闇夜を斬る
月光のない夜、そこにとある屋敷に向かっている数人の人がいた、それはマイン、ミラージェン、チホシである。
「標的がいる屋敷はまだ?」
「もうすぐよ」
二人が仕留める標的はこの街に勤める文官兄弟である、なかなか優秀な文官で西の異民族にとっては生かしておくと面倒な者達なのである、この機に始末しようと決断したのである。
「標的は屋敷にいるのよね?」
「いるわよ、調べで今日休暇を取っているから」
「ならいいわ」
もし標的がいなければ探し回らなければならない、面倒この上ないのである、屋敷にいるのであればその分苦労は少なくなる。
「ところでなんでこいついるの?」
マインが視線を送った先には居心地悪そうにしているチホシがいた、本人が一番なんでと思っている。
「標的の休日の過ごし方知ってるでしょ」
「そりゃまぁ」
文官兄弟は夜に明かりをつけずに野外で酒を嗜む一面があった、暗殺には都合が良い、ただ。
「今夜は完全な曇りで月も星もまったくでてないのよ」
「見ればわかるわよ、それがなんでこいつを連れてきた理由になるのよ?」
「チホシの臣具の能力は完全な闇夜でも標的を見ることができるのよ」
チホシの臣具は魚の形をした生物型臣具である、臣具から放たれた赤い光を臣具から取り出した目を通して見ることで闇夜でもはっきり見ることができるのである。(赤外線スコープみたいなもの)
「必要ないわよ、パンプキンにスコープがあるし」
マインはパンプキンに付属しているスコープを取り出し装着した、自慢するかのような振る舞いをマインはした。
「まぁ、好きなやればいいわ」
ミラージェンは臣具の補助を利用することにした、性能の良いスコープなの持っていないからである。
「じゃあ、早速準備するわよ」
屋敷の方を見てみると真っ暗闇で全く見えなかった、とても狙撃など普通はできない。
「じゃあチホシ頼むわよ」
「わかった」
チホシは臣具を使って赤い光を発射した、この赤い光は人間の目では認識できない、取り出した目を通して見なければ認識することはできない。
「よく見えるわ」
主な使い方は小瓶に目を入れて覗き込むのが使いやすい方法である、目玉を直接持つのは使いづらいのである。
「マイン、準備終わった?」
「ちょっと待って」
マインはいらついていた、スコープの調子が良くないのである、このスコープには暗闇でもよく見える機能はついているがいまひとつ見えないのである。
「見えないの?スペアがあるから貸すけど」
ミラージェンは目玉が入った小瓶を取り出した、マインはそれを見てあからさまに不愉快な表情をした。
「いらないわよそんなもの」
「でもスコープ使えないんでしょ、他に方法ないよ」
「いやったらいやよ」
「ワガママ言わないで、あなたもプロのはしくれなら切り替えなさい」
その瞬間マインはカチンとした、アタシがはしくれ、バカ言わないでアタシは天才、天才マイン様よ
「根性見せなさい!!」
マインはスコープを思いっきり叩きつけた、鈍い音が周囲に鳴り響いた。
「何やってるの!?」
ミラージェンはマインを睨みつけた、手荒に扱って破損させてしまうかもしれない所業だったからである。
「バッチリ見えるわよ」
マインは何事もなかったかのように振る舞った、それを見たミラージェンは呆れるしかなかった。
「あなたねぇ・・・」
「さっさと撃つわよ」
「・・・わかった」
マインに何も言っても無駄だと悟り、文句は言わないことにした、気を取り直して銃を構えて標的に狙いを定める。
「じゃあ、3カウントで撃つわよ」
「いいわよ」
「3、2、1、0!!」
ドゥン!!
2つの銃声は重なり一つの銃声として鳴り響いた、銃撃は同時に兄弟文官の頭部に直撃して絶命した。
「任務完了ね」
それまでにいろいろあったが終わり良ければすべて良しである。
「じゃあ引き上げるわよ」
マインは鼻高々になって引き上げていく、それを見てチホシは複雑そうにしている。
「ねぇ、これでいいの?」
装備品を手荒に扱って強引に不調を直した、こんな都合のいい終わり方でいいのだろうか?
「まぁ、マインならありじゃない」
マインなら無理を押し通してでもやってのける、それがマインなのである。
「私達も引き上げるわよ」
「わかった」
チホシは今ひとつ釈然としていないがマインに常識を求めるのは無意味だと思い込むことにしたのである、こうして闇夜は過ぎて行ったのである。