サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第百五十話

末路を斬る(後編)

 

 

「・・・ん」

 

タツミは目を覚ました、酔って寝てしまったんだなと思ったその瞬間、ここは大広間ではないと気づいた、どんよりと薄暗く殺風景なところであった。

 

 

「・・・倉庫か?」

 

 

なぜ倉庫なんかにいるんだと思った、だが自分自身を見てみるとそれどころではなくなったのである。

 

 

「な、なんで俺裸なんだ!?」

 

タツミは激しく動揺した、俺、酔って全裸になってしまったのか!?もしそうだとしたらとんでもないことをしてしまった、だがタツミは自分に起きた異変はそれだけではないことに気づいた。

 

 

「お、俺、磔にされている!?」

 

 

タツミは自分自身が十字型の台に磔にされていることに気がついた、あまりの異変が続いたためすぐには気がつかなかったのである。

 

 

「な、なんだこれ、冗談にしてはシャレにならない・・・」

 

 

タツミは辺りを見回した、するとそこには想像もしなかったものがあったのである。

 

 

「・・・な、なんだよコレ!!?」

 

 

 

タツミが見たのは大勢の人であった、だが、その人は変わり果てた姿をしていたのであった、ある者は目をくり抜かれており、目の代わりに危険種の角が埋め込まれている、ある者は両手両足を切り落とされ手の部分に足を、足の部分に手を繋げられているのである、ある者は腹部をくり抜かれ代わりに危険種の頭を埋めこまれている、他の人達も変わり果てた姿になっていた。

 

 

「こ、こんな・・・」

 

 

こんなひどいことを誰が・・・お嬢様、旦那様が・・・いや、ここが屋敷の敷地内とは限らない、別の場所に運ばれたってことも、お嬢様がこんなことをするわけがない。

 

 

タツミは辺りを見回して見ると見慣れた人影が見えた、それは台に乗せられ縛られたギアであった。

 

 

「ギアさん!!」

 

「・・・う、こ、ここは?」

 

「よかった、生きてた」

 

「タツミか・・・な、なんだこりゃ!!」

 

目を覚ましたギアは周りを見て驚愕した、タツミと全く同じ反応をしたのであった。

 

 

「タツミ、どうなってるんだ!?」

 

「俺にもわからない、今目が覚めたとこだから」

 

「そうか、だがはっきりしたことがある、俺達はあの一家にはめられたんだ」

 

「はめられた!?お嬢様が俺達をまさか!?」

 

「いや、間違いない、周りの死体は今まで屋敷に招かれた地方からやってきた奴らだ」

 

「そ、そんな、そんなことが・・・」

 

「信じたくない気持ちはわかる、だが、この光景を見たらそう判断するしかねぇ」

 

 

妙だとは思っていた、親切心で得体の知れない者をもてなしてくれるなんて虫のいい話だなと思っていたがまさかこんな裏があったとは・・・

 

 

「とにかく一刻も早く逃げないと、動けるか?」

 

「だめだ、全く動けない」

 

 

タツミの手足は鋼鉄製の枷で繋がれていて外すのはほぼ不可能であった、それでもタツミは外すそうと足掻くがビクともしない。

 

 

「くそっ、外れろ」

 

「何をやっても無駄よ」

 

 

タツミは声がした方へ振り向いた、そこにはアリアとガウリと衛兵数人がいた。

 

 

「なんだよこれは!?」

 

怒鳴らずにはいられなかった、いい人だと思っていたアリア一家がとんでもない極悪人であったということをタツミは信じたくなかったのである。

 

 

「これは私が創ったオブジェよ」

 

「オブジェ!?」

 

 

この女は何を言っているんだ、大勢の人を殺しておいて笑顔でオブジェなどとほざくなんてイカれている。

 

 

「ふざけるな!こんなのただの拷問じゃねぇか!!」

 

「拷問?やぁね、拷問なんて言い方古いわよこれは芸術、アートなんだから」

 

 

芸術?アート?何を言っているんだこの女、こんなイカれた人間をいい人だと信じてしまった俺はなんてマヌケだったんだ。

 

 

「こんなことをしてただで済むと思っているのか!?」

 

「もちろんただじゃないわよ、帝都の偉い人に根回ししているから」

 

「根回し!?」

 

「言ったでしょう、私のパパは軍の偉い人と友達だって、その偉い人はオネスト大臣の直属の部下だから簡単になかったことにできるのよ」

 

「そ、そんな」

 

 

国を司る人間がこんな悪行をみて見ぬふりしているなんて、腐敗していると聞いていたがここまでとは・・・

 

 

「だから何も心配せずに趣味に没頭できるのよ」

 

 

アリアは指をパチンと鳴らした、その瞬間ガウリは剣を抜いてギアの元へ歩みだした。

 

 

「な、何をする気だ!?」

 

「すぐにわかるわ」

 

 

タツミは嫌な予感しかしなかった、なんとかしたいが動くことができない、そうしているうちにガウリは拘束されているギアの元へたどり着いた、そしてガウリは剣を大きく振りかぶった。

 

 

「や、やめろ!!」

 

ガウリはタツミの静止の声を無視してギアの右足を両断した。

 

 

「ぎゃあああ!!!」

 

 

大量の血しぶきが飛び散りギアの苦痛の悲鳴が鳴り響いた、ガウリは苦悩の表情で再び剣を振りかざした。

 

 

「やめろ、やめてくれ、なんでこんなひどいことできるんだ!?」

 

「・・・俺は兵士だ、兵士は上の指示には絶対だ、お前も兵士を目指しているのならこの意味わかるな」

 

「で、でもこれはあんまり・・・」

 

