プロポーズを斬る
ナジェンダが大隊長達と話をしてから数日後革命軍のメッセンジャーの女が再びナジェンダの前に現れた、ナジェンダは女に帝国を離反すると告げると女は革命軍の拠点へ到着するまでのいきさつを説明した、ファーム山に到着したらそこにたむろしている山賊と合流するよう指示された、実はその山賊は革命軍の部隊で私腹を肥やす役人しか襲わなかったのである、合流したあとは速やかに拠点へ進むようにと告げた、ナジェンダは了解すると女は鳥に変化して飛び去って行ったのである。
「あとはその日まで怪しまれないとな」
ナジェンダは日々を今まで通り過ごした、訓練をし、実務をし、特に注意をしたのはエスデスと会った時であった、エスデスは勘が鋭く下手な対応をしたら勘付かれる恐れがあるのである、ナジェンダはできるだけ意識をせずエスデスと対応した、幸いエスデスは勘付かなかったようである、この時はそう思った。
「明日がファーム山出陣だな」
離反を悟られないように注意をしてここまできた、明日には帝国を離反して革命軍に入る、そして民達のために帝国と戦うことになる、今まで所属してきた帝国と敵対することに全く思うことはないと言ったら嘘になる、だが今の帝国では多くの民が苦しむことになるのだ、誰かが帝国を終わらせなければならないのである。
「さて、自室に戻るか」
ナジェンダが自室に行こうとしたその時ナジェンダに声をかける者が現れた。
「ナジェンダさん」
その声に聞き覚えがあった、ナジェンダもよく知っている人物である。
「ハウル殿」
以前帝都で知り合っていろいろ交流した王族の男性である。
「あなたに大事な話があります」
「話ですか」
ものすごく緊張しているが今言わなければ絶対後悔するような気が朝からしていたのである。
「ナジェンダさん、貴女は美しい、将軍をやめて私の妻になって頂きたい」
ハウルは全身の勇気を振り絞って告白した、あとは前進あるのみである。
「申し訳ありませんが受ける訳にはいきません」
「何故です!?私は王族、一生安泰なのですよ!?」
「私にはやらなくてはならないことがあるのです」
ハウルはナジェンダのこの答えを予想していなかったわけではない、だがあっさり諦めるわけにはいかない。
「苦しんでいる人々を助けるためですね」
「はい」
「ならば私と結婚したらあなたも王族の一員になれます、そうすれば多くの人を救うことも可能です、将軍の職も辞めなくてもかまいません」
「いえ、それではだめなのです、うまく言えませんがそれでは根本的な解決にはならないのです」
「どうしても受けてもらえませんか?」
「本当に申し訳ありません」
「・・・そんなに私は魅力がありませんか?」
「いえ、そんなことは決してありません、あなたは王族の身分であることに一切驕らず、親しく接してくれましたあなたは素晴らしい人です、だからこそ受けるわけにはいかないのです」
そう、私は彼のプロポーズを受けてはならないのだ明日になったら私は帝国を離反して帝国にとって私は裏切り者になる、彼を巻き込むわけにはいかない。
「こんな私にプロポーズをしてくださってありがとうございます、あなたには私なんかよりも素晴らしい女性の出会いがあります、これにて失礼します」
「・・・ナジェンダさん」
ハウルはガックリと地面に膝をついて悲しみの涙を流した、ハウルはこうなることを予想していなかったわけではない、男として告白せずにはいられなかった、ハウルはナジェンダに男として認められプロポーズを受けると信じたかったのである、それが儚き夢であっても。