サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第百四十六話

後悔を斬る(中編)

 

 

 

屋敷に招かれたタツミとギアはアリアの付き人として働くことになった、その翌日2人はアリアとガウリ達と共に街に赴くことになった、目的はアリアの買い物である。

 

 

 

「買った商品持ってきました」

 

「ああ、馬車の上に積んでおけ」

 

「はい」

 

 

タツミとギアは指示通り馬車の上に積み上げた、すでに山積みになっている。

 

 

「すごい量ですね」

 

これだけの買い物ができるなんてやっぱりすごい金持ちなんだなとタツミは思った。

 

 

「ああ、お嬢様の友人の誕生日のプレゼントだからな、気合入れているんだよ」

 

「そうですか」

 

 

いったいどんな人なんだろう、一目見てみたいなとタツミが思っているとギアが話かけてきた。

 

 

「お前、もしかしてその友人に会ってみたいと思ってないか?」

 

「う、うん、そうだけど」

 

「やめておけ、その友人が俺達を歓迎してくれるとは限らん、余計なことはしない方がいい」

 

「そうかな」

 

「とにかく俺達は付き人の仕事に専念していればいいんだ」

 

「そうだね」

 

 

確かに俺達を快く迎えてくれるかはわからない、余計なことはしない方がいいだろう、タツミは切り替えて仕事に専念した。

 

 

買い物を終えるとアリア達は友人の屋敷へ向かった、荷物が多くて馬車の速度はかなり落ちていた。

 

 

「着いたわ」

 

 

少々時間はかかったが友人の屋敷に到着した、タツミ達は誕生日プレゼントを屋敷の玄関まで運んだ、プレゼントを運び終えると屋敷の玄関が開いて屋敷の使用人達が現れプレゼントを屋敷の中へ運び始めた。

 

 

「お嬢様、晩頃にお迎えに来ます」

 

「うん」

 

アリアはそのまま屋敷の中に入って行きタツミ達とガウリが玄関の前に残された。こ

 

 

「お前達、行くぞ」

 

「えっ?」

 

 

タツミはポカンとした、もしかしたら自分もパーティーに呼んでくれるかもしれないと少しは期待したのである。

 

 

「俺達の仕事はひとまず終わった、次の仕事は晩にお嬢様を迎えに行くことだ、それまで自由時間とする」

 

 

タツミは今ひとつ釈然としなかった、少し位パーティーに参加してもいいんじゃないのかなと思ったのである。

 

「おい、タツミ、行こうぜ」

 

「う、うん」

 

タツミとギアは屋敷から立ち去って買い物をした街に戻ってきたのである。

 

 

「パーティー、出たかったな」

 

「バカ言え、俺達が出れるわけないだろ」

 

「やっぱり?」

 

やっぱり、無理か、ワンチャンいけるかもと思ったんだけど

 

「当たり前だろ、無関係な俺達が入れるわけないだろ」

 

「でもアリアお嬢様達は」

 

あの人は快く迎えてくれた、ひょっとしたらと思ったんだよな。

 

 

「あの人達が特別なんだよ、他の連中も同じなわけねぇだろ」

 

「確かに」

 

 

確かに親切にしてくれたのはあの人達だけだった、他のひとははっきり言って冷たかった。

 

 

「とにかく俺達は俺達なりに楽しもうぜ、ガウリから昼メシ代もらったんだから」

 

「そうだね」

 

 

二人は飲食店を探した、高そうな店を避けてできるだけ安い店でガッツリ食うことにした。

 

 

「満腹、満腹」

 

「ああ、安い店にしては美味かったな」

 

 

二人はご満悦で歩いていると壁に貼られている一枚のポスターに目が行った。

 

 

 

「あれは?」

 

ポスターに描かれていたのは女性だった、それもかなりの美人である。

 

 

「ああ、あれはエスデス将軍だよ」

 

「エスデス将軍?」

 

 

タツミはその名前に聞き覚えがあった、旅の途中でちらほら聞いたのである。

 

 

「確か帝国の将軍で数々の手柄を立てているとか」

 

「ああ、今の将軍で最も活躍しているそうだぜ」

 

「へぇ」

 

 

この人の元なら手柄を立てる機会も多そうだな、でも・・・

 

 

「おい、タツミ、もしかしてお前、エスデス将軍の部下になりたいと思ってないか?」

 

「そ、それは」

 

「やめておけ、将軍の部隊の訓練は過酷極まりないそうだぜ、死人が出るのも珍しくないそうだ」

 

「そうなの?」

 

「帝国最強の部隊は生半可じゃないってことだ」

 

「そのつもりはないよ」

 

「そうなのか?以外だな」

 

 

てっきり手っ取り早く出世するために売り込むと思ったのだが。

 

 

 

「この人は美人で強そうだ、でも、なんか冷たい感じがするんだよ」

 

「氷の女王と呼ばれてるんだ、そうかもしれん」

 

「まぁ、どのみちこの人と会うことはないと思うよ」

 