「甘ったれたことをぬかすな、兵士に殺す相手を選ぶことなどできんのだ」

 

 

 

タツミは何も言い返せなかった、村を旅立つ前に兵士になるならどんな命令にも従わなければならないと忠告されていたからである、あの時はそれほど重く感じていなかったが今は心から痛感していた。

 

 

 

タツミが呆然としている間にガウリはギアの残った足を切り落とした。

 

 

「ぎゃあああ!!!」

 

 

タツミは目の前の惨状を目の当たりにして心から後悔していた、ギアはこの屋敷はおかしいと疑い逃走しようと言ったのに軽々しくアリア達を信じて逃げる機会をドブに捨ててしまい、今に至ってしまったのである。

 

 

「・・・ギアさん、ごめんよ、俺がバカだった、俺が考えなしに信じてしまってこんなことに、本当にごめん」

 

 

大粒の涙を流すタツミの元へ邪悪な笑みを浮かべたアリアが近づいてきた。

 

 

 

「他人なんか気にしてる場合じゃないわよ、次はあなたの番だから」

 

「なっ!?」

 

 

タツミはアリアがナイフを手にしているのを見て驚愕した、これから何をされるのか明らかであったから。

 

 

「じゃあ始めるわね」

 

 

ザグ!!

 

 

アリアは手に持ったナイフでタツミの左耳を切りつけた、そしてそのままタツミの耳を切りつけていく。

 

 

ザグザグ

 

「ああああ!!」

 

 

激痛が次々とタツミを襲っていく、タツミにそれを防ぐすべはない。

 

 

「いい悲鳴ね」

 

 

アリアは満面の笑みでタツミの耳を切っていく、そしてついに左耳は完全に切り落とされたのであった。

 

 

ボトッ

 

 

タツミの左耳は完全に切り落とされて床に落ちた、左耳があったところから血があふれ無惨そのものであった。

 

 

「うううう」

 

「ねぇタツミ、命乞いしてみたら、万が一私の気が変わるかもしれないわよ」

 

 

もちろんアリアにそんな気は全くなかった、せっかくの楽しいひと時を終わりにするなんてありえないのである。

 

 

「・・・誰がそんなマネするかてめぇみたいなゲスにそんなみっともないマネするかよ」

 

「へぇ、イナカモノにしてはたいした威勢じゃない、でもこのことを知っても威勢を張ることができるかしら」

 

「な、何を?」

 

「あなたが探していた友人のサヨとイエヤス、今私の屋敷にいるわよ」

 

「な、何だって!!?」

 

 

サヨとイエヤスが屋敷にいる?そんな都合のいいことが。

 

 

「あなたが眠っている間に街であの二人を見つけて屋敷に連れてきたのよ」

 

「う、嘘だ!!」

 

「嘘じゃないわよ、サヨって黒い長髪でミニスカート風の着物を着ているわね」

 

「本当なのか・・・」

 

 

サヨとイエヤスの似顔絵は渡したが着ている服までは教えてない、そこまではっきり知っているのなら二人が屋敷に来ているのはでまかせじゃない。

 

 

「サヨってイナカモノにしては賢いわね、あっさりついてこなかったし、あなたを探してあげると言うとようやくついてきたのよ」

 

「そんな・・・」

 

「手間がかかった分楽しまないとね」

 

「お、お前、サヨに何をする気だ!?」

 

「そうね、とりあえずサヨの髪の毛を全部引っこ抜くことにするわ、細かい過程はまだ考えていないけど」

 

「な、なんで、そんなマネを、サヨがお前に何をした!?」

 

「したわよ、あいつはサラサラの綺麗な髪を私に見せつけたのよ」

 

「サヨがそんなマネするか、デタラメ言うな!」

 

「デタラメじゃないわよ、私はあいつの髪を見てムカついたのよ、私は癖っ毛の髪で悩んでいるのに」

 

「ふざけるな、サヨは全く悪くないだろ」

 

「良い悪いなんか関係ないわよ、私がムカついた、それだけで万死に値するわよ」

 

 

だめだ、コイツに何を言ってもムダだ、コイツは人間の姿をしたバケモノだ

 

 

「まぁサヨのことはさておいて今はあなたで楽しむわ」

 

 

アリアはナイフを置いてハサミを手にした、何をされるのか嫌な予感しかしなかった。

 

 

「じゃあ今からあなたの指を一本ずつ切り落とすわ、何本で命乞いするかしら、楽しみね」

 

 

アリアの邪悪な微笑みを見てタツミは自分の命運は尽きた、そう確信した、なんでこんなことになってしまったのだろう、決まっている、あの時ギアの提案を拒否してしまった時にこうなることは決まっていたんだ、つくづく自分はバカだったと後悔する、帝都に向かう途中で出会った人から帝都にはバケモンがいるという忠告をもっと真剣に聞くべきだった、心残りしかないがせめてサヨとイエヤスは生き延びてほしい、心から思わずにはいられない。

 

 

サヨ、イエヤス、俺はここまでだ、村を救えなかったのは本当に心残りだ、せめてお前達だけでも生き延びてくれ、そして俺の代わりに村を救ってくれ、頼んだぞ。

 

 

「命乞いする気になった?」

 

「誰がそんなマネするかドブス」

 

「・・・その痩せ我慢どれだけ続くか見せてもらうわよ」

 

 

バズン!!

 

 

タツミの左手の人差し指が切り落とされ床に落ちた、だがタツミは一切悲鳴を上げなかった。

 

 

 

 

 




原作の方でもあと一日ナイトレイドが現れるのが遅かったらタツミはこうなっていたでしょう、原作のタツミは悪運がものすごく強かったですね
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