名所を斬る
帝都のある広場に名所が最近造られていた、それは数メートルの氷山である、無論ただの氷山ではない、氷山の中にアカメの首が埋め込まれている、アカメは帝都最凶の殺し屋と恐れられた女である、この前警備隊員のセリューが討ち取ったのである、そのアカメの首をエスデス将軍が帝都の民に見せやすくするため氷山に組み込んだのである、アカメの首と氷山の組み合わせが絶妙な美しさを造りだしている、今ではその広場はその氷山を見るために大勢の人で賑わっていた、その中の一人に黒髪の少女がいた、彼女は他の見物人と違い絶望の表情をしている。
「ウソ・・・」
この少女の名前はクロメ、アカメの妹である。
「お姉ちゃんが死んだなんてデマだと思ってたのに・・・」
クロメはわなわな震えている、そして刀を抜き氷山に飛びかかり、氷山を切り刻んだ。
ザン!!
氷山は木っ端みじんに砕かれアカメの首が宙に浮いた、すかさずクロメは首をキャッチした。
「お前、何を!?」
氷山を警備していた兵がクロメに詰め寄る、クロメは兵を強く睨みつけた。
「ひっ!!」
兵は思わず怯んだ、クロメは兵のことなど気にせずアカメの首をじっと見つめている。
「・・・すごく、すごく、会いたかっのに、こんなのって、こんなのってあんまりだよお姉ちゃん!!」
クロメはアカメの首を抱き抱えて号泣した。
「うわあああああああ!!」
あまりの号泣にクロメの鼻が垂れてきている、大粒の涙が止まらない。
「あああああああああ!!」
周りの大衆はクロメの号泣に戸惑っている。
「うっ、うっ、うっ・・・」
しばらくしてクロメは静かになった、クロメはアカメとの最後の会話を思い出していた。
「クロメ、今すぐ私と一緒に帝国を抜けるんだ」
アカメはクロメの手を握り連れ出そうとしている。
「ち、ちょっと待ってよ、何言ってるの」
クロメは訳がわからなかった、アカメはさらに。
「帝国は民のことは全く考えていない、私達は利用されたんだ」
「お姉ちゃん落ち着いてよ、ナジェンダに何を吹き込まれたの」
「今は時間がない頼むから一緒に来てくれ」
「そんなことできるわけないよ、仲間を置いてなんて」
「私だって辛い、だが・・・」
クロメはアカメの手を振り払い睨みつけた。
「いい加減にしてよ、私達は帝国に尽くさないといけないんだよ、死んだ仲間の分まで」
「クロメ、気持ちはよくわかる、だがこのままではお前の体が・・・」
アカメは涙目で訴えるもクロメは聞く耳を持たない、するとクロメは刀を抜いた。
「帝国を裏切るならお姉ちゃんでも容赦しないよ」
「クロメ・・・」
アカメはクロメの説得は不可能だと悟った、すると無数の足音が聞こえてきた。
「これまでか・・・」
アカメは断腸の思いで逃げだした。
「お姉ちゃん、待って、待ってー!!」
クロメは涙をこぼしながら叫んだ。
「・・・ナジェンダのせいだ、ナジェンダがお姉ちゃんによけいなことを吹き込んだから、こんなことに・・・」
クロメは姉を止められなかったことを悔いていた。
「私達は何があってもずっと一緒だぞ」
今となってはもうそれは決してかなわない、クロメの目からさらに大粒の涙がこぼれた、そして、ナジェンダへの憎悪が溢れ出た。
「・・・私が必ずナジェンダを切り刻んでやる」
クロメからまがまがしい気があふれている、周囲の大衆は後ずさりしている。
「いや、切り刻むのはナジェンダだけじゃない他のナイトレイドも徹底的に切り刻んでやる!!」
クロメは最愛の姉を奪ったナイトレイドに復讐を誓うのであった。
ついにアカメの妹クロメが登場しました、これから先どうなるのかお楽しみ。