サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第百四十三話

離反を斬る(前編)

 

 

 

ナジェンダは命令を受けファーム山にたむろしている山賊の討伐を行うため出陣した、あくまで表向きである、実際は帝国から離反するために帝都から離れるのが目的である、ファーム山に到着するとナジェンダは部隊の兵に帝国を離反し革命軍に加わると告げた、ナジェンダは離反しなくても構わないと告げたが誰一人帝国に戻る選択はしなかった、ナジェンダ達はファーム山にいる山賊達と合流し革命軍の本拠地に移動したのである、途中で地方軍と遭遇したが軽く一蹴して進軍したのである。

 

 

 

「隊長、順調ですね」

 

「ああ、今のところはな」

 

「再び地方軍と遭遇しても問題ありませんな」

 

「地方軍はそれほど脅威ではない、最も警戒しなければならないのは・・・」

 

「エスデス隊ですな」

 

「そのとうりだ」

 

 

エスデス隊、帝国最強の部隊と言っても過言ではない、その部隊と遭遇するかで天国と地獄かが決まるのである。

 

 

「同時期にエスデス隊が北方への出陣が行われたのは幸運でした」

 

「ああ、全くそのとうりだ正直助かった」

 

 

エスデスが北へ出陣したのは本当に幸運だった、もしエスデス隊と戦うことになれば我が隊は甚大な被害を被ることになるだろう。

 

 

「だがのんびりするわけにはいかない、皆急ぐぞ」

 

「はっ」

 

 

ナジェンダ達はさらに速度を速めて進軍した、見事に統率された進軍であった、しばらく何事もなく進軍していたが。

 

 

「隊長、後方から我が隊に近づく者がいます」

 

「数は?」

 

ナジェンダはすぐに隊に臨戦態勢を命じた、時間を食うわけにはいかなかったからである。

 

「それが・・・一騎です」

 

「一騎?」

 

 

一騎だけとは、偵察なのか、それでも放置はできん、今すぐ仕留めんと、そうナジェンダが考えていると次の報告が出た。

 

 

「あれは、追手ではありません、知っている顔です、ラバックです」

 

「ラバック!?」

 

 

ナジェンダは唖然とした、キョロクに行くよう命じたラバックが何故ここにいるのか考えがまとまらずにいた。

 

 

「・・・とにかく私の元へ連れてこい」

 

「はっ」

 

 

ナジェンダの命でラバックはナジェンダの元へ連れてこられた、ナジェンダは憮然としていたがラバック飄々としている。

 

 

「どういうことだ?私は確かお前にキョロクに向かうよう命じたはずだが」

 

「はい、そのとうりです、ばっくれました」

 

「・・・ばっくれたって、軍命に背いたらどうなるかわかっているのか?」

 

「ナジェンダさん達こそ何故ここにいるのです、ファーム山に出陣したはずでは?」

 

「それは・・・」

 

 

痛いところを突かれてナジェンダは返答できなかった、ナジェンダはなんとかもっともらしい返答を思案しようとしたがすかさずラバックはたたみかける。

 

 

「ナジェンダさん達帝国を離反するつもりなのでしょう」

 

 

ズバッと真実を突かれて言い訳は無意味と判断したナジェンダはついに観念した。

 

 

「ああ、そうだ、私達は帝国を離反し革命軍に合流する」

 

「やっぱり」

 

「ラバック、今からでも遅くはないキョロクへ行くんだ」

 

「それはできません」

 

「これは命令だ!」

 

 

感情的になりつつあるナジェンダとは対照的にラバックは冷静であった。

 

 

「キョロクに行っても意味ありません」

 

「どういうことだ?」

 

「俺、ここに来る前に俺がキョロクに向かう途中に賊に襲われて死亡したと記入された書類を偽造して提出したんです、今頃受理しているはずです」

 

「・・・お前、なんて馬鹿な真似を、わかっているのか、お前は死人になってしまったのだぞ、二度と家族の前に顔を見せることができないのだぞ!!」

 

「覚悟の上です」

 

ナジェンダは察した、決して中途半端な覚悟ではないと。

 

 

「バン族の乱でのエスデス隊の所業は俺も腹を立てているのです、俺達兵士は覚悟を決めて戦場で命のやり取りをしています、だけど一般人を虐殺するのは別です、あれは越えてはいけない一線を越えています、だから俺も帝国を抜けるのです」

 

 

それは決して嘘ではないあの一件で帝国に愛想を尽かしたのは間違いない、だが、他にも理由があるのである、今は語るつもりはない。

 

 

「だから俺も行きます」

 

「・・・しかし」

 

「隊長の負けですよ」

 

「レッド、何を?」

 

「ラバックの目を見ればわかります、こいつの覚悟は本物です、それに隊長言っていたではありませんか、ついてくるのであれば力を貸してほしいと」

 

「それはそうだが」

 

「どのみちラバックには戻る場所はないのです、我々と同行してもよいのでは」

 

「ジャズ、お前まで」

 

「隊長はどうしたいのです?」

 

「私?」

 

 

ナジェンダはラバックがやって来た時とても驚いた、それと同時に心の奥底で喜びを感じたのも事実であった、何故なのか自分でもわからない。

 

 

「私達と共に行けば死ぬかもしれんぞ」

 

「覚悟の上です」

 

「・・・全くお前は大バカだな」

 

「最高の褒め言葉です」

 

「わかった、もはや何も言わない、お前の好きにしろ」

 

「ありがとうございます」

 

 

その瞬間、後ろにいたトレイルがラバックの背中を張り手でバンと叩いた、トレイルは無言で笑顔で親指を立ててグッドのポーズをした。

 

 

「こんな時でも無言か、まぁ、トレイルさんらしいけど」

 

「では隊長、行きましょう」

 

「ああ、全軍全速前進するぞ」

 

 

ナジェンダの号令で部隊は全速前進した、ここはまだ安全とは言い難い、追手は必ずくるであろう、だが最も恐れるべき敵ははるか北方にいる、だから今回は大丈夫だと確信していた、ナジェンダは決して油断していたわけではない、だが彼女がどれだけ脅威の存在か認識不足だったとナジェンダは後に痛感することになるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

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