サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第百二十五話

象牙細工を斬る

 

 

 

ナックルとムディから離れてしばらく歩いていたらラバの姿を見かけた、だがラバは不機嫌の極みである方向を見ている、その先にはある人物がいた。

 

 

「あの人は確か···」

 

 

 

サヨはその人物を知っていた、本部で会っているのだ、その人物の名は···

 

 

 

「確かハウルって名前だったわね」

 

 

ハウル、彼はかつて王族でボスが将軍だった頃にプロポーズをしたのだがあっさり断られて酷く落胆したのである、だが彼は諦めなかった、ボスが軍を離反した際王族の身分を捨ててボスを追っかけてついには革命軍に入り込み工兵チームの一員になったのである。

 

 

 

「ラバ、どうしたの?」

 

 

そう質問したがその答えはわかりきっていた、間違いなく原因は彼であろう。

 

 

 

「···奴だよ」

 

「ハウルだね」

 

 

ラバにとってはまさに恋仇である、平静でいられるのは無理があるだろう、それでもあまりにも表情が露骨すぎる。

 

 

「ラバ、どうするの?」

 

「···どうするって?」

 

「声かけるとか」

 

「はっきり言ってごめんだね、奴と話すことなんかない」

 

 

まぁ、確かに恋仇と話なんかしても面白いことなんてないよね、でも私はなぜ王族の身分を捨ててまでボスを追いかけたのか少し気になるけど。

 

 

「私少し話をしてくる」

 

「好きにすれば」

 

 

ラバが面白くなさそうな表情をした、少し大人げない気がするけど。

 

 

 

「あの」

 

「なんだい?」

 

 

さっそくハウルに話かけてみた、彼は爽やかに応じた、さすが元王族。

 

 

「ボス···ナジェンダさんを追いかける際に王族の身分を捨てたんですよね?」

 

「そうだよ」

 

「未練はなかったの?」

 

「なかったよ、全然」

 

 

ラバもそうだったけどこの人も恵まれた身分をためらいもなく捨てることができるんだ、それだけの魅力がボスにあるのよね、まぁ、納得だけど。

 

 

「それにしても工兵チームに属していて不満とかないの?」

 

「不満?」

 

 

王族のプライドが影響して工兵などと不満とか感じないのだろうか、工兵チームの人達には悪いけど。

 

 

「別にないよ、今の私はただのハウルだよ、王族のハウルはもうどこにもいない」

 

「そうだね」

 

 

···そうだね、覚悟を決めて身分を捨てたんだから不満とか聞くのは無礼だよね。

 

 

「それに私は兵士としてやっていくほどの屈強さがないからね、私の取り柄は手先の器用さだけさ」

 

「手先が器用?」

 

 

一体どれだけ手先が器用なのだろう、少し気になるわね。

 

 

「これは見たほうが早いかな」

 

 

ハウルは作業着のポケットから人形を取り出した、それはよく見るとボスであった。

 

 

「これはボスよね?」

 

 

この人形はよくできていた、いや、まるでボスを小さくしたのかと思うほどボスに瓜二つであった。

 

 

「この人形すごくよくできてる、もしかしてこれあなたが造ったの?」

 

「そうだよ、象の危険種の牙を素材にして造ったんだよ、私の魂をこめて造ったのさ」

 

 

ハウルは誇らしげに語った、確かにこれだけの出来なら誇るのも頷ける。

 

 

「この人形何に使用するの?」

 

 

サヨは踏み込んで聞いてみた、何に使用するのかいくつか予想がある、その中で絶対外れてほしい予想があるのだ。

 

 

「主に夜の月光を浴びせて眺めているよ」

 

 

···よかった、比較的ましな使い方で、もしこの人形をペロペロしてたりなんかしてたらおぞましいなんてものじゃない、ラバならもしかしたらやるかもしれないけど。

 

 

「月光を浴びた人形はまさに幻想的だよ、それに···」

 

 

···そろそろこの話終わらせた方がいいかな、際限なく語りそうだし。

 

 

「ええと、他に聞きたいことがあるんだけど」

 

「なんだい?」

 

「王族だった頃に···皇帝に会ったことあるの?」

 

「今の皇帝、それとも先代かな?」

 

「今の皇帝だけど」

 

「会ったことあるよ、先代の皇帝にもね」

 

「そうなの?すごいわね」

 

 

私のような庶民が皇帝に会うなんて天地がひっくり返っても絶対無理、それをあっさり会ったことがあると言うなんてスケールが違う。

 

 

「聞いていいかな?」

 

「別にいいよ」

 

 

皇帝ってどんな人間なんだろう私達と全く別の人種なのかな、興味があるわ、そうサヨは思いながらハウルは語り始めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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