからである。

 

 

「そう見えましたか、まあ、否定はしませんが」

 

 

どういうことなのかな?聞いていいものなのかな?聞いてみるのは悪いかもしれない、サヨはそう思っているとムディは察したのかその理由を語りだした。

 

 

「帝国が故郷を滅ぼしていた頃私は仕事でムスリーの街に赴いていたのですよ」

 

「そうだったの?」

 

「あの時故郷が滅ぶなんて夢にも思いませんでした」

 

 

···表情には出てないけど絶対辛いはず、慰めの言葉を言いたいけど何を言ったらいいのかな?ありきたりな言葉はかえって逆効果かもしれないし···

 

 

「別に気遣いはいりませんよ」

 

「えっ?私顔に出てた?」

 

「まあ」

 

 

そうなんだ、私顔に出てたんだ、思ってたよりも私顔に出やすいんだ···

 

 

「あなたには関係のないことですから」

 

 

確かに私達は全然親しい関係じゃない、実際対面したのだってまだ二回だけで、赤の他人みたいなものだし中途半端に励ますのはかえって失礼よね。

 

 

「だから私のことは気にしないでください」

 

「うん」

 

 

ムディは別にサヨのことを気遣ったわけじゃない、赤の他人でしかないサヨに慰められるのははっきり言ってうっとうしいのである、故郷を滅ぼされた怒りと悲しみが部外者などにわかるはずもないのである。

 

 

···そういえばムスリーの街に赴く前にあんなこともありましたね。

 

 

 

回想

 

 

「なぁ、ムディ」

 

「何ですか?ジャモさん」

 

「お前ムスリーの街に行くんだろう?」

 

「ええ、仕事で」

 

「一つ頼み事があるんだ」

 

「頼み事?」

 

「ムスリーの街である万華鏡を買ってきてほしいんだ」

 

「万華鏡?あなたにそんな趣味があったのですか?」

 

「その万華鏡は特別でな」

 

「特別?」

 

「女の裸が見えるんだよ」

 

「···そんなことだろうと思いました」

 

「頼むよ」

 

「お断りします、なんで私が」

 

「男のロマンが詰まってるんだよ」

 

「御生憎様私にそんな趣向はありません」

 

「後生だから頼む!」

 

「···いい年した男が土下座して恥ずかしくないのですか?」

 

「男のロマンのためなら何でもするぜ!!」

 

「···わかりました、買ってきます、あなたの見苦しい土下座をこれ以上見たくありませんから」

 

「恩にきるぜ!!」

 

「あなたは本当にろくでもない人ですね」

 

「おうよ、それが俺様ジャモ様さ!!」

 

「たった今まで土下座していた人のセリフですか」

 

「まあ、細かいことは気にするな、ハハハハ!!」

 

「全く」

 

 

 

 

 

 

 

···結局あれがジャモさんとの今生の別れになってしまったのですね、ジャモさんだけではありません、長や他のみんなも死に絶えました、ジャモさんのクズなところはしばしば呆れることもありましたが、もう会えないとなると寂しさを感じずにはいられませんね。

 

 

 

「どうしたのボーとして?」

 

「何でもありません」

 

「そう」

 

 

 

気遣いなどしてくれなくて結構です、私達は赤の他人同然なのですから、いいえどちらかといえば手駒みたいなものでしょうか復讐のための、数年前復讐を果たせませんでしたがまだ諦めたわけではありません、帝国の奴らにはこれ以上なくむごい目にあってもらいます、その準備も少しずつですが着々と進んでいます、それまではせいぜい利用されてあげますよ、ですが最後に目的を果たすのはこの私です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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