サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第百三十ニ話

パーティーを斬る(前編)

 

 

「今夜パーティーに来ませんか?」

 

「は?」

 

 

食事会から数日経ったこの日ラバックの口から予想もしていなかったことが出た。

 

 

「パーティーとは?」

 

「はい、今日は俺のおふくろの誕生日でパーティーを開くことになったんです」

 

「そういうことか」

 

 

いきなりパーティーに来ないかと言われて戸惑ったがこれで合点がいった。

 

 

「もしかしてお忙しいですか?」

 

「いや、今夜は特に忙しいということはない」

 

「それならぜひ来てください、おふくろもナジェンダさんに来てほしいと言っていたので」

 

「だが、私はパーティーに適した衣装は持っていないぞ」

 

「大丈夫です、衣装はちゃんと用意しますので」

 

「そこまで言うのなら行ってみようか」

 

「そうこなくっちゃ、パーティーはサテンホテルの1階のホールで開催されます、七時までに来てください」

 

「わかった、ところでハウル殿には···」

 

「別にいいでしょう、おふくろと接点なんて全然ないんだし」

 

「だが」

 

「あいつ今日象牙細工の展示会に行くって言ってましたから構いませんよ」

 

「そうか」

 

 

展示会があるのなら無理に誘うことはないな、そうナジェンダは考えハウルを誘うことを控えることにした。

 

 

うまくいった、へへ、ラバックの表情は平静だが内心ではしてやったりの満面の笑みを浮かべている。

 

 

展示会は本当だが明日なんだよな、まぁ、今日か明日、ただそれだけの違いだ、たいしたことはねぇ。

 

 

「ナジェンダさんは来てくれるだけで大丈夫です、俺が全てやっておくので」

 

「わかった」

 

 

ナジェンダは一度兵舎に戻ることにした、残りの仕事を片付けるためである、それが片付けばホテルに向かうことになるだろう。

 

 

「六時過ぎに行くことにする」

 

「わかりました、待ってます」

 

 

そうしてナジェンダはその場を去って行った、ラバックはホテルに向かうことにした、すべきことがたくさんあったからである、特にナジェンダの衣装選びは重要である。

 

 

 

 

夕方になってホテルのホールに人が集まって来た、パーティーに参加するためである、その中の一人にナジェンダの姿があった。

 

 

「ようこそ、ナジェンダさん」

 

「ああ、ところで急な話だったのでプレゼントを用意していないのだが」

 

「いいんですよ、こうして来てくれるだけで十分です」

 

「もうひとつ気がかりなことが···」

 

「衣装ですね、大丈夫です、ちゃんと用意しています」

 

「そうか、悪いな」

 

「いえいえ、さぁ、こちらへ」

 

 

ラバックはナジェンダを女子の更衣室に案内した、そこには家に仕えるメイドがナジェンダの着付けのために待機している。

 

 

「着付けはそのメイドがやってくれます、ナジェンダさんは楽にしてください」

 

「わかった」

 

 

こうしてナジェンダは更衣室に入って行った、あとが楽しみでならなかった。

 

 

「さてと」

 

ラバックはホールへ向かった、ホールの中はパーティーの準備がほぼ完了しており、招待客が談笑している。

 

 

「よぉ、ラバック」

 

「グラールの兄貴」

 

「ナジェンダさん誘えたのか?」

 

「う、うるせぇな、いいだろ、別に」

 

「お前昨日彼女を誘う練習深夜までやっただろ」

 

「べ、別になんでもねぇよ」

 

「おふくろの誕生会に誘うだけで苦労してるのにお前の誕生会ならどうなるのかな、緊張のあまり倒れるんじゃないかな」

 

「うるさい、うるさいな、余計なお世話だよ」

 

「へいへい、お、麗しの貴婦人様が登場したぞ」

 

 

グラールが指差した先にその人物がいた、ドレスコードをしたナジェンダであった、ナジェンダが着ているドレスはラバック自らが用意したものであった、そのドレスの色は漆黒で肩の部分があらわになっておりかなり胸の谷間が強調されている、動きやすいように両足の付け根までそれぞれスリットが入っている、スリットから見える太ももがかなりセクシーであった。

 

 

「····」

 

 

あまりの美しさにラバックは言葉がでなかった、まさに美の女神そのものであった。

 

「やはり似合わないか?」

 

「そ、そんなことはありません、すごく似あっています、ブラボーです、ナイスです、サイコーです!!!」

 

 

ラバックは目をこれ以上なく大きく開き鼻息をブボーと荒く吹き出している。

 

 

「そうか?ならよかった」

 

「はい、何も心配することはありません」

 

 

もし似合わないなんてぬかす野郎がいたら天に代わって俺が成敗してやる。

 

 

 

そう内心で思いつつラバックはナジェンダをエスコートした、その先にはラバックの母親がいた。

 

「あの方がラバックの母か」

 

歳は四十に達しているだろうが肌は荒れておらずむしろみずみずしさを感じる、体型も四十代とは思えないほどスリムである、顔もまさに美形である。

 

 

「はじめましてナジェンダ将軍、お越しいただきありがとうございます」

 

「いえ、こちらこそお招きいただきありがとうございます」

 

「以前から将軍にぜひお会いしたかったのです」

 

「私も貴女にお会いできて光栄です」

 

「将軍はとても美しいですね、ラバックから聞いていた以上の美貌ですわ」

 

「いえいえ、貴女のほうが美しいです」

 

 

四人の息子がいる母親とは思えない美貌である、努力を務めているのであろう。

 

 

「そんなことありませんわ」

 

二人が会話をしている最中突然ラバックが割り込んできた、ラバックは面白くなさそうな様子である。

 

 

「あら、ラバック」

 

「向こうの婦人達がおふくろを探していたよ」

 

「あら、そうなの?将軍、しばらく失礼します、後で話の続きを」

 

「はい」

 

 

ラバックの母親は婦人達のところへ赴き談笑を始めた。

 

 

「おふくろがすみませんね」

 

「いや、全然そんなことはないぞ」

 

「おふくろはナジェンダさんに会いたいと以前から言っていましたからね」

 

「そこまで希望していたとは光栄だな」

 

「面倒ですが後でまたおふくろの相手をしてください」

 

「わかった、ところでさっきからあちこちから視線を感じるのだが」

 

「客の多くがナジェンダさんに注目しているんですよ」

 

「私に、なぜだ?」

 

 

なぜって言われても彼女は嫌でも目立つのである、10代20代の令嬢はナジェンダに心底うっとりしており、30代の婦人はその美しさに嫉妬しており、男共は年齢は関係なくデレデレ眺めている、ラバックにとってはそれは不愉快であった。

 

 

「とにかく今夜のナジェンダさんは最高に綺麗なんです」

 

「このドレスが綺麗なんだろう」

 

「そうじゃなくって」

 

 

今に始まったことじゃないがこの人自分の美しさをあまり自覚してないんだよな、まぁ、自分の美しさをひけらかす女よりは全然いいが。

 

 

 

「まぁ、とにかくパーティーは始まったばかりです思いっきり楽しんでください」

 

「わかった」

 

 

その時二人からかなり離れたところからナジェンダを見つめる者がいた、その者はうかれることものぼせることもなく冷静にナジェンダを見つめているのであった。

 

 

 

 




今年最後の投稿になります、来年もよろしくお願いします。
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