「ああ、そのとおりだ、それにお前旦那様から軍のお偉方に紹介してもらえるんだろう?」

 

「うん、そうだった」

 

 

昨夜軍の偉い人に紹介してくれることになったんだ、余計なことをしてふいにしたくない。

 

 

「腹ごなしにそこら辺歩こうぜ」

 

「うん」

 

 

適当にブラブラ歩いているとタツミは壁に貼られていた紙が気になり立ち止まった。こ

 

 

 

「これは?」

 

「手配書だな」

 

「手配書?」

 

「ナイトレイドのだよ」

 

「ナイトレイド?」

 

 

ナイトレイド、半年前に突如現れ主に帝都の重役や富裕層を狙っている殺し屋集団である。

 

 

「へぇ、そんな連中もいるのか」

 

「そうだ」

 

「ええと、この髪の長い女は・・・アカメ?」

 

 

このアカメって奴、俺とほとんど歳変わらないんじゃないのか、なんで殺し屋やってんだ?

 

 

「他にはブラード」

 

 

このブラードって奴かなり強そうだな、手配書を見ただけで強さを感じる。

 

 

「他にはシェーレか」

 

 

このシェーレ、一目見た感じでは優しそうな女性にしか見えないな、とても殺し屋には見えない。

 

 

「後はナジェンダか」

 

 

ナジェンダ、手配書によると元将軍でナイトレイドのリーダーだ、歳は30半ばかな、それにしてもなんで将軍まで出世したのに殺し屋なんかになったんだ、もったいないな。

 

 

 

「物騒だな、絶対関わりたくねぇな」

 

「そうだね」

 

確かに殺し屋集団と関わるのは危険だな、普通ならそうする、でも・・・

 

 

「すごい額の賞金だな」

 

 

帝都を震え上がらせているだけあってものすごい額である、これだけあれば簡単に村を豊かにできる。

 

 

「まさかお前こいつらの賞金狙っているんじゃねぇだろうな、やめとけ、命がいくつあっても足りないぞ」

 

「でも運よく仕留められたら一攫千金だよ」

 

「甘いぞ、簡単に仕留められるのなら手配書なんてねぇだろ」

 

「確かに」

 

 

一攫千金なんてやっぱりそうないか、諦めるしかないな。

 

 

「にしても・・・」

 

「どうした?」

 

「殺し屋って金で人殺しをする連中なんだよな」

 

「そうだ」

 

「ひどいことをする連中だなあ」

 

 

人殺しをしてまで金が欲しいのかな、確かに金は大事だけどな。

 

 

「・・・」

 

「どうしたのギアさん、あ然として」

 

「・・・なぁ、タツミ、お前、兵士になって手柄を立てて出世するために帝都へ来たんだろう?」

 

「そうだよ」

 

「手柄を立てるってことは敵兵を殺すってことじゃないのか?」

 

「えっ!?」

 

 

出世することしか考えなかったけど、確かに手柄を立てるってことは敵兵を殺すってことなんだ。

 

 

「殺し屋なんかとは違うよ、殺すにしても戦場で・・・」

 

「戦場でならいいのか?」

 

「それは・・・」

 

 

確かに考えてみれば兵士になって戦場で敵兵を殺すことは人殺しだ、出世とはそれの積み重ねだ。

 

 

「俺には殺し屋の殺しと兵士の殺しの違いがいまいちわかんないだよな、まぁあえて言うなら犯罪になるかならないかだな」

 

「・・・」

 

 

タツミは何も言う事ができなかった、改めて考えると兵士の仕事は人殺しなのである、その事実にタツミは自分が浅はかだったと自覚した。

 

 

「タツミ、余計なことを言った、兵士になろうとしているお前に言うべきことじゃなかった」

 

「いや、今気づけてよかったよ、もし戦場で敵兵を殺そうとした時にためらいを感じたら命取りになったかもしれない、俺は兵士として多くの人を殺すことになったとしても出世して村を救いたいんだ、村を救えるのならこの手を血でいくらでも汚れてもかまわない」

 

 

「お前がそう決心したのなら俺は何も言わねぇ、ただ後悔が残る生き方はするなよ」

 

「もちろんだ」

 

「昨日会ったばかりの俺が偉そうなことを言っちまったな」

 

「いや、おかげで覚悟ができたよ」

 

「そうか?でもまずは入隊しないとな」

 

「そりゃそうだ」

 

 

紹介しようと言ってくれたが軍のお偉方が否と言ったらそこまでである、採用に値すると思わせなければならない、そのためには俺の実力を示す必要がある、見る目があれば採用してくれる自信はある、そのためには万全の状態にしておかないと。

 

 

「俺、晩まで走り込みしてくるよ」

 

「急にどうした?」

 

「お偉方の人に会うまで力を高めておかないと」

 

「そうか、がんばりな」

 

「うん」

 

 

俺は今よりもっと強くなる、サヨとイエヤスに再会した時ビックリさせてやるんだ、俺こんなに強くなったぞと。

 

 

 

 

 

 

 

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