真相を斬る(後編)
突然現れたエヴァを見てマシロは明らかに動揺していた、なぜこいつがここに?頭を懸命に回転させたがわからなかった、ミーラとロリスもわけがわからなかった、エヴァが本部から離れたのを確認してアカメ抹殺に乗り出したのである、この場所に来るまで誰にも追跡されなかったはずである、なのに奴はここにいた、つまりエヴァはアカメがここで襲撃されることを知っていたことになる、何が何だか分からなかった。
「単刀直入に聞く、この企みはエヴァ、お前が仕組んだのだろう?」
「ああ」
双子はそれを聞いてますますわけが分からなくなった、エヴァの部屋にあった書類を盗み見をして今回の計画を立てたのである、なぜエヴァの企みという言葉が出てくるのだろうか?するとマシロは何かピンとひらめいた。
「お前、わざと二人に盗み見させたな」
妙だと思っていた、エヴァが書類を二人にあっさり盗み見されたのは腑に落ちなかった、だがアカメを殺せる千載一遇の好機には違いなかった、あえて無視することにしたのだ。
「ああ、そうだ」
エヴァの返答を聞いてミーラとロリスは驚愕した。
「そ、そんなこと・・・」
「私達がはめられたわけが・・・」
そんなわけがない、エヴァの隙を見て盗み見したはずである、エヴァにしてやられたなんて・・・
「お前らごときに私が出し抜かれるとでも思ったか、わざとお前らに見せたのだ」
二人は落胆した、エヴァを出し抜いたと思っていたのが逆にエヴァにしてやられていたのである。
「そもそもなぜこんなマネをした、お前にとってアカメは切り札だろう、私達にアカメを殺させるように仕向けるなどお前にとって不利になるのではないか?」
アカメはエスデスに対する切り札だったはず、なぜみすみすこんなマネをしたのかこいつが何を考えているのか分からん、そうマシロは疑念に思っていたがすぐにその理由が判明する。
「決まっているだろう、アカメをさらに強くするためだ中途半端な奴など必要ないからな」
「何だと!?」
「納得できないようだな、だがアカメは簡単にはくたばらないさ、こいつにはやることがあるからな」
そう、こいつには何が何でもやらなければならないことがあるのだ、だからこそこいつには利用価値があるのだ。
「ふざけるな!」
ロリスがエヴァに対して激高した、数年前と比べて自分達の腕は確実に上がっている自信があったからである。
「私達の奥の手ならアカメを仕留められる可能性は決してゼロではないですわ」
臣具の磁力を使ったあの技なら初見ならアカメを仕留められる可能性は十分あった、ミーラはそう思っている。
「確かに初見なら万が一もなくはないな、だがアカメはこうして生きているぞ」
どんな戦いでも必ず勝てる保証はない、万が一負ける可能性もあるのである。
「まあどのみちアカメが感づいた以上お開きだ、アカメもこれ以上続けるつもりはないだろう」
「当然だ」
「ではお前達さっさとここから立ち去れ」
エヴァの傍若無人さにエヴァ以外の全員は怒りを露わにした、このまま立ち去るわけにいかなかった。
「エヴァ、いくらお前が幹部だからといって度が過ぎるぞ」
「まあ、否定はせんが、そもそもアカメよお前が撒いた種だろう」
アカメにとって痛いところを突かれた、アカメは暗殺部隊時代に多くの人間を殺してきた、いつか自分も命を狙われる立場になってもおかしくないのである。
「・・・確かにな、私がこの場を治める」
「どのようにだ」
「お前達、私を殺そうとしたことを咎めたりはしない、私はそれだけのことをしてきたのだ、私の命を狙うのは帝国を打倒した後にしてほしい」
「お前、そんな虫のいい話通ると思っているのか?」
帝国打倒の誘いをしたコウガを殺しておいて待ってくれだと、お前何様のつもりだ。
「それは百も承知している、お前達の私への憎しみは至極当たり前だ、だからこそエヴァの横槍が入るのは面白くないだろう、お前達の復讐はお前達だけのものだ」
マシロ達はこのままアカメを逃したくはなかった、だがエヴァの思惑に振り回されるのも癪である、マシロ達はこう決断した。
「このままお前を逃がしたくはない、だがエヴァにしてやられるのも面白くない、不本意だがお前の提案に乗ってやる、帝国打倒の時がきたら今度こそお前を殺す」
「ああ、その時がきたら私は逃げも隠れもしない」
こうしてその場にいた者達は解散して立ち去った、マシロも双子も不本意だった、だがエヴァに自分達の復讐を汚されるのはもっと不本意であった、自分達にできることはアカメを実力で確実に殺せるだけの腕を磨くことであった。