蟠りを斬る(後編)
「到着したな」
アカメはエヴァからの命令で帝都からはるかに南の地域に赴いていた、本来アカメは帝都担当であるがエヴァの直々の命令で赴いたのである、だがこの任務には釈然としないところがあった、それは標的がはっきりしていないということである、命令書には行けばわかるということだがやはり奇妙だとアカメは思った。
「誰もいないな」
ここは人里離れた山奥である、こんなところに人がやってくるのだろうか、そうアカメは思ったが命令である以上任務に務めなくてはならない、そう思った瞬間、アカメは殺気を感じた。
「殺気」
アカメは殺気を感じた瞬間どこからか銃声が鳴り響いた、アカメはとっさに反射的に銃撃をかわした。
「どうなっている?」
なぜ銃撃された、帝国がここに私がいることなど知るわけがない、一体何者なのだ?
アカメは一瞬で冷静さを取り戻し大木の後ろに身を隠して周囲を警戒した。
「やはりあの程度では仕留められないか」
森の奥から人の声がした、すると複数の人影が現れた、そのうちの一人にアカメは見覚えがあった。
「あれは・・・まさか?」
アカメに心当たりがあった、彼女の名はマシロ、かつて反帝国にアカメを誘おうとして逆にアカメに殺された男コウガの恋人であった女性である。
「・・・なぜ?」
なぜ彼女がここにいる、なぜ彼女が自分を殺そうとする、いや、彼女が自分を殺そうとするのは当然だろう、それだけのことをしたのだから。
「どういうつもりだ、私を殺すのは帝国を打倒した後とエヴァによって決まっただろう」
「ああ、あの時は不本意ながら同意した、だが私はそれを反故にしようと思う」
「なぜだ?」
「なぜだと?おかしなことを聞く、決っているだろう、私がお前を殺したいからだ」
アカメは何も言えなかった、許してくれなどというのは虫が良すぎる話である、それでも帝国を打倒するまではと思っていたが甘かったとアカメは思わずにはいられなかった。
「ではアカメ死んでもらうぞ」
「ま、待ってくれ」
「問答無用ですわ」
「覚悟してもらうよ」
アカメの制止を無視してミーラとロリスはアカメに斬りかかった、ためらいを感じているアカメは刀を抜かず回避に専念することにした。
アカメは二人の斬撃を紙一重でかわしている、だが二人の斬撃は思ってたよりも速く、このまま回避できるかどうかアカメは考えることになる。
速い、回避に専念すれば斬られることはないと思うが、いずれ体力が消耗していく、それに彼女も参戦したら不利は免れない、隙を見つけて全力で逃げるか、早く決断をせねばならんな。
アカメが逃げるかと思案している最中ミーラとロリスはアカメの消極的な戦いを見て逃げを選択しようとしているのではないかと察した、もちろんあっさり逃がすつもりはない。
「姉様、あいつ逃げる気だよ」
「わかってますわ、そうはさせませんわ、ロリス、あの手を使いますわ」
「わかった、姉様」
初見ならあの手を交わすのは容易じゃない、たとえアカメでも、今度こそこの手でアカメを仕留めてやる、そう二人は決意するのであった。