サヨが斬る!   作:ウィワクシア

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第百五十一話

蟠りを斬る(前編)

 

 

 

「ここまでが俺が知っている話だ」

 

「・・・」

 

「胸くそ悪い話だっただろう、無理して聞くことなかったんじゃないのか?」

 

「そんなことない、タツミの生き様知っておきたかったから」

 

「そうか、ならいい」

 

 

タツミは人を疑うことは好まなかった、それが仇となってしまった、だからこそ今の世の中をどうにかしないと。

 

 

「一つ気になったことがあるんだけど」

 

「なんだ?」

 

「あんた、何で足を切り落とされたのに生きてたんだ?」

 

「ちょっとイエヤス」

 

「そう思うのは無理ないな」

 

 

ギアは説明した、両足を切り落とされた後傷口を灼けた鉄棒で焼かれて傷口をふさいだのであった。

 

 

「マジか!?」

 

「ああ、大マジだ、その後しばらく気を失っていたがな」

 

「何でそんなマネを?」

 

「おそらく足を失った俺を見せ物にして楽しむつもりだったんだろう」

 

「なんてひどい」

 

 

アリアが外道なのは今更だけど改めて彼女が狂った外道だと認識させられる。

 

 

「タツミのことは今でも後悔している、あの時タツミをもっと強く説得していればと思わずにはいられん」

 

「いいえ、あの事態は誰でも避けることはできなかったと思うわ、私達はたまたま運よく回避できたのだから」

 

 

 

そう、あの時はアカメ達ナイトレイドがあの夜に現れたのだから助かったのだから、普通ならタツミと同じ運命になっていたはず。

 

 

「私達はタツミの分まで村へ仕送りをする、それがタツミへの手向けになるわ」

 

「そうだな、あいつは絶対村を救ってみせると言っていた、村への仕送りがあいつの供養になる」

 

「だからこそ今回の任務は確実にこなさないと」

 

 

今回の任務をこなして報酬をもらって村へ仕送りする、それがタツミへのなりよりの供養となる。

 

 

「ところで今回の標的は誰なのかな」

 

「さぁ?」

 

「確かあいつらが戻ってきたら・・・ああ、ちょうどあいつらが戻ってきた」

 

 

ギアが指を指した方向に二人の人間がいた、一人はサヨ達が知っている人物である。

 

 

「ミラージェン」

 

「しばらくね」

 

「あなたも参加していたの?」

 

「まぁね」

 

「もしかして情報収集?」

 

「そうよ」

 

「やはりね、ところでその人は?」

 

 

その人はショートカットの女性で勇ましい感じの女性であった、彼女とは初対面であった。

 

 

「彼女の名はマシロ、私と共に情報収集を行っていたの」

 

「そうなんだ」

 

 

彼女はいかにもできる女性のように見える、でも気のせいか私をじっと見つめているような。

 

 

「早速報告するわ、西の異民族からの情報はかなり穴だらけだったわ」

 

「それってどういうこと?」

 

「早い話彼らの情報は全く当てにならないってことよ」

 

「えっ!?まさか西の異民族が偽の情報を送ったということ?」

 

 

偽の情報を送るなんて・・・西の異民族、私達を貶めるつもりなの?

 

 

「いいえ、彼らは偽の情報を送っていないわ、真面目に調査して的外れの情報を得たのよ」

 

「それって能力が駄目なだけで私達を裏切ったわけではないってこと?」

 

「・・・それはそれで問題だけど」

 

 

確かに真面目に調査して的外れな情報を送ってくるのは大問題ね。

 

 

「全く、奴らは自分達は優秀だと思い込んでいる、そういう無能は本当にたちが悪い」

 

 

西の異民族って思ってたより頼りにならないのかな、このまま組んでて大丈夫なのかな?

 

 

「まあまあマシロ、彼らにも存在意義はあるんだから」

 

「そうだな、奴らには捨て駒の役割を全うしてくれば十分だな」

 

 

どうやら革命軍は西の異民族を同志と認識しているわけではないのね、利用できれば良しなのよね、それは向こうも同じか。

 

 

「とにかくこれが正確な情報よ」

 

 

ミラージェンは調査した資料を皆に見せた、西の異民族の資料と比べると明らかに異民族の資料はずさんであった。

 

 

「これを元に作戦を練るわよ」

 

 

サヨは気になっていた、ミラージェンが調査した資料ではなくある視線が気になっていた、誰からの視線なのかはうすうす気づいている。

 

 

「さっきから私のことを見つめているよね?」

 

その視線は調査に赴いていたもう一人の人物マシロであった。

 

「そうか?」

 

「そうよ、私に何か用なの?」

 

「別にお前に用はない」

 

「じゃあ何で私を見つめてるの?」

 

「・・・強いて言えばお前がアカメと縁が深いからだな」

 

「アカメ?あなたアカメとどういう関係だったの?」

 

「はっきり言えば私はアカメをこの手で殺したかったのだ」

 

 

アカメを殺したかった!?いったいどういうこと?もしかして・・・

 

 

 

「おい、何でアカメを殺そうとするんだよ、同じ革命軍の仲間だろ」

 

 

イエヤスの言葉にマシロは怒りをあらわにして反論した。

 

 

「仲間、馬鹿を言え、奴はもともと帝国の暗殺部隊だった奴だぞ、私は奴を仲間と思ったことはない」

 

「確かにアカメは暗殺部隊だったがそれは帝国に利用されていただけだ、あいつは平和な世界を心から願っていたンだ」

 

 

「それがどうした、どんな理由があろうと奴は大勢の人間を殺してきた、それは紛れもない事実だ」

 

 

イエヤスは反論できなかった、いくら利用されていたとはいえ非のない人間を殺してしまった、それは決して許されることではないとアカメ本人から聞かされたことである。

 

 

「けどよ・・・」

 

 

けどよ、アカメは償うために革命軍に入ったんだ、そのことまで否定されたらアカメが浮かばれない。

 

 

「もしかしてあなたの親しい人がアカメに殺されたの?」

 

 

サヨに確信はなかった、だがそれ以外にアカメを憎む理由がないのである。

 

 

「そうだ、奴は私の恋人を殺した」

 

 

やっぱりそうだった、でなければここまでアカメを憎む理由がない。

 

 

「だとしてもアカメを憎むのは筋違いだろ」

 

 

アカメも好き好んで殺したわけではない、平和のために仕方なく殺したんだから。

 

 

「筋違いなものか、コウガはアカメを仲間にならないかと誘ったのだ、それを奴は拒否してコウガを殺したのだ、奴はその後図々しく革命軍に入ったのだ、虫がいいにもほどがあるぞ」

 

 

サヨは何も言えなかった、マシロにとってはアカメは自分勝手な人間にしか見えないだろう、どんな理由があろうとも。

 

 

「アカメを許してとは言わない、アカメもそれを望んでいないから」

 

生前アカメは言っていた、いつか自分は殺した人間の関係者から命を狙われるかもしれないとそれは当然の報いだと。

 

 

「お前に言われずとも私は許すつもりはない」

 

 

二人の言い合いにミラージェンは割って入って止めようとした。

 

 

「マシロ、いい加減にしなよ、今は任務の遂行が優先だよ、これ以上邪魔をするなら」

 

「・・・わかった、これ以上何も語らん、もうアカメは死んでいるのだからな」

 

 

ミラージェンの仲裁で一応一段落した、だが後味の悪さは完全に拭えきることはなかった。

 

 

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