召集を斬る
6月6日
エスデスは軍人墓地にいた、三獣士の墓参りをするためである。
「全く、お前達は弱い上に愚かだな」
エスデスは全てを察していた。
「しょうがない部下共め、仕方ないから私が敵を討ってやろう」
エスデスは墓標に花を供えて後にした。
「さて、そろそろ時間だな」
エスデスは宮殿に向かった。
宮殿のとある一室、そこには男女六人が座っている、気まずそうに無言である、だが。
「・・・あの、ウェイブ君、その・・・」
覆面の大男が青年に話しかけた、この大男はボルス、元焼却部隊である。
「わかってますよ、ボルスさんが何を言いたいのか、あの二人でしょ」
この青年はウェイブ、海軍所属の軍人である、ウェイブの視線にはクロメとセリューがいる。
「そりゃ実の姉を殺した奴が近くにいたら気まずくなりますよ」
二人はいつクロメがセリューに斬りかかるのではないかとヒヤヒヤしている。
「でも、これから同じ部隊になるわけだし、仲良くできないでしょうか」
「そりゃ俺もなんとかしたいですけど・・・」
二人は妙案が思いつかなかった、セリューの隣に座っている金髪の青年は一同の様子を見ていた。
「それにしても大胆なことをなさいますね、この二人を同じ部隊に所属させるとは、下手をすれば一触即発ですよ、まあ、あの人らしいですけど」
この青年はラン、冷静沈着な性格である。
「・・・困りました、まさかあのアカメに妹がいてしかも私と同じ部隊に配属されるとは」
セリューは無言でお菓子を食べ続けるクロメにたじたじしている。
「(そうだ、ドクターに助けてもらいましょう)」
セリューは視線を向けるとセリューがドクターと慕う男はぷいとした。
「(自分でなんとかなさい)」
この男はスタイリッシュ、いわゆるオカマである。
「(確かに、でもいったいどうすれば・・・)」
セリューが困惑していると突然ドアがバアンと開いた、そこには仮面を被った女がいた。
「!!?」
一同は何が起こったのかわからず呆然としている、すると女は仮面を外し。
「・・・全くノリが悪いなお前達、せっかく用意したのに無駄になってしまったではないか」
ため息をついて不満げであった。
「エスデス将軍!?」
予想もしない出来事の連続で呆気にとられている。
「これはいったい?」
ウェイブがエスデスに質問すると。
「ああ、変わった趣向をしようと思ってな」
「申し訳ありません、ご期待に背くことになりまして」
ランが深々と頭を下げると。
「気にするな、それよりもお前達の雰囲気のことだが、私が察するにそこのセリューがクロメの姉であるアカメを仕留めたことで微妙な雰囲気になっているのではないか?」
「まったくその通り!!」
ウェイブはエスデスの洞察力に度肝を抜かれた。
「いいか、セリューは警備隊員として己の責務を全うしたのだ、称賛されこそすれ咎められる要素は微塵もないぞ」
エスデスが語り終えるととクロメは。
「・・・セリューに非はないよ、セリューは自分の任務を遂行したんだから」
エスデスとランはクロメのわずかな表情の変化に気がついたが何も言わなかった。
「そ、そうです、私は正義を行ったのです、悪いのはアカメをそそのかしたナジェンダです」
セリューはコロッと明るくなった。
「そうだ、俺達がいがみ合うことはないんだ」
「同じ帝具使いこれから仲良くしましょう」
一同の雰囲気は一気に和んだ。
「(さすがですね、この場の微妙な雰囲気を即座に解決しました、強いだけの武人ではなさそうですね)」
ランはエスデスの統率力を心の中で高く評価した。
「では、早速皇帝陛下との謁見だ、その後はパーティーを開くぞ」
「ずいぶん飛ばしますね」
「こういうのはパパッと済ませるのが一番だ」
一同はエスデスのハイペースに戸惑っていると。
「だが、その前に一つ言っておきたいことがある」
「なんです?」
「私の配下だった三獣士のことは知っているな」
「はい」
「その中の一人ニャウについてだ、ニャウは胴体を両断されて死んでいた」
「えげつないですね・・・」
ウェイブは想像して冷や汗をかいている。
「私はその死体を見てピンときて解剖してみた、すると心臓が停止してから両断されたことがわかった」
「本当ですか?」
「ああ、私の分析は並の医者よりも優れていると断言できるぞ」
「いったい何のために」
ボルスは首を傾げている。
「他にもニャウの右肩に数ミリの傷があった」
「それってまさか・・・」
「ああ、村雨だろう」
「でも、アカメちゃんはもう・・・」
「新たな村雨の使い手が現れたのだろう」
一同は衝撃の展開に唖然としていると、セリューが。
「もしかしたら奴が・・・」
「心当たりがあるのか?」
「は、はい、断言はできませんが、そいつはサヨかもしれません」
「サヨ?」
「はい、アカメと共に行動していた女です、そいつは村雨を持って逃走しました」
「強いのか?」
「私の左腕を斬り飛ばした奴です」
「お前の左腕をか、弱くはなさそうだな、皆もそのサヨが新たな村雨の使い手と認識するように」
「はっ!!」
皆が応答するなかでクロメは何かぶつぶつつぶやいている。
「おい、クロメどうした」
ウェイブはクロメに声をかけた、すると。
「そいつがお姉ちゃんの村雨を・・・絶対、私がそいつを切り刻んで村雨を取り戻す」
クロメの表情は悍ましいものになっていた、それを見てウェイブはびびった。
「お前達何をしている早く来い」
「は、はい」
二人はエスデスの後に続いた、クロメの表情は元に戻っていた。
「俺、ここでやっていけるのかな・・・」
ウェイブは少なからず不安を感じていた。
この日帝都に新たな部隊が結成された、七人の帝具使いで編成された特殊警察イェーガーズである。
ついにイェーガーズが登場しました、物語も新たな展開になりました、にしても相変わらず文章がうまくかけません、それはさておき、次回は名前のあるオリジナルキャラが登場します、お楽しみ。