サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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今年最初の投稿になります、今年もよろしくお願いします。


第百三十三話

パーティーを斬る(後編)

 

 

 

ナジェンダはその後ラバックの兄である長兄と対面し長兄はすぐさま自分と交際を申しでたがラバックは断固としてそれを阻んだ、パーティーに出されたご馳走にナジェンダは口にすることを少しためらった、多くの人々が飢えに苦しんでいるのに自分は食していいのかと思ったがラバックは彼らのことを思うのであれば食べて力をつけるべきだと励ましたのである、ナジェンダは思い直しご馳走を食べることにした、彼女の食べっぷりはそれはすさまじいものであった、特にお酒はさらにすさまじいものであった、たくましい男達と酒の飲み比べをして男達全員酔い潰れさせてしまったのであった。

 

 

 

「ふぅ、さすがに酔ってしまった、夜風に当たって涼んでくる」

 

「でしたらホテルの庭がベストです、色々な木や花がありますから」

 

「そうか、では行ってくる」

 

「お気をつけて」

 

 

ナジェンダはラバックに告げると庭へ赴いた、庭にはラバックの言った通り大きな木や美しい花が咲いて素晴らしい景観である。

 

 

「夜風が気持ちいいな」

 

 

酒に酔ってほてった体に夜風は心地良いものであった、だが心の方は完全に心地良いとはいかなかった。

 

 

「私はどうしたら良いのかな」

 

 

ナジェンダはこの前の賊の討伐のことを考えていた、帝国の重税によって飢えて仕方なく賊になってしまう者達がいる、しかもこれからもさらに増える可能性があるのだ、もちろんそんなことは断固として阻止したい、だがそれは帝国首脳に背くことにつながってしまう、いかなる理由があろうとも帝国に背くのは今までの自分の人生を否定することになる、それに自分の行動によっては部下たちにも悪影響を及ぼすだろう、彼らにも生活があり家族がいるのだ、軽率なマネはできないのだ。

 

 

「手柄を立てて出世して発言力を強めるしかないか」

 

 

今よりも高い地位に就けば発言力も増し首脳に意見を言うことができるかもしれない、だがそうなるにはどれだけの月日がかかるだろうか、その間に多くの人が苦しみ死んでいくだろう、それに発言したところで首脳が耳を貸してくれるかはかなり微妙である。

 

 

「だが他に方法が···」

 

 

ナジェンダは人の気配を察して後ろを振り向いた、そこには礼服を着た男が立っていた、だがその男は何か普通でない雰囲気を感じた。

 

 

「お前何者だ?」

 

「何者とは?」

 

「礼服を着てはいるがお前からは普通の人間ではない雰囲気を感じるのだ」

 

 

この男からは一般人とは違う気配を感じるのだ、そう、一言で言えば裏の世界の人間の気配なのである。

 

 

「さすがナジェンダ将軍、よく見抜きました」

 

「もしかして私を狙う刺客か?」

 

 

これまでの戦で多くの敵兵を殺し、部下たちに殺させてきた、敵国にとっては自分は憎い存在だろう。

 

 

「いえ、そうではありません、自分は革命軍の者です」

 

「革命軍!?」

 

 

革命軍、帝国では反乱軍と称されている反帝国組織である、はるか南方の領土の太守だったプライムが決起し一度は壊滅状態になったがこの数年で飛躍的に力を蓄えてきているのである、帝国主脳も無視できない存在になりつつあるのである。

 

 

「その革命軍の者が私に何の用だ?私に入れとでも言うのか?」

 

「いえ、そのようなことは申しません、ただ一つ将軍にお伺いしたいことがあります」

 

「何だ?」

 

「将軍は今の帝国をどう思いますか?」

 

その瞬間ナジェンダは少なからぬ動揺した、今の帝国は重税を課し多くの人々を苦しめている、はっきり言ってこのままでいいわけがない、だが決して口外するわけにはいかないのだ。

 

 

「語らなくてけっこうです、今の将軍の反応で察しましたから」

 

「お前に何がわかる!」

 

「それではこの辺で失礼します」

 

「何を勝手な!」

 

「今日のことは記憶の片隅に置いてください」

 

男は頭を下げるとササーと立ち去って行った、ナジェンダの意向を無視して、ナジェンダ一人がぽつんとその場に残され静寂さだけが残った。

 

 

「何なんだ一体···」

 

 

ナジェンダはぶ然としていたが革命軍を名乗った男を完全に拒絶もしなかった、革命軍は帝国を打倒して新しい国家を作ろうとしている組織である、ナジェンダも今の帝国に民に平穏を与えられるかははっきり言って疑念を持っている、民を苦しめるだけの国は幕引きしたほうが良いのではないかと頭をよぎったこともある、だが自分は革命軍に入るわけにはいかない、自分には自分を信頼してくれる部下がいる、もし自分が帝国を離反したら部下が責任を問われるかもしれない、自分は帝国の将軍であり、その責任を果たす義務があるのだ、革命軍に入らなくても民を救う術はきっとあるはずである、ナジェンダは自分に言い聞かせたのであった。

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